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美人学生最上さんの証言
しおりを挟む「はい。昨日はここで実験……というよりは、実験データの入力と解析をしていましたよ」
紅い唇で妖艶に微笑みながら、最上が答えた。
研究室を訪ねた時、彼女は僕達の奇怪な格好に驚きを示したものの、小瀬と同じように快く受け入れてくれた。
ちなみに、小瀬の所とは違い、研究室には何人か学生がいて実験を行っていたので、邪魔にならないように研究室の隣にある部屋に通された。実際、実験機の音がうるさかったので、こちらとしてもその方が話しやすくて助かる。隣の部屋からは相変わらず機械の音が響いてはいるが、先ほどよりは幾分かマシである。
「変わったこと? そうですね……」
最上が首をひねるのに合わせ、ポニーテールにされた長い栗色の髪がかすかに揺れる。質問は、先ほど小瀬にした内容と同じ、昨夜の事についてである。
「昨日は新井君が電話に出なくて困ってました」
「確か、新井さんの携帯に何度電話をかけても出なかったので、優衣ちゃんに電話をかけてみたんですよね」
多分、依頼人から仕入れた情報なのだろう。奈央が相槌を打つ。依頼主である橘は、消えた新井とは仲の良い幼馴染という関係で、帰りはいつも一緒らしい。
「はい。新井君に用事があったので、何度か彼に電話してみました。でも、何度電話しても出る気配がなかったので、優衣ちゃんに電話してみたんです」
彼女の白くて細い指がティーカップに触れる。その洗練された手の動きに合わせ、彼女の唇の様に紅いマニキュアがキラキラと光る。
「優衣ちゃんはその電話を受けて新井さんの研究室に行ってみたんですね。でも、新井さんは既にそこには居なかった……」
「はい。それで、私も心配になって優衣ちゃんと一緒に新井君を探したんですが、まさかこんな事態になってしまうなんて……」
奈央の言葉に対し、最上は意志の強そうな黒い瞳を少し伏せながら話す。美人である彼女がする憂いを帯びた表情は、とても絵になった。
(綺麗だな……)
不謹慎だが、ふとそんな事を思っていると、窓の外側の方からカタン……カラカラドスンと、奇妙な音が鳴った。
「ねぇ。アル? 外で何か音が聞こえなかった?」
「ん? そんな音は聞こえなかったぞ? それよりもこの機械音、何とかならないのか? 頭が痛くなる!」
隣に座るアルに耳打ちしてみるが、そんな風に返されてしまった。どうも本当に具合が悪くなってきているらしく、顔色が優れない。
(ああ。だからさっきから静かだったのか……)
アルは聞こえる周波数の範囲が広く、制限している時でさえ、いらない音波を聞きとってしまうらしい。普段の生活には差しつかえないようだが、こんなに様々な機械がフル稼働してしまっている中では、相当辛いようである。
(いったい何の音だったんだろう?)
反応を見る限り、ここにいる他の皆には聞こえていない音らしい。
しかし、妖狐である僕は聴覚が発達している為、非常に小さな音でも拾うことが出来る。
(最上さんへの質問が終わったら外に行ってみよう)
「では、新井さんを捜索中、棟の七不思議の一つ『花壇ですすり泣く女の声』を耳にしたんですね」
僕がそんな結論に行き着いた時、ちょうど奈央が最上の話を簡単にまとめた。
「はい……とは言っても、本当に七不思議の一つを体験したのかどうか……」
最上が複雑な表情で黙り込む。
「ねぇ、最近……眠れてる?」
「え! い、いきなりなんですか?」
沈黙を破るように突拍子のない発言をしたレイに、最上が驚きを示す。
「目の下にくま……化粧で隠してるみたいだけど、人間は弱い。あまり無理しない方が良い」
「え? ああ。そういう事ですか……心配してくれてありがとうございます。その、気を付けますね」
「そうだな! 人間はしっかり睡眠をとらないと死んでしまうからな!」
隣の部屋の機械音がいったん止まった為、元気を取り戻したアルが話に乗っかり、その言葉にレイがコクリと頷いた。
「うん……致死性家族性不眠症っていう病気もあるくらいだからね」
ガシャンッ!
「わ! すみません!」
話の途中、最上がティーカップを取り落としてしまい、床には無残な姿になったそれが散乱する。慌てて破片に手を伸ばそうとする最上を止めつつ、僕達は破片を片付けたのだった……
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