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旅支度
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新作
『極悪奴隷商の悪役息子に転生したので、奴隷は売らずに大切に育てます』
『転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件』
を新作連載しました。
こちらも爽快で、主人公最強の冒険ファンタジーとなっておりまして、テンポよく1話1500字で毎日更新していきます。
是非読んで見てください。
王都において洗礼の儀、そして6歳のお披露目会が無事に終わった。
貴族というのは大抵が領地を陛下から与えられて、その土地を管理している。
俺の家も伯爵家なのでグロービル伯爵領というところを領地にし、そこを管理している。
今回は洗礼の儀とお披露目会があったため王都にいたのだが、とくに所用がない時は自領内にいるのがほとんどだ。
なので俺と父さん、そして母さん、そしてアイリス母様とアイシャは自領へと戻ることになる。
ジーク兄さんとマーク兄さん、そしてマイン姉さんはというと、王都にある実力至上主義である王立高等学校に在籍している。
王立高等学校は貴族、平民に関係なく寮生活を原則としているため、一緒に自宅に帰ることはできない。
「じゃあ、兄さん、姉さん。また、今度会いましょう」
俺が別れを兄さん達に告げると、
「「カイン、アイシャ元気でな」」
兄さん達が俺を優しく送り出してくれる。
一方姉さんはというと、
「うわぁぁぁぁん! なんて残酷なのよぉぉぉ! カインもアイシャもずっとこっちにいればいいじゃないぃぃ!」
別れを駄々っ子みたいに盛大に嘆いている。
アイシャはそんなマイン姉さんの様子を見て、面白いのかキャッキャっと楽しそうにしている。
マイン姉さんの悲痛の叫びなんかはそっちのけで、馬車の準備が整ったのか自領へと帰る面々が馬車へと乗り込む。
そして全員が乗り終えてから父さんの合図で馬車が動き出す。
残る3人にアイシャと俺は馬車の外に体を乗り出して手を振る。
3人の影がどんどんと小さくなっていき、3人の姿が見えなくなった。
王都の城門を抜けて、広大な平原を馬車で進んでいく。
伯爵家の馬車だけあって、車輪から伝わる振動もサスペンションのようなもので緩和されており、前世での自動車ほどではないが乗り心地はそれほど悪くはなかった。
馬車内では周りの景色を眺める以外に特にやることもなかったので、アイシャといろんな遊びをしていた。
「ひゃんけんほいっ! あいこでひょっ! あっちむいてほいっ!」
俺はアイシャとあっちむいてほいゲームをしたり、
石鹸を水で泡だてて、丸い輪っかをその液体につけ、丸い輪っかに息を吹きかけてバブルを作り出す、いわゆるシャボン玉で遊んだりしていた。
アイシャもシャボン玉にはかなりハマってしまったみたいで、飽きずにずっと外に向かってシャボン玉を作っていた。
グロービル伯爵領は馬車では半日くらいの道のりなのだが、なにかを忘れているようなそんな気がした。
なんだろうか、あまりにも今の生活が平和で楽しいからだろうか。
馬車の旅をしてみたいなんて思っていたからなのだろうか……
そんなことを考えてるとチユキからの念話が来て、
『マスター、このほのぼのした雰囲気であまり言いたくはないのですが、マスターが忘れていることを言ってしまってもいいですか?』
(あぁ、いいよ。俺も何かを忘れているような気がしてたから)
『では、じゃあ、遠慮なく言わせていただきますね。マスター、馬車で移動なんかしなくとも転移魔法でちゃちゃっと帰れば良かったんじゃないですか?』
(……………)
なんでことだ……
そうだよ。転移魔法を使えば一瞬で帰れたじゃないか……
『ま、マスター。そんながっかりしないで下さい。馬車の旅も楽しいものだったでしょう? 今度からはそうすればいいんじゃないですか?』
(……まぁ、確かにそうだね。馬車の旅もかなり楽しかったし、今回はこれはこれでありだね。で、どうしよう……転移魔法を使って帰れたことを父さん達に言うべきかな? 言わないべきかな?)
『まぁ、それはまた今度でいいんじゃないですか? 今、言ってしまったら今までの時間は何だったんだってなるでしょうからね』
(まぁ、そうだね。じゃあ、ここは黙っておこう)
チユキと転移に関してのことの方針を固めていたところ、かなりチユキとの念話に夢中になっていたようで、俺は父さんが俺に話しかけていることに気付かなかった。
「おい、カイン。聞いてるのか? カイン」
「あっ!? 父上。なんでしょうか?」
俺がぼーっとしていたように見えて、父さんが心配そうに声を掛けてくれていた。
「大丈夫か? カイン。なんか、ボケーっとしていたぞ。あ、そうそう。今言うのもなんなんだが、お前なら転移魔法が使えるんじゃないのか?」
父さんが俺とチユキの方針なんかは度外視でそんなことを訊いてきた。
俺とチユキはというと内心、父さんに対して、なんて空気の読めないやつなんだと思ってしまうのであった。
父さんはたまにこういう時がある。
俺の配慮を簡単に無視したり、フラグをポンと建てて行ったり……
少しは反省して欲しいものだ……
俺は今までの楽しかった空気を台無しにはしたくはないので、
「た、確かに、そうですね~(棒)そんな魔法があれば便利ですね~(棒)さすが父上ですね、発想がすごいと思います~(棒)さっそく、作って見てもいいですか?」
その場で即興で作ったように演出をする。
「あぁ、じゃあ、頼んでもいいか?」
チユキの言うところでは時空魔法EXを使えば難なく、転移できると言うことだ。
「もっと早く気づけば良かったですね。父上、何の問題もなく、転移魔法が出来たみたいですね。どうしますか?」
俺が転移魔法の完成を告げると、
「うむ。まぁ、今回はアイシャも楽しんでいることだし、このまま馬車で帰ることにしよう。カインの転移魔法は今後ともに役立つと思うから、その時は頼むな」
アイシャが楽しそうにしているおかげで、その後も微妙な空気になることもなく楽しい馬車の旅が続いた。
そして、その後も特に何事もなく、俺と俺の家族はグロービル伯爵領へと到着し屋敷へと到着した。
馬車の旅が思ったよりもきついものだったので、さっそく体を休めるため、自分の与えられた部屋へと向かった。
汚れを【クリーン】と呼ばれる生活魔法で落としてから、キングサイズのベッドへとダイブした。
ベッドの上で仰向けになりながら、俺は真っ白な天井を見上げ、これからのことを考える。
王都では洗礼の儀でかなりのチート恩恵を貰って、そのおかげで念願の魔法が使えるようになった。
こんなものが貰えるとは思いもしなかったので、これからどうすればいいのか非常に悩ましい。
俺がそんな考えている時に頼りになるのはやっぱりアイツで
『マスター! せっかくチートとやらを貰ったんですから冒険者になればいいんじゃないですか? せっかくの異世界ファンタジーですよ? 冒険をしないなんて手はありませんよ?』
(まぁ、確かに冒険者にはなりたいと思ってだんだけど、なんかありきたりじゃないか?)
『えっ!? ありきたりじゃダメなんですか? ファンタジーなんて大抵はありきたりでありふれたものじゃないですか?』
(まぁ、チユキの言うことは正しいね。でも、俺はまだ6歳なんだよね。せめて、15歳くらいの見た目が欲しいんだよなぁ)
正直なことを言うと、さすがに6歳の見た目で冒険者になるのは色々面倒なことが起きるだろうから、かなり妥協して15歳の容姿。できるのならば18歳がいいかな。
なんてことを考えていると、
『マスター、今更何を言ってるんですか? マスターなら見た目なんて簡単に変えられるじゃないですか? この世界はマスターの思うがままですよ?』
(そ、そういえばそうだったね。庶民的、凡人的な感覚が深く根付いているせいで、そんな発想はできなかったよ。ってことは姿を変えれば、面倒ごとは少なく旅ができるんだな?)
『まぁ、そうですね。比較的少なくなるとは思いますが、マスターなのでどうなるかはわかりませんね』
確かに、なんか主人公補正のせいで問題ごとに絡まれそうな気もしなくはないが、楽しい旅ができるのなら多少のことはまぁいいとしよう。
(それじゃあ、明日には父さん相談することにするよ。俺のステータスを見てるから、安全面に関しては断ることなんて出来ないだろうしね。1番の懸念点はアイシャのことかな?)
俺が冒険をすると言って、旅に出かけたらアイシャはすごく悲しむだろうし、すごく寂しい思いをするだろう。
そうならないためにも何かいい方法は無いのだろうか、と俺はそんなことを考えながら、馬車での疲労がかなり蓄積していたのか眠ってしまった。
⭐︎⭐︎
昨日はそのまま眠ってしまったみたいで、かなりぐっすりと眠ることができた。
俺は昨日今後自分がどうしていくのかを考えた。そして考えた結果、これからは冒険をするために冒険者になることを決めた。
それを父さんに伝えるために、父さんの執務室へと向かう。
父さんの執務室の扉をノックしてしばらくして中へと入る。
「おぉ、カイン。お前がここに来るなんて珍しいな。どうしたんだ? 何かあったのか?」
俺の父さんが俺を笑顔で迎えてくれる。
「父上、実は相談がありまして————」
俺は昨日考えたことを父さんに伝える。
・この世界を回り冒険をするために冒険者になること
・このままの容姿では面倒ごとが余計に増えるため、姿をかえること
などなどだ。
その話を聞いた父さんはというと、
「うーーん……そうだなぁ。本来であれば、洗礼の儀を終えた後は初等部の学園に通うか、武術や魔法そして勉強の家庭教師を雇って、王立高等学校に入るため勉強をするかなんだけどなぁ……お前の場合だと智慧神だったっけか? あれがあればわざわざ勉強をするなんてことは馬鹿らしいし、武術や魔法なんてもはや、必要ないもんな……できれば、自重と常識を学んで欲しいってのが親としての意見なんだが————」
と、父さんが口にする。
自重と常識を学んで欲しいなんて言われたら、俺も乾いた笑いしか出てこない。
「まぁ、おいおい自重は学んでいくとして。僕の場合これから王立高等学校にはいるまでの6年間は手持ち無沙汰になってしまうと思うんです。だから家を出て、世界を見て回ろうかと思ったんですが?」
6年もあれば、きっと世界各地を回って、観光することだって可能だろう。
「まぁ、そうだなぁ。お前を常識という型にはめ込むのは良くないのかもしれないな。よし! じゃあ、お前が冒険者になることを許可してやる。そのかわり、今の姿ではなく、さっきお前が言った通り、変装して冒険をすること。名前はケントだったっけか? その名前で活動するという条件で許可する」
「はい、わかりました。では王立高等学校に入学するまでの6年間は冒険者として活動することにします」
ケントというのは俺の前世での名前で、特に意味はないのだが、思いついたのがそれだったので、ケントにすることにした。
とりあえず父さんの許可を得ることができた。
けれども、父さんを説得するなんかよりも、よっぽど説得するのに難易度の高い人物がいた。
それは—————
「にーにー! にーにー! うわぁぁああん!」
「アイシャ。どうしたの? そんなに泣いて」
アイシャがワンワンと泣きながら、俺の元へと小さな体で必死に駆け寄って、そのまま俺の胸元へとダイブしてきた。
「にーにー! ダメですぅ~! にーにーはアイシャと一緒ですぅ~! にーにーがおうちから出るのなら、アイシャもにーにーと一緒ですぅー!」
アイシャは俺が冒険者になって、この家から出ていくことをアイリス母様から聞いたのか、それを止めるべく俺の元へと駆けつけてきた。
これは昨日から予想していたことで、
(ねぇ、チユキ。どうしたらいいかなぁ? 一緒には絶対連れて行けないし、冒険者になることをやめるなんてこともできない……)
『そうですねぇ。強引でいいのでしたら、簡単な事なんですけど、マスターはそれを望まないでしょうからね~』
(うん、そうだね。自分のことならいいのだけど、やっぱり可愛い妹になるとね、どうなるか分からないから慎重に行きたいね)
『うーん、手取り早いのは、冒険者として活動しながらも夜は転移魔法でここに帰ってくるとかですかねー。でも、これはマスターも嫌でしょう?』
(うん。確かに手取り早いけど、避けたいね。父さんにも家を出てくと言ってあるし、なんだかダサい気がするからね)
『はぁ、マスターも面倒くさいですねぇ。じゃあ、こんなのはどうですか? アイシャにマスターと簡単に連絡する手段を与えてあげるってのは」
確かに家にいなくて離れていても、前の世界ではコミュニケーションは取れていた。
それをアイシャと俺の間で繋げればいいのか。
(なるほどね! さすが、チユキ! いい案だね。でも、どんな感じにするの? 前世でいう携帯電話みたいな感じかな?)
携帯電話って言っても、前世でいうスマートフォンみたいな感じでいいんかな?
『プップップ! マスターの頭って石頭なんですか? そうなんですか? 流石の私もおかしくて笑っちゃいましたよ』
(な、なんなんだ!? 俺がいつおかしな事をいった? 俺は遠距離で通話ができるように、電話というものを考えただけなんだが?)
『プップップ! マスター、それは考えたなんて言いませんよ? マスターは考えるのを放棄して、ある既存のものを当てはめただけですよ?』
(…………で、それでなんで俺が石頭と言われなきゃならないんだ?)
『まぁ、意外とお馬鹿なマスターで良かったです。私も働きがいがありますね。じゃあ、お馬鹿なマスターにヒントをあげるとすると、機能が電話であればいいですよね?』
(…………た、確かに……そうだ)
言われてみれば確かにそうであった。
遠距離でも通話できる機能を持ったものならなんでもいい。
この世界では付与魔法なんてものをあるから、技術力があれば前世みたいな携帯の形をしていなくとも、その場に落ちている石ころにだって携帯の機能を持たせることができる。
『やっと、気がついたみたいですね。じゃあ、それではさっそく作ってみたらどうですか?』
(うん。そうするよ、じゃあ、さっそく創ろうか———)
「アイシャ、アイシャに今から、良いものを創ってあげるからちょっと待っててね」
俺は俺の胸元にある可愛い水色の頭を撫でながら、そう言う。
アイシャはさっきまでギャンギャン泣いていたものの、良いものと聞いて目をぱっちりと見開いた。
「いいものぉ? にーにーがアイシャに何かくれるのぉ~?」
アイシャは可愛らしく、首を傾げている。
「うん、そうだよー! アイシャのためだけに創るからね~! 良い子で待っててね~」
俺はそう言って、さっそく作業を開始する。
機能に関しては付与魔法でどうとでもなるので、後にして、まずはどんな外形にするかだ。
指輪!? もしくはブレスレット?!?
それともイヤリング!? いや、ルイーゼと同じくネックレス!?
まだアイシャは小さいから、ブレスレットとかの方がいいかな?
まずは外形としてはブレスレットを意識して。
宝石は前と同じで、幻の宝石でもいいかな?
素材はミスリルをふんだんに使って、可愛らしく犬をモチーフにして、細工を施す。
俺はこうして外形部分の作成に成功した。
まだ付与は一切していないので、これから機能についてを色々と考えていく。
まず機能としては通話の機能が必要だよな。でも、どうせなら声だけじゃなくて、顔を見えるようにしたい。
ならば、ここはビデオ通話にしてーっと。
『マスター!? やっぱり、マスターの頭は頑固なのですか? わざわざ2次元的世界に生きなくてもいいじゃないですか? 別に顔を見るだけじゃなくて、触れ合えるようにしたらいいじゃないですか? ここはなんたって異世界ですよ?』
(…………た、確かに、そうだな。さすがチユキだな)
よし、じゃあ。ホログラム映像にして、感覚をリアライズにしてっと。
おーーー! これだけでも、なかなかいいものができたなぁ。
他にはどんな機能をつけよう。
やっぱり、アイシャの安全面、そして教育面を考えてっと。
よし、これで完成でいいかな?
————————————————
幻玉の異世界式究極腕輪
————————————————
等級 創生級
効果 <4次元通信><転移><絶対防御障壁>
<状態異常無効><智慧神の教育アプリ>
<幸運+10000><悪漢強制排除>
<自動サイズ調節>
<個人認証:アイシャ・グロービル>
————————————————
『ま、マスター……これは、完全に拗らせてますね、シスコンを……』
悪漢強制排除というのは、変な輩がアイシャに危害を加えようとした瞬間、極大の電流を体に流し、気絶させるというもの。
「よーし、できたよぉ! アイシャ! 兄ちゃん、すっごく頑張ったんだよ~」
「にーにー、それがアイシャのために作ったやつぅ~?」
「そうだよ~。アイシャのためにつくったんだよー。じゃあ、アイシャにこれ付けてあげるねえ~」
俺は今し方作った創生級のブレスレットをアイシャの左手首に取り付ける。
「にーにー♪ これ可愛いねぇ~! ありがとーにーにー」
アイシャはブレスレットには大変満足しているようで、ブレスレットをキラキラした瞳で眺めていた。
「でも、アイシャ~! これは、可愛いだけじゃないんだよ~!」
言って俺はアイシャにこのブレスレットの性能について話した。
アイシャは性能について聞いてもよくわからないみたいで、
「要するに、これを付けていれば、遠くに居てもアイシャのことは兄ちゃんが守ってあげるし、いつでも兄ちゃんに会うことができるんだよ」
俺は簡潔にこのブレスレットの性能を説明する。
簡単な説明をきいて、4歳のアイシャでも理解できたみたいで。
「にーにー♪ ありがと~♪ だいすきー」
顔を俺の胸に埋めて、スリスリとしている。
俺はこんな感じでアイシャからも冒険することの許可を取り付けたのであった。
あっ!? と、危ない危ない。
アイシャのブレスレットに<位置情報>の付与をしてっと。
『ま、マスター……気持ち悪いくらいのシスコンですね……否定はさせませんよ……』
チユキの冷たい言葉が俺の胸に突き刺さった。
『極悪奴隷商の悪役息子に転生したので、奴隷は売らずに大切に育てます』
『転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件』
を新作連載しました。
こちらも爽快で、主人公最強の冒険ファンタジーとなっておりまして、テンポよく1話1500字で毎日更新していきます。
是非読んで見てください。
王都において洗礼の儀、そして6歳のお披露目会が無事に終わった。
貴族というのは大抵が領地を陛下から与えられて、その土地を管理している。
俺の家も伯爵家なのでグロービル伯爵領というところを領地にし、そこを管理している。
今回は洗礼の儀とお披露目会があったため王都にいたのだが、とくに所用がない時は自領内にいるのがほとんどだ。
なので俺と父さん、そして母さん、そしてアイリス母様とアイシャは自領へと戻ることになる。
ジーク兄さんとマーク兄さん、そしてマイン姉さんはというと、王都にある実力至上主義である王立高等学校に在籍している。
王立高等学校は貴族、平民に関係なく寮生活を原則としているため、一緒に自宅に帰ることはできない。
「じゃあ、兄さん、姉さん。また、今度会いましょう」
俺が別れを兄さん達に告げると、
「「カイン、アイシャ元気でな」」
兄さん達が俺を優しく送り出してくれる。
一方姉さんはというと、
「うわぁぁぁぁん! なんて残酷なのよぉぉぉ! カインもアイシャもずっとこっちにいればいいじゃないぃぃ!」
別れを駄々っ子みたいに盛大に嘆いている。
アイシャはそんなマイン姉さんの様子を見て、面白いのかキャッキャっと楽しそうにしている。
マイン姉さんの悲痛の叫びなんかはそっちのけで、馬車の準備が整ったのか自領へと帰る面々が馬車へと乗り込む。
そして全員が乗り終えてから父さんの合図で馬車が動き出す。
残る3人にアイシャと俺は馬車の外に体を乗り出して手を振る。
3人の影がどんどんと小さくなっていき、3人の姿が見えなくなった。
王都の城門を抜けて、広大な平原を馬車で進んでいく。
伯爵家の馬車だけあって、車輪から伝わる振動もサスペンションのようなもので緩和されており、前世での自動車ほどではないが乗り心地はそれほど悪くはなかった。
馬車内では周りの景色を眺める以外に特にやることもなかったので、アイシャといろんな遊びをしていた。
「ひゃんけんほいっ! あいこでひょっ! あっちむいてほいっ!」
俺はアイシャとあっちむいてほいゲームをしたり、
石鹸を水で泡だてて、丸い輪っかをその液体につけ、丸い輪っかに息を吹きかけてバブルを作り出す、いわゆるシャボン玉で遊んだりしていた。
アイシャもシャボン玉にはかなりハマってしまったみたいで、飽きずにずっと外に向かってシャボン玉を作っていた。
グロービル伯爵領は馬車では半日くらいの道のりなのだが、なにかを忘れているようなそんな気がした。
なんだろうか、あまりにも今の生活が平和で楽しいからだろうか。
馬車の旅をしてみたいなんて思っていたからなのだろうか……
そんなことを考えてるとチユキからの念話が来て、
『マスター、このほのぼのした雰囲気であまり言いたくはないのですが、マスターが忘れていることを言ってしまってもいいですか?』
(あぁ、いいよ。俺も何かを忘れているような気がしてたから)
『では、じゃあ、遠慮なく言わせていただきますね。マスター、馬車で移動なんかしなくとも転移魔法でちゃちゃっと帰れば良かったんじゃないですか?』
(……………)
なんでことだ……
そうだよ。転移魔法を使えば一瞬で帰れたじゃないか……
『ま、マスター。そんながっかりしないで下さい。馬車の旅も楽しいものだったでしょう? 今度からはそうすればいいんじゃないですか?』
(……まぁ、確かにそうだね。馬車の旅もかなり楽しかったし、今回はこれはこれでありだね。で、どうしよう……転移魔法を使って帰れたことを父さん達に言うべきかな? 言わないべきかな?)
『まぁ、それはまた今度でいいんじゃないですか? 今、言ってしまったら今までの時間は何だったんだってなるでしょうからね』
(まぁ、そうだね。じゃあ、ここは黙っておこう)
チユキと転移に関してのことの方針を固めていたところ、かなりチユキとの念話に夢中になっていたようで、俺は父さんが俺に話しかけていることに気付かなかった。
「おい、カイン。聞いてるのか? カイン」
「あっ!? 父上。なんでしょうか?」
俺がぼーっとしていたように見えて、父さんが心配そうに声を掛けてくれていた。
「大丈夫か? カイン。なんか、ボケーっとしていたぞ。あ、そうそう。今言うのもなんなんだが、お前なら転移魔法が使えるんじゃないのか?」
父さんが俺とチユキの方針なんかは度外視でそんなことを訊いてきた。
俺とチユキはというと内心、父さんに対して、なんて空気の読めないやつなんだと思ってしまうのであった。
父さんはたまにこういう時がある。
俺の配慮を簡単に無視したり、フラグをポンと建てて行ったり……
少しは反省して欲しいものだ……
俺は今までの楽しかった空気を台無しにはしたくはないので、
「た、確かに、そうですね~(棒)そんな魔法があれば便利ですね~(棒)さすが父上ですね、発想がすごいと思います~(棒)さっそく、作って見てもいいですか?」
その場で即興で作ったように演出をする。
「あぁ、じゃあ、頼んでもいいか?」
チユキの言うところでは時空魔法EXを使えば難なく、転移できると言うことだ。
「もっと早く気づけば良かったですね。父上、何の問題もなく、転移魔法が出来たみたいですね。どうしますか?」
俺が転移魔法の完成を告げると、
「うむ。まぁ、今回はアイシャも楽しんでいることだし、このまま馬車で帰ることにしよう。カインの転移魔法は今後ともに役立つと思うから、その時は頼むな」
アイシャが楽しそうにしているおかげで、その後も微妙な空気になることもなく楽しい馬車の旅が続いた。
そして、その後も特に何事もなく、俺と俺の家族はグロービル伯爵領へと到着し屋敷へと到着した。
馬車の旅が思ったよりもきついものだったので、さっそく体を休めるため、自分の与えられた部屋へと向かった。
汚れを【クリーン】と呼ばれる生活魔法で落としてから、キングサイズのベッドへとダイブした。
ベッドの上で仰向けになりながら、俺は真っ白な天井を見上げ、これからのことを考える。
王都では洗礼の儀でかなりのチート恩恵を貰って、そのおかげで念願の魔法が使えるようになった。
こんなものが貰えるとは思いもしなかったので、これからどうすればいいのか非常に悩ましい。
俺がそんな考えている時に頼りになるのはやっぱりアイツで
『マスター! せっかくチートとやらを貰ったんですから冒険者になればいいんじゃないですか? せっかくの異世界ファンタジーですよ? 冒険をしないなんて手はありませんよ?』
(まぁ、確かに冒険者にはなりたいと思ってだんだけど、なんかありきたりじゃないか?)
『えっ!? ありきたりじゃダメなんですか? ファンタジーなんて大抵はありきたりでありふれたものじゃないですか?』
(まぁ、チユキの言うことは正しいね。でも、俺はまだ6歳なんだよね。せめて、15歳くらいの見た目が欲しいんだよなぁ)
正直なことを言うと、さすがに6歳の見た目で冒険者になるのは色々面倒なことが起きるだろうから、かなり妥協して15歳の容姿。できるのならば18歳がいいかな。
なんてことを考えていると、
『マスター、今更何を言ってるんですか? マスターなら見た目なんて簡単に変えられるじゃないですか? この世界はマスターの思うがままですよ?』
(そ、そういえばそうだったね。庶民的、凡人的な感覚が深く根付いているせいで、そんな発想はできなかったよ。ってことは姿を変えれば、面倒ごとは少なく旅ができるんだな?)
『まぁ、そうですね。比較的少なくなるとは思いますが、マスターなのでどうなるかはわかりませんね』
確かに、なんか主人公補正のせいで問題ごとに絡まれそうな気もしなくはないが、楽しい旅ができるのなら多少のことはまぁいいとしよう。
(それじゃあ、明日には父さん相談することにするよ。俺のステータスを見てるから、安全面に関しては断ることなんて出来ないだろうしね。1番の懸念点はアイシャのことかな?)
俺が冒険をすると言って、旅に出かけたらアイシャはすごく悲しむだろうし、すごく寂しい思いをするだろう。
そうならないためにも何かいい方法は無いのだろうか、と俺はそんなことを考えながら、馬車での疲労がかなり蓄積していたのか眠ってしまった。
⭐︎⭐︎
昨日はそのまま眠ってしまったみたいで、かなりぐっすりと眠ることができた。
俺は昨日今後自分がどうしていくのかを考えた。そして考えた結果、これからは冒険をするために冒険者になることを決めた。
それを父さんに伝えるために、父さんの執務室へと向かう。
父さんの執務室の扉をノックしてしばらくして中へと入る。
「おぉ、カイン。お前がここに来るなんて珍しいな。どうしたんだ? 何かあったのか?」
俺の父さんが俺を笑顔で迎えてくれる。
「父上、実は相談がありまして————」
俺は昨日考えたことを父さんに伝える。
・この世界を回り冒険をするために冒険者になること
・このままの容姿では面倒ごとが余計に増えるため、姿をかえること
などなどだ。
その話を聞いた父さんはというと、
「うーーん……そうだなぁ。本来であれば、洗礼の儀を終えた後は初等部の学園に通うか、武術や魔法そして勉強の家庭教師を雇って、王立高等学校に入るため勉強をするかなんだけどなぁ……お前の場合だと智慧神だったっけか? あれがあればわざわざ勉強をするなんてことは馬鹿らしいし、武術や魔法なんてもはや、必要ないもんな……できれば、自重と常識を学んで欲しいってのが親としての意見なんだが————」
と、父さんが口にする。
自重と常識を学んで欲しいなんて言われたら、俺も乾いた笑いしか出てこない。
「まぁ、おいおい自重は学んでいくとして。僕の場合これから王立高等学校にはいるまでの6年間は手持ち無沙汰になってしまうと思うんです。だから家を出て、世界を見て回ろうかと思ったんですが?」
6年もあれば、きっと世界各地を回って、観光することだって可能だろう。
「まぁ、そうだなぁ。お前を常識という型にはめ込むのは良くないのかもしれないな。よし! じゃあ、お前が冒険者になることを許可してやる。そのかわり、今の姿ではなく、さっきお前が言った通り、変装して冒険をすること。名前はケントだったっけか? その名前で活動するという条件で許可する」
「はい、わかりました。では王立高等学校に入学するまでの6年間は冒険者として活動することにします」
ケントというのは俺の前世での名前で、特に意味はないのだが、思いついたのがそれだったので、ケントにすることにした。
とりあえず父さんの許可を得ることができた。
けれども、父さんを説得するなんかよりも、よっぽど説得するのに難易度の高い人物がいた。
それは—————
「にーにー! にーにー! うわぁぁああん!」
「アイシャ。どうしたの? そんなに泣いて」
アイシャがワンワンと泣きながら、俺の元へと小さな体で必死に駆け寄って、そのまま俺の胸元へとダイブしてきた。
「にーにー! ダメですぅ~! にーにーはアイシャと一緒ですぅ~! にーにーがおうちから出るのなら、アイシャもにーにーと一緒ですぅー!」
アイシャは俺が冒険者になって、この家から出ていくことをアイリス母様から聞いたのか、それを止めるべく俺の元へと駆けつけてきた。
これは昨日から予想していたことで、
(ねぇ、チユキ。どうしたらいいかなぁ? 一緒には絶対連れて行けないし、冒険者になることをやめるなんてこともできない……)
『そうですねぇ。強引でいいのでしたら、簡単な事なんですけど、マスターはそれを望まないでしょうからね~』
(うん、そうだね。自分のことならいいのだけど、やっぱり可愛い妹になるとね、どうなるか分からないから慎重に行きたいね)
『うーん、手取り早いのは、冒険者として活動しながらも夜は転移魔法でここに帰ってくるとかですかねー。でも、これはマスターも嫌でしょう?』
(うん。確かに手取り早いけど、避けたいね。父さんにも家を出てくと言ってあるし、なんだかダサい気がするからね)
『はぁ、マスターも面倒くさいですねぇ。じゃあ、こんなのはどうですか? アイシャにマスターと簡単に連絡する手段を与えてあげるってのは」
確かに家にいなくて離れていても、前の世界ではコミュニケーションは取れていた。
それをアイシャと俺の間で繋げればいいのか。
(なるほどね! さすが、チユキ! いい案だね。でも、どんな感じにするの? 前世でいう携帯電話みたいな感じかな?)
携帯電話って言っても、前世でいうスマートフォンみたいな感じでいいんかな?
『プップップ! マスターの頭って石頭なんですか? そうなんですか? 流石の私もおかしくて笑っちゃいましたよ』
(な、なんなんだ!? 俺がいつおかしな事をいった? 俺は遠距離で通話ができるように、電話というものを考えただけなんだが?)
『プップップ! マスター、それは考えたなんて言いませんよ? マスターは考えるのを放棄して、ある既存のものを当てはめただけですよ?』
(…………で、それでなんで俺が石頭と言われなきゃならないんだ?)
『まぁ、意外とお馬鹿なマスターで良かったです。私も働きがいがありますね。じゃあ、お馬鹿なマスターにヒントをあげるとすると、機能が電話であればいいですよね?』
(…………た、確かに……そうだ)
言われてみれば確かにそうであった。
遠距離でも通話できる機能を持ったものならなんでもいい。
この世界では付与魔法なんてものをあるから、技術力があれば前世みたいな携帯の形をしていなくとも、その場に落ちている石ころにだって携帯の機能を持たせることができる。
『やっと、気がついたみたいですね。じゃあ、それではさっそく作ってみたらどうですか?』
(うん。そうするよ、じゃあ、さっそく創ろうか———)
「アイシャ、アイシャに今から、良いものを創ってあげるからちょっと待っててね」
俺は俺の胸元にある可愛い水色の頭を撫でながら、そう言う。
アイシャはさっきまでギャンギャン泣いていたものの、良いものと聞いて目をぱっちりと見開いた。
「いいものぉ? にーにーがアイシャに何かくれるのぉ~?」
アイシャは可愛らしく、首を傾げている。
「うん、そうだよー! アイシャのためだけに創るからね~! 良い子で待っててね~」
俺はそう言って、さっそく作業を開始する。
機能に関しては付与魔法でどうとでもなるので、後にして、まずはどんな外形にするかだ。
指輪!? もしくはブレスレット?!?
それともイヤリング!? いや、ルイーゼと同じくネックレス!?
まだアイシャは小さいから、ブレスレットとかの方がいいかな?
まずは外形としてはブレスレットを意識して。
宝石は前と同じで、幻の宝石でもいいかな?
素材はミスリルをふんだんに使って、可愛らしく犬をモチーフにして、細工を施す。
俺はこうして外形部分の作成に成功した。
まだ付与は一切していないので、これから機能についてを色々と考えていく。
まず機能としては通話の機能が必要だよな。でも、どうせなら声だけじゃなくて、顔を見えるようにしたい。
ならば、ここはビデオ通話にしてーっと。
『マスター!? やっぱり、マスターの頭は頑固なのですか? わざわざ2次元的世界に生きなくてもいいじゃないですか? 別に顔を見るだけじゃなくて、触れ合えるようにしたらいいじゃないですか? ここはなんたって異世界ですよ?』
(…………た、確かに、そうだな。さすがチユキだな)
よし、じゃあ。ホログラム映像にして、感覚をリアライズにしてっと。
おーーー! これだけでも、なかなかいいものができたなぁ。
他にはどんな機能をつけよう。
やっぱり、アイシャの安全面、そして教育面を考えてっと。
よし、これで完成でいいかな?
————————————————
幻玉の異世界式究極腕輪
————————————————
等級 創生級
効果 <4次元通信><転移><絶対防御障壁>
<状態異常無効><智慧神の教育アプリ>
<幸運+10000><悪漢強制排除>
<自動サイズ調節>
<個人認証:アイシャ・グロービル>
————————————————
『ま、マスター……これは、完全に拗らせてますね、シスコンを……』
悪漢強制排除というのは、変な輩がアイシャに危害を加えようとした瞬間、極大の電流を体に流し、気絶させるというもの。
「よーし、できたよぉ! アイシャ! 兄ちゃん、すっごく頑張ったんだよ~」
「にーにー、それがアイシャのために作ったやつぅ~?」
「そうだよ~。アイシャのためにつくったんだよー。じゃあ、アイシャにこれ付けてあげるねえ~」
俺は今し方作った創生級のブレスレットをアイシャの左手首に取り付ける。
「にーにー♪ これ可愛いねぇ~! ありがとーにーにー」
アイシャはブレスレットには大変満足しているようで、ブレスレットをキラキラした瞳で眺めていた。
「でも、アイシャ~! これは、可愛いだけじゃないんだよ~!」
言って俺はアイシャにこのブレスレットの性能について話した。
アイシャは性能について聞いてもよくわからないみたいで、
「要するに、これを付けていれば、遠くに居てもアイシャのことは兄ちゃんが守ってあげるし、いつでも兄ちゃんに会うことができるんだよ」
俺は簡潔にこのブレスレットの性能を説明する。
簡単な説明をきいて、4歳のアイシャでも理解できたみたいで。
「にーにー♪ ありがと~♪ だいすきー」
顔を俺の胸に埋めて、スリスリとしている。
俺はこんな感じでアイシャからも冒険することの許可を取り付けたのであった。
あっ!? と、危ない危ない。
アイシャのブレスレットに<位置情報>の付与をしてっと。
『ま、マスター……気持ち悪いくらいのシスコンですね……否定はさせませんよ……』
チユキの冷たい言葉が俺の胸に突き刺さった。
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