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1番のスケープゴートは……?
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「お帰りなさいませ。わが主、ナベリウス様。今回も良き美術品を手に入れたようで……」
闇に染まる悪魔界。その一画にある大きな屋敷の扉が開き、燕尾服を着た背の高い執事が恭しくお辞儀をする。その見た目は、真っ黒い犬そのもので、言葉を発する度に鋭い牙が覗く。
「おう! ラス! いつもご苦労さん。こいつの名は紅。今回入手した『未知』っていう絵画に宿った精霊の類だ。丁重にもてなせよ!」
田辺隆介、もとい、ナベリウスが、隣の少女の肩に手を置きながら、大きな犬の執事へと話す。
「かしこまりました。紅様、私はグラシャラボラスと申します。以後、お見知りおきを……」
「グシャ……ボス?」
名前が難しかったらしく、紅が困った顔をする。
「ラスで結構でございます。今、お茶の準備をいたします。何かご希望の物は?」
「紅茶とクッキーを頼む。お嬢さんは?」
「それじゃあ、同じ物で!」
それぞれの返答を聞き、かしこまりましたと言う言葉を残し、ラスが闇の中へと消えていく。
「それにしても……今回は面白かったなあ」
赤と黒を基調とした部屋に紅を通しながら、ナベリウスがクックッと小さく笑う。
「フフッ! それ、アル達の事でしょ?」
テーブルを挟んでお互いに向かい合うように腰を掛けながら、紅が楽しそうに言う。高貴な雰囲気の客間には、いつの間にか紅茶と香ばしいクッキーの香りが漂っていて、ラスが給仕をしていた。
「ああ。わざわざこんな姿で人間界に行ったかいがあったよ。それに、お嬢さんにも出会えたしね」
人懐っこく笑いながら、ナベリウスが紅茶に口を付ける。
「ありがとう。そう言われると嬉しいな! でも、田辺先生には驚かされっぱなし! 悪魔なのに、最上さんに海外へ行くチャンスを与えちゃうなんて!」
おいしそうにクッキーを頬張りながら紅が言う。
「まあ、運送を手伝ってもらったお礼にね。俺は美術品を司る悪魔でもあるが、雄弁や愛嬌の才を与える悪魔でもあるからなあ。一度落ちた尊厳や名誉を回復するチャンスを与えてやるのも良いかと思ってな」
まあ、気まぐれだよと最後に付け足し、ナベリウスがクッキーを齧る。
「へぇ……あ! そうそう、約束! 忘れないでね!」
「もちろん。俺は律儀な悪魔だからな。約束、もとい、契約は簡単に破ったりしないから安心してくれ」
いきなりの話の転換にも特に気分を害した様子はなく、ナベリウスがにこやかに答える。
「わー! 今から楽しみだな! 早くアルの所に連れて行ってね!」
キャッキャッと楽しげに騒ぐ紅に、ナベリウスはニヤリと笑う。
「ああ。近いうちに……あいつらは面白いからな」
☆ ☆ ☆
その頃……
「のわああああぁぁぁ!!! さ、寒気が!! 鳥肌があああぁぁ!!! な、鳴海! 十字架だ!! なんでも良い、魔除けが必要だあああああぁぁぁ!!」
何かを感じ取ったらしいアルはとにかく騒いでいた。
「アル、落ち着いて! どれもアルには毒だから!」
「では、どうしろというのだ! この私が取り憑かれたらどうするというのだ!」
もちろん、ツッコミを入れてしまった僕は、この後アルが眠るまで付き合わされる事となったのだった。
(はあ、僕まで不眠症になりそう……というか、一番のスケープゴートはもしかして……僕?)
こうして、鳴海の受難は続くのだった……
闇に染まる悪魔界。その一画にある大きな屋敷の扉が開き、燕尾服を着た背の高い執事が恭しくお辞儀をする。その見た目は、真っ黒い犬そのもので、言葉を発する度に鋭い牙が覗く。
「おう! ラス! いつもご苦労さん。こいつの名は紅。今回入手した『未知』っていう絵画に宿った精霊の類だ。丁重にもてなせよ!」
田辺隆介、もとい、ナベリウスが、隣の少女の肩に手を置きながら、大きな犬の執事へと話す。
「かしこまりました。紅様、私はグラシャラボラスと申します。以後、お見知りおきを……」
「グシャ……ボス?」
名前が難しかったらしく、紅が困った顔をする。
「ラスで結構でございます。今、お茶の準備をいたします。何かご希望の物は?」
「紅茶とクッキーを頼む。お嬢さんは?」
「それじゃあ、同じ物で!」
それぞれの返答を聞き、かしこまりましたと言う言葉を残し、ラスが闇の中へと消えていく。
「それにしても……今回は面白かったなあ」
赤と黒を基調とした部屋に紅を通しながら、ナベリウスがクックッと小さく笑う。
「フフッ! それ、アル達の事でしょ?」
テーブルを挟んでお互いに向かい合うように腰を掛けながら、紅が楽しそうに言う。高貴な雰囲気の客間には、いつの間にか紅茶と香ばしいクッキーの香りが漂っていて、ラスが給仕をしていた。
「ああ。わざわざこんな姿で人間界に行ったかいがあったよ。それに、お嬢さんにも出会えたしね」
人懐っこく笑いながら、ナベリウスが紅茶に口を付ける。
「ありがとう。そう言われると嬉しいな! でも、田辺先生には驚かされっぱなし! 悪魔なのに、最上さんに海外へ行くチャンスを与えちゃうなんて!」
おいしそうにクッキーを頬張りながら紅が言う。
「まあ、運送を手伝ってもらったお礼にね。俺は美術品を司る悪魔でもあるが、雄弁や愛嬌の才を与える悪魔でもあるからなあ。一度落ちた尊厳や名誉を回復するチャンスを与えてやるのも良いかと思ってな」
まあ、気まぐれだよと最後に付け足し、ナベリウスがクッキーを齧る。
「へぇ……あ! そうそう、約束! 忘れないでね!」
「もちろん。俺は律儀な悪魔だからな。約束、もとい、契約は簡単に破ったりしないから安心してくれ」
いきなりの話の転換にも特に気分を害した様子はなく、ナベリウスがにこやかに答える。
「わー! 今から楽しみだな! 早くアルの所に連れて行ってね!」
キャッキャッと楽しげに騒ぐ紅に、ナベリウスはニヤリと笑う。
「ああ。近いうちに……あいつらは面白いからな」
☆ ☆ ☆
その頃……
「のわああああぁぁぁ!!! さ、寒気が!! 鳥肌があああぁぁ!!! な、鳴海! 十字架だ!! なんでも良い、魔除けが必要だあああああぁぁぁ!!」
何かを感じ取ったらしいアルはとにかく騒いでいた。
「アル、落ち着いて! どれもアルには毒だから!」
「では、どうしろというのだ! この私が取り憑かれたらどうするというのだ!」
もちろん、ツッコミを入れてしまった僕は、この後アルが眠るまで付き合わされる事となったのだった。
(はあ、僕まで不眠症になりそう……というか、一番のスケープゴートはもしかして……僕?)
こうして、鳴海の受難は続くのだった……
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