女だからって舐めないで

佐藤なつ

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2人の師匠

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翌朝から、私は特訓を受けることになった。
不本意だけど先生に協力をお願いしたのだ
 場所は学院裏の訓練場。朝露がまだ芝に残っている時間帯に呼び出される。

「さて♡ お嬢様を“実戦で動ける淑女”に仕上げるのは、このわたしよ!」
 朝から先生が優雅に扇子を振る。

「実戦って言うなら、余計な身振り手振りは要らないだろ」
 隣で腕を組むレオンが冷静に切り返した。
先生に特訓をお願いしたのに、何故かレオンまで現れたのだ。
みんなで特訓すればええとか思っていた私の考えは---甘かった。

「あなたの剣のように乱暴じゃ、淑女が台無しになるの♡」
「いや、戦場に出れば一瞬の判断が命を分ける。美しさより速さだ」

 開始早々、ふたりの意見は真っ向からぶつかっていた。



「リディア、まずは基礎よ。魔力の流れを“見せる”の」
 先生が指を鳴らすと、私の周囲に淡い光の環が広がった。
「呼吸に合わせて魔力を整えて。焦らず、舞うように」

「いや、そんな悠長なことしてたら敵に切られる」
 レオンは木剣を投げ渡してきた。
「杖がなくても動け。回避と反撃を同時に意識しろ」

「えっ、ちょっと待って──!」
 私は魔力を整えながら木剣を握り、レオンの突進を必死で受け止める。
 そこに先生の声が重なる。

「姿勢が崩れてるわ! 背筋を伸ばして、しなやかに!」
「ガードを固めろ! 脇が甘い!」

 左右から飛ぶ指摘に、頭が爆発しそうだった。



 何度も転んで、膝に擦り傷を作る。
 息が切れて、視界がにじむ。

「もう……無理……!」
 倒れ込む私に、先生が膝をついて扇子で風を送ってくれた。

「お嬢様、初日でここまでやれたのは立派よ。魔力の流れも、ちゃんと掴めていた」

「でも、実戦になれば倒れていた」
 レオンの声は厳しい。
 けれどその瞳には、失望ではなく期待が宿っていた。



 私は地面に手をつき、震える体を無理やり起こした。
「……まだ、やる」

 二人が驚いたように目を見開く。
わたなべ自身も終わりにしたいと思っていた。
正直言って限界誰か。

「私、もう守られるだけで終わりたくないから!」
そう、私は終わりたくない。
 その言葉に、先生はふっと微笑み、レオンは真剣に頷いた。

「いいわ♡ じゃあ次は、わたしの舞とレオンの剣、両方を受けてみせて」
「ここからが本番だぞ、リディア」

 朝陽の中、二人の影が重なり、私を取り囲んだ。
 試練の幕が、本当に上がったのだ。
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