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本編
第十六話 運命だった・アイザック視点①
クレイン侯爵邸から帰宅する馬車の中で先程のアリアの様子を思い浮かべる。
「私、初めてお会いした時からずっとアイザック様を愛しています」
彼女からあんな風に真っ直ぐ愛してると言ってもらえるなんて……。
アリアには申し訳ないが今日会う事が出来て本当に良かった。
私は誰よりもアリアを愛してる。
同時にこの歪んだ想いは決して彼女には知られてはいけない——。
幼い頃、茶会でアリアを見かけた時一瞬で釘付けになった。一目惚れだった。
彼女の事が頭から離れない私は父に頼み調べてもらうと、彼女はクレイン侯爵家のたった一人の娘だという事が分かった。
アリアも私も時期侯爵となる為、本来なら彼女を妻に望む事は出来ない。
それでも私はアリアを諦める事が出来なかった。
だから必死で父に頼み込み、表向きはクレイン侯爵家との事業提携と言う名目まで用意してもらった。
父の協力もあり私は無事にアリアを婚約者にしてもらう事が出来た。あの時の全身を歓喜が巡り満たされた感覚は今でも忘れる事は出来ない。
歳を取るごとにますます私のアリアへの愛は、大きく膨れ上がっていった。
癖のない真っ直ぐに伸びた輝く銀髪も、私を見つめる時に潤むアメジストの瞳も、アリアを構成する全てが愛おしく何度も触れたくて堪らなかった。
でも私みたいな邪な欲を持つ人間が触れたら、汚れを知らないアリアを汚してしまうのではないかとずっと不安で、結局エスコート以外触れ合う事すら出来ていない。
もしこんな想いを抱く私が、アリアに触れ拒否されたら?
最愛のアリアに拒否などされたら、私は間違いなく生きていけない。アリアに拒否されて生きていける程、私は強い人間じゃない。
婚姻まであと少し……。
そう、そうだ。婚姻したら少しづつ触れ合っていけばいい。だって私達は夫婦になるのだから。
それに婚姻したら、永遠に閉じ込めてしまおう。二度と誰かの瞳にアリアが映る事がないように。アリアの瞳に私以外の他人が映る事がないように……。
大切なものは誰にも取られないように隠してしまえばいい。
そう思い、アリアといる時は常に嫌われないように必死で紳士的に努めた。
そんな時だろうか。アリアの従姉妹であるエミリー嬢がやたらと接触してくるようになったのは。
アリアと私のところにまるで寄生虫みたく付き纏い、正直迷惑以外の何者でもなかった。
それでも誠実に対応していたのは、アリアの従姉妹だったからだ。
従姉妹に対して、『気持ちが悪いから、私達の邪魔をしないでほしい』と私が思ってるなんて、万が一アリアに知られて嫌われたら……?
私達の邪魔をしてくる人間の事よりも、アリアに嫌われる事の方が何倍も恐ろしかった私は、常に仮面のような笑顔を貼り付けてエミリー嬢に接していった。
それをどう捉えたのか、ある夜会でアリアがいないのを承知の上、エミリー嬢がやってきた。
そしてあろう事か、私を好きだと言ってきた。
自分の従姉妹の婚約者に好きだと言える神経が分からず、ただただ気持ちの悪いエミリー嬢から1秒でも早く離れたくて、引き攣る顔を抑える事すら出来ず聞こえないフリをしてその場を後にした。
「私、初めてお会いした時からずっとアイザック様を愛しています」
彼女からあんな風に真っ直ぐ愛してると言ってもらえるなんて……。
アリアには申し訳ないが今日会う事が出来て本当に良かった。
私は誰よりもアリアを愛してる。
同時にこの歪んだ想いは決して彼女には知られてはいけない——。
幼い頃、茶会でアリアを見かけた時一瞬で釘付けになった。一目惚れだった。
彼女の事が頭から離れない私は父に頼み調べてもらうと、彼女はクレイン侯爵家のたった一人の娘だという事が分かった。
アリアも私も時期侯爵となる為、本来なら彼女を妻に望む事は出来ない。
それでも私はアリアを諦める事が出来なかった。
だから必死で父に頼み込み、表向きはクレイン侯爵家との事業提携と言う名目まで用意してもらった。
父の協力もあり私は無事にアリアを婚約者にしてもらう事が出来た。あの時の全身を歓喜が巡り満たされた感覚は今でも忘れる事は出来ない。
歳を取るごとにますます私のアリアへの愛は、大きく膨れ上がっていった。
癖のない真っ直ぐに伸びた輝く銀髪も、私を見つめる時に潤むアメジストの瞳も、アリアを構成する全てが愛おしく何度も触れたくて堪らなかった。
でも私みたいな邪な欲を持つ人間が触れたら、汚れを知らないアリアを汚してしまうのではないかとずっと不安で、結局エスコート以外触れ合う事すら出来ていない。
もしこんな想いを抱く私が、アリアに触れ拒否されたら?
最愛のアリアに拒否などされたら、私は間違いなく生きていけない。アリアに拒否されて生きていける程、私は強い人間じゃない。
婚姻まであと少し……。
そう、そうだ。婚姻したら少しづつ触れ合っていけばいい。だって私達は夫婦になるのだから。
それに婚姻したら、永遠に閉じ込めてしまおう。二度と誰かの瞳にアリアが映る事がないように。アリアの瞳に私以外の他人が映る事がないように……。
大切なものは誰にも取られないように隠してしまえばいい。
そう思い、アリアといる時は常に嫌われないように必死で紳士的に努めた。
そんな時だろうか。アリアの従姉妹であるエミリー嬢がやたらと接触してくるようになったのは。
アリアと私のところにまるで寄生虫みたく付き纏い、正直迷惑以外の何者でもなかった。
それでも誠実に対応していたのは、アリアの従姉妹だったからだ。
従姉妹に対して、『気持ちが悪いから、私達の邪魔をしないでほしい』と私が思ってるなんて、万が一アリアに知られて嫌われたら……?
私達の邪魔をしてくる人間の事よりも、アリアに嫌われる事の方が何倍も恐ろしかった私は、常に仮面のような笑顔を貼り付けてエミリー嬢に接していった。
それをどう捉えたのか、ある夜会でアリアがいないのを承知の上、エミリー嬢がやってきた。
そしてあろう事か、私を好きだと言ってきた。
自分の従姉妹の婚約者に好きだと言える神経が分からず、ただただ気持ちの悪いエミリー嬢から1秒でも早く離れたくて、引き攣る顔を抑える事すら出来ず聞こえないフリをしてその場を後にした。
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