サイコラビリンス

國灯闇一

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3章 汚れた青春

1dbs-未来の風が吹く

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 休憩時間、小見川達は教室で弁当を食べていた。

「はあ、かったるいなぁ~」

 根元はだらりと椅子の背にもたれかかる。

「いつもそれ言ってね?」

 熊田は呆れながら指摘する。

「習慣だよ。1日1回言わないと調子狂うんだよ」

「ルーティーン?」

 冴島は含んだ笑みを口にたずさえて聞く。

「そう! ルーティーンだよルーティーン」

「お前がルーティーンを作る必要があるのか?」

 小見川も少し疑念を抱きながら聞く。

「ルーティーンができてれば今日も調子がいいって思えるだろ? 毎日が調子良いって思えたらいいじゃねぇか」

「なぁ、みんな」

 冴島が4人の注目を集める。

「どうした?」

「今日部活が終わった後、暇か?」

「俺は大丈夫だけど?」

 真っ先に根元が答える。

「俺も特に予定ないけど」

「僕もないよ」

 熊田と鹿倉も続けて答える。

「俺も特にない」

「じゃあさ、愛美に会ってくれないか? 一度お礼言いたいって」

「ああ、分かった」

 4人は笑い合い、深く頷いた。


 夜の色に染まろうとする空が街を覆う頃、小見川達はファストフード店の飲食スぺースで冴島と湯藤を待っていた。
 クラスが違うため、湯藤と会うことはほとんどなかった。そのせいか、鹿倉と熊田は少し緊張気味だ。

 冴島と湯藤が店に入ってきた。冴島と湯藤はカウンターへ行き、注文を済ませる。湯藤はポニーテールを揺らして冴島にぴったりついている。注文を待っている間、冴島と湯藤が小見川達に気づき、手を振った。小見川達も手を振り返す。

 冴島と湯藤は商品をトレーに乗せて、小見川達に近づいていく。

「ごめん、待たせた」

「いいよ。のんびり待ってたし」

 冴島と湯藤は近くのテーブルに座る。

「小見川君達が協力してくれてるって聞いて、凄く安心した。本当にありがとう」

 湯藤はすぐにお礼を言い出した。

「冴島から頼まれたらしょうがねぇよ」

 根元は薄く笑みを浮かべる。

「もう大丈夫だろ。な、小見川?」

「ああ、安心してもらっていいと思う。これからは普通に過ごしてくれたらいい。このことは、なかったことにしてもらっていいから」

「うん」

 湯藤は少しぎこちない笑顔で答えた。

「あと、今日のみんなの料金は、俺が払うから」

 冴島が突然申し出る。

「いいってそんなの!」

「いや、奢らせてよ。俺、こんなことしかできないから……。ほんと、お前等が友達で良かった」

 青臭いこという冴島に、照れ笑いを浮かべる4人。熊田が隣のテーブルにいる冴島の肩を軽く叩いた。

「もう食おう食おう!」と照れ隠しに根元がみんなを促し、肉厚なハンバーガーの味を堪能し合った。

 小見川達はファストフード店を出た。

「ごちそうさん!」

 根元は意気揚々とお礼を言う。

「ああ」

「もしかして、これからデート?」

 鹿倉の問いに恥ずかしがりながら首肯する湯藤と冴島。

「憎いね。このこの!」

 熊田は両手の人差し指を突き出し、2人を茶化す。

「じゃあな」

 小見川は2人の空気を察して、別れを切り出す。

「ああ」

「また明日」

「おう」

「お幸せに~」

 根元は寄り添う2人の背中に大きく手を振る。

「ほんと、幸せになってもらいたいね」

 鹿倉は感慨深げに呟く。

「幸せになるさ」

 小見川は同調する。

「ほら、俺達も行こうぜ」

 根元は走り出し、カップルとは反対方向の道に3人を誘う。

 根元を追いかけようと走り出す熊田。熊田に続いて鹿倉と小見川も走り出す。根元は疲れて止まり、追いついた熊田が根元の首に腕を絡める。鹿倉と小見川が2人を挟んで歩き出す。

 店の看板が放つ光、信号機、車のライト、街灯、窓から漏れる光。様々な光が夜道を輝かせ、小見川達の周りを彩っていく。光は自分達を照らしてくれる。この景色がこれまでの報酬だ。
 長くて濃い地獄のような日々だった。罪の意識と向き合いながら、友を守るために作り上げた犯罪を遂行した。この頑張りはきっと、2人を幸せにするはずだと、信じて疑わなかった。

「じゃあな」

「おう。また明日」

「ばいばい」

「ちゃんとセリフ覚えて来いよ」

「分かってるよ」

 4人は別れようとしていた。
 しかし――。

「すみません」

 突然声をかけられた。4人は近づいてきた2人の人を見て息を止めた。薄い青の服と群青色のズボンにベスト。キャップの中央に威圧感のある紋章。

「少し話を聞きたいんだけど」

 下手したてに声をかけてきた2人組の男は、警察の人間だと一瞬で分かった。
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