女だからって舐めないで

戦いの後

　数日後。
　学院はまだ修復の最中だったが、空気はどこか穏やかだった。
　ゼルヴァンの脅威は去り、生徒たちの笑顔が少しずつ戻り始めている。

　私は中庭のベンチに座り、深呼吸した。
　剣は傍らに置いてある。けれど、今はただ静けさを感じたかった。

（……終わったんだ。私、本当に戦えたんだ）

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　そこへ、レオンが現れた。
　包帯の巻かれた腕を気にも留めず、いつものように真っ直ぐな瞳で私を見る。

「リディア。無事で良かった」

「あなたこそ、無茶してたじゃない。腕、大丈夫なの？」

　レオンは照れくさそうに笑い、ベンチに腰を下ろす。
「大したことないさ。それより……お前が学院を救ったんだ。誇っていい」

　その言葉に胸が熱くなる。
　でも同時に、答えづらい感情が溢れ出す。

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　風に揺れる声が重なる。
「まったく、どちらが跡継ぎなのかわからないわね♡」

　振り返ると、先生が立っていた。
　いつも通りの扇子姿。けれど瞳の奥には、柔らかい光が宿っている。

「あなたの力は、もう誰にも否定できないわ。女だからとか、跡継ぎじゃないからとか──そんなもの関係なく」

　静かに告げられた言葉は、胸にすとんと落ちた。

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「……ありがとう、先生」
　素直にそう言えた瞬間、心が軽くなる。

　レオンがふとこちらを見て、真剣な声で言った。
「リディア。これからどうするんだ？」

　問いかけは、戦いが終わった今だからこそのもの。
　私は息を呑んだ。
（私は……どんな未来を選ぶんだろう）

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　学院に平和が戻りつつある中、私の胸にはまだ答えの出ない想いが残っていた。
　家族に認められたい気持ち。
　戦士として歩みたい気持ち。
　そして──隣に立つ二人への、揺れる感情。