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第1章 始まり
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「いったい、どうなってるんだ。」
タカシは唖然としてそんな言葉を漏らした。
駐輪場から自分の自転車をかっさらうと、スズの通う中学校に急いで向かっている。
スズの携帯にメールをしてみたが返事はなく、電話をしてみてもすぐに通話が拒否されてしまうため、心配になり直接会いに行くことにしたのだ。
しかし、自電車を漕ぐタカシは違和感を感じていた。
あの大きな地震があった直後だというのに街中は全く混乱していないからだ。
それどころか、地震など無かったかのように、買い物をするおばさん達が井戸端会議をしていたり、ジョギングしながら犬の散歩をしているおじさんなどとすれ違う。
街中は至って通常通りの平常運転である。
「夢だったのか?」
タカシは不安になり学生手帳を取り出して開いてみるがそこには学生証はなかった。
どうやら先程の出来事は事実のようである。
「とにかく今はスズだ。大丈夫なのか?」
感じる違和感をぐっと飲み込みスズの通う中学校へと向かい、ようやく辿り着いた。
やはり、中学校も混乱した様子はなく、いたって静かであった。
「2年4組の近藤スズの兄の近藤タカシと申します。妹に伝えたいことがあり参りました。」
タカシは、取り次いでもらおうと守衛を務める中年男性に声をかけたのだが。
「身分証明書の提示が必要なんだけど、その制服は高校生だよね、学生証を見せてくれるかな?」
考えてみれば当たり前である。
不審者であるかもしれない見ず知らずの男をそのまま構内へ案内するなど、守衛の意味がない。身分証の提示を求められるなど当然であった。
当然、タカシも身分証として学生証がある生活が当たり前になっていたため、何食わぬ顔で守衛さんに話しかけてしまったのである。
だが、今は学生証は持っていない。つい先程その事実を再確認したところであった。
「えーと……」
「どうしたんだ?」
守衛さんが怪訝そうな顔おする。
もう、こうなれば学生手帳を出して学生証を忘れてしまったことにしよう。
タカシは半ばヤケクソ気味に学生手帳を取り出し守衛さんへ開いてみせる。
「なんだ持ってるじゃないか。近藤タカシ君ね、スズさんの担任に家族の人が訪ねてきたと取り次ぐからそこに座って待っててちょうだい」
守衛さんはそう言い残すと、電話をしに守衛小屋の奥に入っていった。
「??」
いったいどういうことだ。
先ほど確認したばかりの生徒手帳であるが、そこにはしっかりと写真付きの学生証が収められていた。
「近藤君、担任に話しておいたから。ちょうど休み時間だし、昇降口にスズさんが来てくれるとのことだよ。」
そう言って守衛さんはタカシへ校内へ入る許可証を渡してくれた。
タカシは唖然としてそんな言葉を漏らした。
駐輪場から自分の自転車をかっさらうと、スズの通う中学校に急いで向かっている。
スズの携帯にメールをしてみたが返事はなく、電話をしてみてもすぐに通話が拒否されてしまうため、心配になり直接会いに行くことにしたのだ。
しかし、自電車を漕ぐタカシは違和感を感じていた。
あの大きな地震があった直後だというのに街中は全く混乱していないからだ。
それどころか、地震など無かったかのように、買い物をするおばさん達が井戸端会議をしていたり、ジョギングしながら犬の散歩をしているおじさんなどとすれ違う。
街中は至って通常通りの平常運転である。
「夢だったのか?」
タカシは不安になり学生手帳を取り出して開いてみるがそこには学生証はなかった。
どうやら先程の出来事は事実のようである。
「とにかく今はスズだ。大丈夫なのか?」
感じる違和感をぐっと飲み込みスズの通う中学校へと向かい、ようやく辿り着いた。
やはり、中学校も混乱した様子はなく、いたって静かであった。
「2年4組の近藤スズの兄の近藤タカシと申します。妹に伝えたいことがあり参りました。」
タカシは、取り次いでもらおうと守衛を務める中年男性に声をかけたのだが。
「身分証明書の提示が必要なんだけど、その制服は高校生だよね、学生証を見せてくれるかな?」
考えてみれば当たり前である。
不審者であるかもしれない見ず知らずの男をそのまま構内へ案内するなど、守衛の意味がない。身分証の提示を求められるなど当然であった。
当然、タカシも身分証として学生証がある生活が当たり前になっていたため、何食わぬ顔で守衛さんに話しかけてしまったのである。
だが、今は学生証は持っていない。つい先程その事実を再確認したところであった。
「えーと……」
「どうしたんだ?」
守衛さんが怪訝そうな顔おする。
もう、こうなれば学生手帳を出して学生証を忘れてしまったことにしよう。
タカシは半ばヤケクソ気味に学生手帳を取り出し守衛さんへ開いてみせる。
「なんだ持ってるじゃないか。近藤タカシ君ね、スズさんの担任に家族の人が訪ねてきたと取り次ぐからそこに座って待っててちょうだい」
守衛さんはそう言い残すと、電話をしに守衛小屋の奥に入っていった。
「??」
いったいどういうことだ。
先ほど確認したばかりの生徒手帳であるが、そこにはしっかりと写真付きの学生証が収められていた。
「近藤君、担任に話しておいたから。ちょうど休み時間だし、昇降口にスズさんが来てくれるとのことだよ。」
そう言って守衛さんはタカシへ校内へ入る許可証を渡してくれた。
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