【完結】おはよう、僕のクラリス〜祝福という名の呪いと共に〜

おもち。

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プロローグ

女神からの贈り物①

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 ──祝福。


 それはこの世界に生を受けた一部の人間にだけ発現する、女神アルテナから賜りしギフトである。
 祝福を授かった選ばれし者達は、その力を国の為に行使した。その恩恵により人々は豊かな生活を手に入れ、幸せに暮らしていた。
 
 祝福を授かっているかは生まれた直後では分からず、授かっていたとしてもどんな能力なのか判断が出来ない。
 そのため親は、子供が祝福を発現すると言われる5歳になると神殿へ連れて行き、神の代弁者である神官から祝福検査を受ける。
 そうして初めて、授けられた能力の詳細が判明するのだった。

 女神からのギフトには多種多様な効果がある。
 その家に繁栄をもたらすものや、癒しの作用があり国としても重宝されるもの。洗浄や清潔などといった日常生活に欠かせないものまで、その種類は多岐に渡った。
 
 ほとんどの人間は女神から授かった祝福を悪用する事はない。それは祝福を悪用すると信仰する女神、アルテナ様からの厳しい罰が与えられると遥か昔から信じられているからだった。
 しかし悲しい事に、祝福を使った犯罪を犯す人間は一定数いる。過去から遡り祝福を利用し犯罪を犯した者は、皆悲惨な末路を辿った。

 悲しい歴史を繰り返しながらも、今日も人々は祝福の恩恵にあやかり、自らの生活を豊かなものにしていく。
 そうやっていくつもの時代は巡り、今日も我が子が祝福を授かっているのかを知る為、人々は神殿に赴き神官からの言葉を固唾を飲んで待っていた。
 
 我が子は女神アルテナに選ばれし人間なのか否かを知るために──。
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