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王子様とご対面
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詩歌の森に入って、森の中を歩き続けるコウ達は双子精霊の案内で開けた場所にたどり着いた
「うわ・・・」
「なんと・・・これは、美しいのぅ 」
開けた場所は色とりどりの花と、青々とした緑に囲まれた、太陽の光のは降り注ぐ場所であった
「・・・・?」
全てが見渡せるこの場所は開けている所を全て見せてくれていたのだ
そんな中、ガイがあることに気づく
「あっ!ヴァン・・・・!」
コウはガイの見ている方向に体を向ける、そこには陽の光を存分に浴びながら気持ちよさそうに目を細める少年の姿があった
「(ガイとそんなに年齢ははなれていなさそうだね・・・・)」
気づけば自らの首あたりにまとわりついていた精霊達が居なくなっていることに気づくコウは、ヴァンと呼ばれた少年の方へ歩みを進める
「明けの朝日を
身体に浴びて
生まれ変わる
今日に日に」
近づくにつれて、少年独特の高くもなく低くもない、それでいて酷く美しい声が聞こえてくる
「ヴァンの歌だ」
「これは赤子によく歌ってやる子守唄じゃな・・・」
ガイとリョサイがコウの横に並びながらそう言った
精霊達が楽しそうに、嬉しそうに少年の周りを回っているのが見えた
「子守唄・・・」
少年との距離は近くも遠くもない距離、ガイとリョサイの言葉を反復したコウはその歌声に微笑む
「これは森に気に入られるわけだ・・・」
コウ達はその美しい歌を邪魔しないように、歌が終わるまで少年を待っていた
「・・・・はぁっ」
歌いきったのか、少年はひとつ大きく息を吐くと、心底不機嫌そうにこちらを見た
「なんで入ってこれたんだ?ガイ・・・しかもリョサイも一緒か」
先程まであんなに美しい歌を歌っていた人物だとは思えないほど、少年の態度は悪かった・・・・
「(王子様って、ドコモこんなもんなの?)」
コウはそんな呑気なことを考えながら、二人の出方を見ていた
「なんじゃとお主を探してこんな所まで来たのじゃぞ、もっと敬ってくれ」
リョサイは朗らかに笑いながらコウの頭をなでつけようとしたが、少年にあっさり弾かれていた
「ガイ・・・君はいいのかい?」
「別に、城帰ったらアイツが嫌だっていうまで説教するつもりでいるからいい」
コウの横でリョサイの行動を見ているガイにコウは少年の元に行かなくてもいいのかと聞いたが、後でかなり怒られることだけはわかったので何も言わなかった
「(王子様・・・御愁傷様です)」
心の中で手を合わせているコウは、少年が訝しげにこちらを見ていることに気がついた、そしてそういえば自己紹介がまだだったと思い直す
「おい、アイツは誰だ?ガイが随分と懐いているようだが」
少年がコウの事を説明してほしいというようにリョサイを見た、どうやらコウからの説明を欲していないようだった
それを見かねたリョサイは苦笑いしながらコウのことを説明する、説明が終わった瞬間にコウはこれまでも言ってきたセリフを口にする
「何でも屋 ラフィリティを営む
コウという者です・・・以後お見知りおきを」
そしていつものようにニコリと微笑む、すると少年のほうも未だに疑うような顔つきをしてをいたものの、自己紹介を始めた
「俺はヴァジェンタ オーミニス・ヴァジェンタ、この国の第二王子だ」
「この度は王子にお目道理かなったこと誠に嬉しく思います」
コウはせめてもの礼儀かと頭を下げて、その辺の貴族が口に出しそうな言葉をツラツラと述べた
「・・・普通に接しろ、ここは城じゃない」
「(おや?この人は自分が王子様だという事が嫌なのか・・・なるほど、それでリョサイ殿もガイもあんな風に接しているのか・・・ガイに至っては愛称呼びだし)わかったよ、よろしくね?えっと・・・ヴァジェンタ」
名前を呼ぶ時に一瞬の迷いがあったものの、コウはなんの戸惑いもなく一国の王子を呼び捨てにした、その事が余りにも以外だったのだろうか
ヴァジェンタの美しい金色の目がこれでもかという程に開かれた
「コウって、意外と度胸あるよな」
ガイはあきれたようにコウを見ていた、コウはそれが理解できないのか、首をかしげていたがやがて嬉しそうに笑った
「だって、こんなに自分は貴族なんだぞって威張らない人・・・初めてだからね、それに・・・君達も面白い事になっているみたいだし」
そう言ってコウが見たのは、先程あった精霊たちであった
精霊達は嬉しそうに、楽しそうに笑っていた
《クスクス、バレてしまったわ》
《バレてしまったわね》
一体何のことだか分かっていない三人に向かってコウは笑いながら説明をしてくれた
「この精霊達は、君を守るつもりでいるってことだね・・・つまり、契約を望んでいる」
コウの説明に一番に反応したのは、ヴァジェンタだった
精霊達を見て嬉しそうに笑ったのだ
「本当かお前達!」
《クスクス、そうね》
《ふふふふ、そうなるといいわね》
どうやらヴァジェンタ自体がここに入り浸る理由としてこの双子の精霊達が目的であったようだ
ただ純粋に、そばにいてほしいという願いが彼女達にも伝わったのだろうとコウは思っていた
「契約をするなら、力を貸すよ?」
コウはそんな微笑ましい光景を見ながらそう宣言した
契約する為には、魔術師の介入がなければいけないことをコウは知っていたのでそう言う
いくら精霊だからといっても相手は人ではないのだから、間に魔術師の介入は必要だろうと思ったのだ
「・・・・そうだな、城ではこんな事頼める奴なんていないし・・・それにコイツらの力に耐えきれそうなやつもいない」
介入するにあたってすることは、魔物の契約者の魔力調整及び同調、そして決して崩れることの無い契約書印を作ることだ
それは魔物の力の強さによって己の力を使う量が変わるということでもあり、強い魔物と契約者の介入など
普通はやりたがらないが、コウに限ってはそんな事はあまり関係ない
それゆえに安心して行えるのである、ちなみにラフィリティという何でも屋の名前はかなり有名なので、ヴァジェンタも余りに疑っていないようであった
「お任せを、このラフィリティ 貴方の願い叶えます」
綺麗にお辞儀をしたコウは、一人静かに微笑んだ
「うわ・・・」
「なんと・・・これは、美しいのぅ 」
開けた場所は色とりどりの花と、青々とした緑に囲まれた、太陽の光のは降り注ぐ場所であった
「・・・・?」
全てが見渡せるこの場所は開けている所を全て見せてくれていたのだ
そんな中、ガイがあることに気づく
「あっ!ヴァン・・・・!」
コウはガイの見ている方向に体を向ける、そこには陽の光を存分に浴びながら気持ちよさそうに目を細める少年の姿があった
「(ガイとそんなに年齢ははなれていなさそうだね・・・・)」
気づけば自らの首あたりにまとわりついていた精霊達が居なくなっていることに気づくコウは、ヴァンと呼ばれた少年の方へ歩みを進める
「明けの朝日を
身体に浴びて
生まれ変わる
今日に日に」
近づくにつれて、少年独特の高くもなく低くもない、それでいて酷く美しい声が聞こえてくる
「ヴァンの歌だ」
「これは赤子によく歌ってやる子守唄じゃな・・・」
ガイとリョサイがコウの横に並びながらそう言った
精霊達が楽しそうに、嬉しそうに少年の周りを回っているのが見えた
「子守唄・・・」
少年との距離は近くも遠くもない距離、ガイとリョサイの言葉を反復したコウはその歌声に微笑む
「これは森に気に入られるわけだ・・・」
コウ達はその美しい歌を邪魔しないように、歌が終わるまで少年を待っていた
「・・・・はぁっ」
歌いきったのか、少年はひとつ大きく息を吐くと、心底不機嫌そうにこちらを見た
「なんで入ってこれたんだ?ガイ・・・しかもリョサイも一緒か」
先程まであんなに美しい歌を歌っていた人物だとは思えないほど、少年の態度は悪かった・・・・
「(王子様って、ドコモこんなもんなの?)」
コウはそんな呑気なことを考えながら、二人の出方を見ていた
「なんじゃとお主を探してこんな所まで来たのじゃぞ、もっと敬ってくれ」
リョサイは朗らかに笑いながらコウの頭をなでつけようとしたが、少年にあっさり弾かれていた
「ガイ・・・君はいいのかい?」
「別に、城帰ったらアイツが嫌だっていうまで説教するつもりでいるからいい」
コウの横でリョサイの行動を見ているガイにコウは少年の元に行かなくてもいいのかと聞いたが、後でかなり怒られることだけはわかったので何も言わなかった
「(王子様・・・御愁傷様です)」
心の中で手を合わせているコウは、少年が訝しげにこちらを見ていることに気がついた、そしてそういえば自己紹介がまだだったと思い直す
「おい、アイツは誰だ?ガイが随分と懐いているようだが」
少年がコウの事を説明してほしいというようにリョサイを見た、どうやらコウからの説明を欲していないようだった
それを見かねたリョサイは苦笑いしながらコウのことを説明する、説明が終わった瞬間にコウはこれまでも言ってきたセリフを口にする
「何でも屋 ラフィリティを営む
コウという者です・・・以後お見知りおきを」
そしていつものようにニコリと微笑む、すると少年のほうも未だに疑うような顔つきをしてをいたものの、自己紹介を始めた
「俺はヴァジェンタ オーミニス・ヴァジェンタ、この国の第二王子だ」
「この度は王子にお目道理かなったこと誠に嬉しく思います」
コウはせめてもの礼儀かと頭を下げて、その辺の貴族が口に出しそうな言葉をツラツラと述べた
「・・・普通に接しろ、ここは城じゃない」
「(おや?この人は自分が王子様だという事が嫌なのか・・・なるほど、それでリョサイ殿もガイもあんな風に接しているのか・・・ガイに至っては愛称呼びだし)わかったよ、よろしくね?えっと・・・ヴァジェンタ」
名前を呼ぶ時に一瞬の迷いがあったものの、コウはなんの戸惑いもなく一国の王子を呼び捨てにした、その事が余りにも以外だったのだろうか
ヴァジェンタの美しい金色の目がこれでもかという程に開かれた
「コウって、意外と度胸あるよな」
ガイはあきれたようにコウを見ていた、コウはそれが理解できないのか、首をかしげていたがやがて嬉しそうに笑った
「だって、こんなに自分は貴族なんだぞって威張らない人・・・初めてだからね、それに・・・君達も面白い事になっているみたいだし」
そう言ってコウが見たのは、先程あった精霊たちであった
精霊達は嬉しそうに、楽しそうに笑っていた
《クスクス、バレてしまったわ》
《バレてしまったわね》
一体何のことだか分かっていない三人に向かってコウは笑いながら説明をしてくれた
「この精霊達は、君を守るつもりでいるってことだね・・・つまり、契約を望んでいる」
コウの説明に一番に反応したのは、ヴァジェンタだった
精霊達を見て嬉しそうに笑ったのだ
「本当かお前達!」
《クスクス、そうね》
《ふふふふ、そうなるといいわね》
どうやらヴァジェンタ自体がここに入り浸る理由としてこの双子の精霊達が目的であったようだ
ただ純粋に、そばにいてほしいという願いが彼女達にも伝わったのだろうとコウは思っていた
「契約をするなら、力を貸すよ?」
コウはそんな微笑ましい光景を見ながらそう宣言した
契約する為には、魔術師の介入がなければいけないことをコウは知っていたのでそう言う
いくら精霊だからといっても相手は人ではないのだから、間に魔術師の介入は必要だろうと思ったのだ
「・・・・そうだな、城ではこんな事頼める奴なんていないし・・・それにコイツらの力に耐えきれそうなやつもいない」
介入するにあたってすることは、魔物の契約者の魔力調整及び同調、そして決して崩れることの無い契約書印を作ることだ
それは魔物の力の強さによって己の力を使う量が変わるということでもあり、強い魔物と契約者の介入など
普通はやりたがらないが、コウに限ってはそんな事はあまり関係ない
それゆえに安心して行えるのである、ちなみにラフィリティという何でも屋の名前はかなり有名なので、ヴァジェンタも余りに疑っていないようであった
「お任せを、このラフィリティ 貴方の願い叶えます」
綺麗にお辞儀をしたコウは、一人静かに微笑んだ
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