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リリアン、デートにお出かけ
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シュペール王国で聖女だったリリアンは、小早川ユウキが通う、私立アンビシャス学園の女子の制服姿に変身したのだった。
「どう、似合う?」
この学園のかわいらしい女子用の制服姿が気にいったリリアンは、ユウキの前でくるっとまわってポーズをとってみせた。異世界出身の伯爵令嬢には、初めての制服姿なのにおそろしいほどハマっていた。
「似合うどころか、最高だよ! ほんとに綺麗たよ、リリアン」
「ありがとう」
いささか大げさすぎるくらいにユウキからほめられて、リリアンの顔がほころんだ。これまで過酷な運命を強いられてきた彼女にとって、人前で笑顔になるなんて、いつ以来のことだろうか?
「こんな服を来て勉強するなんて素敵だわ。でもスカートがちょっと短すぎるかもね」
リリアンは制服への感想を述べた。ユウキは、彼女は何にでも変身できるのかと、疑問に思ったので聞いてみた。
「リリアンは何にでも変身できるの?」
「服装だけはね、なんでも変身できる。中身は他人になりかわることはできないわ」
「でも、すごいなあ」
リリアンの能力なら、この程度は軽いものだったが、ユウキは感嘆しきりだった。
「なんだか、こっちはいい世界みたいね」
まだ来たばかりなのに、リリアンは早くもこの世界に好感を抱いていた。ここならやっていけるかもしれない。もう自分は聖女でも、次期王妃でもないのだ。誰からも縛られず
自由に生きてみたい。
だが、その時、リリアンのおなかがキューっと鳴ったのだった。恥じらいで美少女の頬が真っ赤に染まった。
「いやん、ごめんなさい。恥ずかしいわ、おなかが鳴るなんて」
振り返ると、処刑の朝から、リリアンは何も食べていなかった。腹ペコ状態である。
ユウキは笑いながら
「いいんだよ。お腹がすいてるんでしょ。何か食べ物を持ってくるから」
と言うと家の台所から、食べ物を持ってきた。知らない食べ物だったがおいしかった。ようやくリリアンは空腹を満たすことができた。
この一連の出来事から、リリアンとユウキはすっかり意気投合して、年来の知り合いのように親しく話せるようになった。リリアンは、思い切ってユウキにおねだりしてみた。
「ユウキ、わたし、この世界の事もっと知りたいの。外に出て案内してもらえる?」
「うん、いいよ。いろいろ行ってみよう」
こんな美少女と二人だけでお出かけできることになったユウキも、早くも嬉しさを隠しきれない顔つきになっている。リリアンを案内するフリをして、うまくデートにするつもりだった。
「よし、さっそく出かけよう」
リリアンの魔法で、履物も準備できた。出発である。
「ああん、なんだかワクワクしてきたわ。今、心臓がドキドキしてる」
「どうして?」
リリアンの意外な反応に、ユウキが理由を尋ねると
「わたし、シュペール王国では殿方と2人きりで外に出かけたことなんてなかったの。これが初めてよ」
「へえ、伯爵令嬢って厳しいんだね。こういうのをこっちではデートっていうんだよ」
「デート?」
「男と女が二人で会って、食事したりお話しすることだよ」
「うわあ、ステキね。とっても楽しみ」
リリアンは婚約者だった王太子とも、2人で出かけたことはなかったのだ。伯爵令嬢、聖女とシュペール王国では常に特別扱いで、常に取り巻きやお付きのものが傍にいた。彼女にとって生まれて初めての男性とのデートだった。
「どう、似合う?」
この学園のかわいらしい女子用の制服姿が気にいったリリアンは、ユウキの前でくるっとまわってポーズをとってみせた。異世界出身の伯爵令嬢には、初めての制服姿なのにおそろしいほどハマっていた。
「似合うどころか、最高だよ! ほんとに綺麗たよ、リリアン」
「ありがとう」
いささか大げさすぎるくらいにユウキからほめられて、リリアンの顔がほころんだ。これまで過酷な運命を強いられてきた彼女にとって、人前で笑顔になるなんて、いつ以来のことだろうか?
「こんな服を来て勉強するなんて素敵だわ。でもスカートがちょっと短すぎるかもね」
リリアンは制服への感想を述べた。ユウキは、彼女は何にでも変身できるのかと、疑問に思ったので聞いてみた。
「リリアンは何にでも変身できるの?」
「服装だけはね、なんでも変身できる。中身は他人になりかわることはできないわ」
「でも、すごいなあ」
リリアンの能力なら、この程度は軽いものだったが、ユウキは感嘆しきりだった。
「なんだか、こっちはいい世界みたいね」
まだ来たばかりなのに、リリアンは早くもこの世界に好感を抱いていた。ここならやっていけるかもしれない。もう自分は聖女でも、次期王妃でもないのだ。誰からも縛られず
自由に生きてみたい。
だが、その時、リリアンのおなかがキューっと鳴ったのだった。恥じらいで美少女の頬が真っ赤に染まった。
「いやん、ごめんなさい。恥ずかしいわ、おなかが鳴るなんて」
振り返ると、処刑の朝から、リリアンは何も食べていなかった。腹ペコ状態である。
ユウキは笑いながら
「いいんだよ。お腹がすいてるんでしょ。何か食べ物を持ってくるから」
と言うと家の台所から、食べ物を持ってきた。知らない食べ物だったがおいしかった。ようやくリリアンは空腹を満たすことができた。
この一連の出来事から、リリアンとユウキはすっかり意気投合して、年来の知り合いのように親しく話せるようになった。リリアンは、思い切ってユウキにおねだりしてみた。
「ユウキ、わたし、この世界の事もっと知りたいの。外に出て案内してもらえる?」
「うん、いいよ。いろいろ行ってみよう」
こんな美少女と二人だけでお出かけできることになったユウキも、早くも嬉しさを隠しきれない顔つきになっている。リリアンを案内するフリをして、うまくデートにするつもりだった。
「よし、さっそく出かけよう」
リリアンの魔法で、履物も準備できた。出発である。
「ああん、なんだかワクワクしてきたわ。今、心臓がドキドキしてる」
「どうして?」
リリアンの意外な反応に、ユウキが理由を尋ねると
「わたし、シュペール王国では殿方と2人きりで外に出かけたことなんてなかったの。これが初めてよ」
「へえ、伯爵令嬢って厳しいんだね。こういうのをこっちではデートっていうんだよ」
「デート?」
「男と女が二人で会って、食事したりお話しすることだよ」
「うわあ、ステキね。とっても楽しみ」
リリアンは婚約者だった王太子とも、2人で出かけたことはなかったのだ。伯爵令嬢、聖女とシュペール王国では常に特別扱いで、常に取り巻きやお付きのものが傍にいた。彼女にとって生まれて初めての男性とのデートだった。
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