悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~

橘花やよい

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第1章 憧れのお嬢さま学校!

(6)悪魔の学校と、苦学生

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「アルカナ学園はね、悪魔のお嬢さまやお坊ちゃまが通う名門校なのよ。……まあ、わたしは、ちょっとちがうんだけど」

 それまで胸を張っていたロゼが、なぜだか、しゅん、とうつむいた。見ていると、こっちまで寂しくなりそうな姿に、混乱しながらも思わず声が出る。

「ちがうって?」

 ロゼが、ちらりと、わたしを上目づかいに見つめた。

「わたしの家はね、その……実は、すこし貧乏なの」
「えーと……、お嬢さまじゃないってこと?」
「そう。本当は、この学園に入学するお金がないくらい、貧乏で……」

 ロゼはくちびるをかんでから、気を取り直すみたいに首をふった。

「だけどね、アルカナ学園は入学試験で一番の成績をとると、学費が無料になるのよ。だからわたし、とっても勉強して、今年入学できることになったの!」
「へえ……? それはすごいね……? おめでとう……?」
「ありがとう。でも、まだひとつ問題があるの」

 ロゼはバラの花をなでて、ふうっとため息をつく。

「学園には、主人と使用人のふたり一組で入学することになってるの。でも、わたしには使用人がいない。仕方ないから、使用人の代わりに使い魔を魔界から連れてきたのに、その黒猫に、逃げられちゃって……」

 使い魔っていうのは、魔法の手伝いをする、相棒みたいなものなんだって。ロゼの使い魔は、黒猫。それが逃げてって……あっ、もしかして。

「それ、昨日の猫のこと? 男の子が追いかけてたやつ」
「そう、ご明察! リリイが見た黒猫が、わたしの使い魔よ」

 ロゼは大きなひとみに、うるうると涙をためた。

「結局、使い魔を捕まえられなかったの。だからね、使用人も使い魔もいないわたしは、いま、入学取り消しの危機なのよ!」
「え、あ……、泣かないで! ほらハンカチ!」

 きれいな雫がぽろり、とロゼのひとみからこぼれるから、とっさにハンカチを渡した。

 ……ていうか、黒猫。捕まえられなかったんだ。それって、わたしのせいでもあるのかな? 昨日、男の子は、わたしとぶつかったから、黒猫を見失ったのかもしれない。そう思うと、ちょっと申し訳なくなってきた。

「な、なんかごめんね。わたしにできること、ある? 手伝うよ」
「本当? わたしのお願い、聞いてくれるの……?」

 そりゃあね。困ってる子は、放っておけないし。

(まあ、いまはわたしも、絶賛困ってるんだけど……。それでも)

 わたしより身長の低いロゼのひとみを、じっとのぞきこむ。

「大丈夫、わたしに任せて。だから泣かないでよ。ね?」

 するとロゼは、わたしの手をぎゅっとにぎった。

「リリイってば、かっこいいわね!」

 ……なんか、また王子っぽいって思われてそうだ。まあ、いっか。ロゼが泣きやんでくれるなら、それが一番だし。
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