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第二Q ザ・レコード・オブ・ジョーズ・グロウス ~合宿編~
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岡村がフリースローを打っている間に、呼吸を整える。交代まで後一分弱。まだ時間はある。やってやろうじゃねえか。
フリースローの二投目は外れ、リバウンドは白チームのCがとった。再び点を取られる危険にさらされた雪之丞たちは腰を落として守りに集中した。ボールは白チームのSFが所持している。マッチアップは廉だ。
廉より上背があった敵は小さくフェイントを入れた後、ジャンプシュートを打つために膝を曲げて高く跳んだ。廉の反応がわずかに遅れる。完全にゴールリングが見えているであろう状態で、敵はシュートを放った。
ここで、誰もが予想していなかったであろう出来事が発生した。廉の後ろにいて敵から死角になっていた雪之丞が、驚異の跳躍力で敵のシュートを叩き落としたのだ。
「「なっ……!?」」
シュートを打った敵も、シュートを打たれた廉も、その試合を見ていた者全員が驚愕の声を上げた。その中でただ一人、ボールに集中していた雪之丞がルーズボールを拾ってドリブルで進んでいった。
「驚いたぜ鳴海! だけどな、そう簡単に見せ場は作らせてやんねえぞ!」
雪之丞の進路を阻んだのは岡村だった。彼のプレッシャーをかけたディフェンスは獣のような迫力があり、技術的に雪之丞はまだ太刀打ちできなかった。
「鳴海! パス!」
足を止めてしまった雪之丞を助けにきた多田にパスを出した。一分前の雪之丞だったらここで安心していただろうが、今は違う。雪之丞は瞬足を活かし、岡村よりも速くゴールへ向かって走った。
マークがついていない雪之丞を見逃す程、多田は愚かな選手ではない。センターラインを越えた雪之丞に対して、多田は速く鋭いパスを出した。それは右手一本で受け取るには少々難しいパスだった。
しかしこのパスを取れないようでは、この先試合に出してもらえるはずがない。
「……うおおおおお!」
不格好な受け止め方をしたため体勢は崩れたものの、パスを受け取ることに成功した雪之丞は無意識のうちに口角を上げていた。
そのことが雪之丞の進行を阻もうとしている戸部の癪に障ったらしい。穏やかな性格で知られる彼が闘争心をむき出しにして、シュートまでは行かせまいと、隙のない守りで張り付いてきた。戸部にカットされないよう注意してドリブルをしながら、ゴールまでの距離を把握する。
その瞬間、この三日間で何百本も練習してきたシュートを打つために体が勝手に動いた。
右足から入って、左足で踏み切る。リングぎりぎりまで手を伸ばし、力を入れずに……ボールを置いてくる!
雪之丞は初めて、試合中に自分が打ったシュートがネットをくぐる音を聞いた。
それは想像していたよりもずっと、心地いい音だった。
「……よっしゃあああああ!」
思わず叫んだ雪之丞に、赤チームの味方たちが「ナイッシュウ!」と声をかけてくれた。この心臓がムズ痒くなる感覚も、癖になりそうだ。
「久美子せんぱーい―! 見てくれましたか!?」
この合宿中つきっきりで指導してくれた久美子にVサインを送ると、
「もう! 今は審判中なのよ!?」
口ではそう言いつつも、久美子もまた嬉しそうにVサインで返してくれた。
その後、雪之丞はすぐに交代となったが、今までで一番気持ち良く試合終了の笛の音を聞くことができた。この感覚をもっと味わうためにはもっとバスケの練習をしなくてはと、ただひたすら前向きに思えるくらいには、
一本のシュートは雪之丞の悩み落ち込んでいた心を晴れやかにさせたのだった。
フリースローの二投目は外れ、リバウンドは白チームのCがとった。再び点を取られる危険にさらされた雪之丞たちは腰を落として守りに集中した。ボールは白チームのSFが所持している。マッチアップは廉だ。
廉より上背があった敵は小さくフェイントを入れた後、ジャンプシュートを打つために膝を曲げて高く跳んだ。廉の反応がわずかに遅れる。完全にゴールリングが見えているであろう状態で、敵はシュートを放った。
ここで、誰もが予想していなかったであろう出来事が発生した。廉の後ろにいて敵から死角になっていた雪之丞が、驚異の跳躍力で敵のシュートを叩き落としたのだ。
「「なっ……!?」」
シュートを打った敵も、シュートを打たれた廉も、その試合を見ていた者全員が驚愕の声を上げた。その中でただ一人、ボールに集中していた雪之丞がルーズボールを拾ってドリブルで進んでいった。
「驚いたぜ鳴海! だけどな、そう簡単に見せ場は作らせてやんねえぞ!」
雪之丞の進路を阻んだのは岡村だった。彼のプレッシャーをかけたディフェンスは獣のような迫力があり、技術的に雪之丞はまだ太刀打ちできなかった。
「鳴海! パス!」
足を止めてしまった雪之丞を助けにきた多田にパスを出した。一分前の雪之丞だったらここで安心していただろうが、今は違う。雪之丞は瞬足を活かし、岡村よりも速くゴールへ向かって走った。
マークがついていない雪之丞を見逃す程、多田は愚かな選手ではない。センターラインを越えた雪之丞に対して、多田は速く鋭いパスを出した。それは右手一本で受け取るには少々難しいパスだった。
しかしこのパスを取れないようでは、この先試合に出してもらえるはずがない。
「……うおおおおお!」
不格好な受け止め方をしたため体勢は崩れたものの、パスを受け取ることに成功した雪之丞は無意識のうちに口角を上げていた。
そのことが雪之丞の進行を阻もうとしている戸部の癪に障ったらしい。穏やかな性格で知られる彼が闘争心をむき出しにして、シュートまでは行かせまいと、隙のない守りで張り付いてきた。戸部にカットされないよう注意してドリブルをしながら、ゴールまでの距離を把握する。
その瞬間、この三日間で何百本も練習してきたシュートを打つために体が勝手に動いた。
右足から入って、左足で踏み切る。リングぎりぎりまで手を伸ばし、力を入れずに……ボールを置いてくる!
雪之丞は初めて、試合中に自分が打ったシュートがネットをくぐる音を聞いた。
それは想像していたよりもずっと、心地いい音だった。
「……よっしゃあああああ!」
思わず叫んだ雪之丞に、赤チームの味方たちが「ナイッシュウ!」と声をかけてくれた。この心臓がムズ痒くなる感覚も、癖になりそうだ。
「久美子せんぱーい―! 見てくれましたか!?」
この合宿中つきっきりで指導してくれた久美子にVサインを送ると、
「もう! 今は審判中なのよ!?」
口ではそう言いつつも、久美子もまた嬉しそうにVサインで返してくれた。
その後、雪之丞はすぐに交代となったが、今までで一番気持ち良く試合終了の笛の音を聞くことができた。この感覚をもっと味わうためにはもっとバスケの練習をしなくてはと、ただひたすら前向きに思えるくらいには、
一本のシュートは雪之丞の悩み落ち込んでいた心を晴れやかにさせたのだった。
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