【改稿版・完結】その瞳に魅入られて

おもち。

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本編

第十七話 運命だった・アイザック視点②

 
 しかしそれ以来、夜会やアリアと一緒にいる時に偶然遭遇する頻度が上がった。そして何故かその度に何度も目配せしてくるようになった。
 何を伝えたいのかは分からなかったが、未知の生物に全身を犯されているような感覚に陥り、恐怖で何度も叫び出しそうになった。

 だけどアリアには言えなかった。
 まさか私がエミリー嬢に対して、『未知の生物を見た時と同じ恐怖心』を抱いているから、彼女と仲良くしないでくれなんて言えるわけなかった。
 エミリー嬢に酷い態度を取って彼女との仲が悪くなったらと想像し、とてもじゃないがそちらの方が私には耐えられなかった。
 どうせ一時の気の迷いだ、すぐに落ち着くだろうと思っていたあの頃を悔やんでも悔やみきれない。


 あの日、以前から約束していたアリアとの茶会は、突然現れたエミリー嬢によって妨害された。
 何故か先触れもなく突然押しかけてきたエミリー嬢に、我が家の使用人も皆不思議そうにしていた。
 こんな所を万が一アリアに見られて勘違いされたら困ると思い、すぐに人目につかない場所へ移動した。
 そしてそのまま裏口から、速やかに帰ってもらうつもりだった。

 移動中どうして突然我が家に来たのか問いただせば、不安だったからだと言ってきた。
 一体何が不安なのかよく分からず、まるで言葉も通じない別の生き物のように思え、早く帰ってほしい旨を伝えると突然、『抱きしめて愛していると言ってほしい』と泣かれ、アリアとの約束の時間が迫っていた私は焦り、一秒でも早く帰ってほしくて乱暴な言い方と雑な抱擁で愛してると希望通りにした。

 こんな事をしている間も、アリアとの大切な時間が削られていくのかと思うと、邪魔ばかりするこの女が心底憎かった。
 だから私は、その現場を予定時刻より早く到着した、何よりも大切なアリアに見られていた事も、 その光景をアリアがどんな気持ちで見ていたかなんて、何一つ気づいていなかった。

 先程の会話でエミリー嬢とのやり取りを見られたのかと肝を冷やしたが、アリアの様子はいつもと変わらなかった。
 確かに少し顔色は悪かったがそれは応接室に入ってきた時からずっとだった。
 アリアとのやり取りで多少の不安はあったが、婚姻まであと少し。
 婚姻したら時間の許す限り共に過ごしたらいい。
 私たちはこれから共に長い時間を過ごして行くのだから。
 この時の私はアリアに愛してると言われ、酷く浮かれていた。
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