女だからって舐めないで

佐藤なつ

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揺れる心

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 夕暮れの学院。
 戦いの後、皆がそれぞれの生活に戻ろうとしていた。
 けれど私の胸の中は、まだ落ち着かなかった。



 ◇◆◇

 寮の屋上。
 夕焼けに染まった空を見上げながら、私は深呼吸をする。

「リディア」

 振り返ると、レオンがいた。
 まっすぐな瞳が私を射抜く。

「俺は……お前が女だからどうとか、跡継ぎじゃないからどうとか、そんなの関係ない。お前自身を認めてる」

 その真剣な声に、胸が熱くなる。

「だから……隣にいてほしい」

 告白のようなその言葉に、私は息を呑んだ。



 ◇◆◇

 その夜。
 廊下を歩いていると、扇子の音が静かに響いた。

「まあ、熱烈に迫られているようね♡」

 振り返ると先生が立っていた。
 月明かりに照らされた姿は、いつもより少し影が濃い。

「あなたがどちらを選んでも構わない。ただ──忘れないで。私はずっと、あなたを見てきた」

 その声は、からかいではなく本心だった。
 扇子で口元を隠しながらも、瞳はまっすぐに私を捉えている。

「血脈だの、家の名だの……そんなもの関係ない。あなたがあなたであることが、私にとっての意味なのよ」

 胸の奥が大きく揺さぶられる。



 私は答えを出せずにいた。
 けれど、もう逃げられないことだけはわかっている。

 レオンの真っ直ぐな想い。
 先生の揺るぎない視線。
 そして、私自身の心。

(……次こそ、決めなきゃいけない)

 夜空に星が瞬く。
 その光は、私に選択を迫っているようだった。
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