悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~

橘花やよい

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第5章 執事の特訓!

(1)休日の疑惑

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 土曜日。わたしは必死に頭をフル回転させていた。右、左、三歩進んで、つぎはターンで――……。

「うん、リリイ、その調子よ、……いたっ」
「あああっ、ごめんロゼ!」

 どうしよう。ダンスが……、うまくならない! 練習をはじめてから、もう二週間が経ったのに。

「わたし、ダンス、向いてないのかなあ……」
「そんなことないわ。たくさん練習しているもの、自信をもって。はい、タオル」
「ありがとう。わ、バラのワッペンだ」

 タオルにはワンポイントで、ばらのワッペンがついていた。かわいい!

 だけどロゼは、しゅん、とうつむいた。あれ。

「実はタオルに穴が開いていて。ワッペンでふさいだのよ。貧乏っぽいわよね……」

 あああ、まずい! ロゼが気にしちゃってる! 「貧乏」はNGワードだ!

「ううん。ものを大切にするのはいいことだよ! というか、ロゼ器用だね! 自分で穴をふさいじゃうなんて!」
「……そう?」
「うん! ロゼはすごいよ!」
「……ありがとう」

 よ、よかった。ごまかせたっぽい……。

(それにしても問題は、わたしのダンスだよ!)

 ううう、とうなるわたしに、ロゼは申し訳なさそうな顔になった。

「リリイ。悪いけれど、わたしはこのあと用事があるの。今日は練習を終わりましょう」
「え……、また? ロゼ、休みの日はいつもどこか行くよね」
「ええ、ちょっとね。でもリリイは気にしないで。ゆっくり休んでちょうだい」

 止める間もなく、ロゼは走っていっちゃった。

(用事って……ロゼ、なにやってるのかな)

 休みの日のロゼの「用事」は、実は今日がはじめてじゃない。入学してから、ずっとだ。なにしてるのって聞いても答えてくれないし、一緒に遊ぼうと誘っても断られる。……もしかして、わたし、さけられてる?

(いやいや、ロゼはそんなことしないはず!)

 ぶんぶんと首をふる。だけど、いやな考えはふり切れなかった。だって、

『あらあら、ぜんぜん踊れてないじゃない。男の子役がリードされていちゃ、だめよね』
『せっかく見た目はかっこいいのにねえ』
『やっぱり代打の執事でしかないみたいね』

 こそこそと聞こえた声が、ぐさっと胸にささった。声のした方を見れば、お嬢さまたちがいじわるな笑みを浮かべている。また陰口……でも、なにも言い返せないな。

 ダンスは男の子役がリードしなきゃいけないんだって。なのに、わたしは女の子役のロゼに引っ張ってもらって、やっと踊れている状態……。

(ああもう、このままじゃ、嫌なことばかり考えちゃいそうだ! 気分転換しよう!)
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