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勝者は誰?
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「今日の犠牲者は――おばあさん……か」
「イヒヒヒ、いやあ、これって、もう狩人はいないってことになるのか?」
「いや、その考えを出すのはまだ早すぎる。狩人が守り先を変更したって可能性もあるだろ?」
茶髪の青年の言葉に、オタクが頷く。
「そうかそうか、今ならきっと占い師を消すこともできるもんなあ」
「物騒なことを言うなよ。それよりも、占い結果を聞こう」
「占い結果――ねぇ。イヒヒヒ、ボク的には赤髪のお嬢さんが今のところ本物っぽく見えるんだよなあ」
「ああ、俺も右に同じだ。最初に出てきた時の出方やこれまでの行動から、どうもこっちの方が本物っぽく見える」
オタクと茶髪の青年の言葉に、私は嬉しくなった。
「ありがとう。じゃあ、占い結果を紹介してもいいかしら?」
私の言葉にシスターが苦い顔をしたが、オタクと茶髪の青年が頷いたため、私は口を開いた。
「茶髪の青年は村人だったわ。人狼をバッチリ当てられなかったのは残念だったけど……これで私から見た人狼はシスターか若い農夫。でも、私はシスターを狂人だと思っているわ。人狼だったあの娼婦が持っていこうとした会話の流れから察するに――ね」
「俺が人狼? 違う――娼婦は仲間が占い師で出て、狂人という考えに辿り着かなかっただけ?」
「ちょっと待ってください。農夫は村人でした」
シスターの言葉に、オタクは苦い顔をした。
「なあんていうかシスター、お前怪しいなあ。最初の時も薬師の時も妙に被りすぎてるぞ?」
「ああ、俺もオカルトオタクと同意見だ。どうも農夫を庇ってるようにしか見えない」
「ただ、占い結果を伝えただけです。皆さん、人狼や狂人に騙されてはいけません。私から見ると、農夫以外の3人の中に人狼と狂人が隠れているわけですが、赤髪のお嬢さんがどちらかであることが明確です。明日、3人になってしまえば、人狼側の陣営が2人になって負けてしまう可能性が大いにあります。そのため、今回は狼陣営だと分かっている赤髪のお嬢さんに犠牲になってもらいたいのですが――」
シスターの言葉に、私はため息をついた。
「確かに、シスターから見ればそうなるかもしれない。話の筋だって通ってるわ。でも、それって、一度私を消して、協力者を炙りだそうとしているようにも聞こえるわね。もしかして、さっき農夫が言ったように、娼婦の言葉は人狼であるあなたが占い師で出たことでうっかりこぼしてしまった失言だったのかしら」
「そうも聞こえるが、ただ農夫から矛先を変えようとしているようにも聞こえるな。俺は最初赤髪のお嬢さんが言ったように農夫が人狼である可能性が高いと思う」
茶髪の青年の言葉に、オタクも頷いた。
「イヒヒヒ、ボクも茶髪の意見に賛成。だいたい、農夫――お前の言い分が正しいとした場合、誰が狂人だったんだあ?」
「え、それは――あ――」
農夫が言いかけた言葉はサイレントにかき消された。
投票結果は、農夫に3票、私にシスターと農夫の2票が集まった。
「もう、終わりだ――」
農夫が絶望に顔を歪ませ、崩れ落ちる。サラサラ――キラキラと流れていく光の粒子は、まるで涙のように見えた……。
※現在の生存者……4人
★ ★ ★
「ああ、まだ続いてしまうのね――この悪夢は……」
私は結果が分かっていながら最後まで続くこのゲームに、思わず泣きたくなった。オタクが犠牲者になった今、残ったのは、私、シスター、茶髪の青年の三人だった。
「でも、その悪夢もここまでのようです……いいでしょう。もう、どうあがいても私達の負けです」
シスターは十字を切り、主よ――という言葉を最後に、粒子になって消えた……。
「これで、終わったの……?」
「ああ、終わったんだ」
茶髪の青年が、私の体を優しく抱きしめた。涙がとめどなく溢れ出す。どうして、互いに騙し合わなくちゃ、殺し合わなきゃいけなかったのだろう? どうして――
私の思考をかき消すように、パチパチパチと乾いた拍手が鳴り響いた。
「いやあ、素晴らしい」
「薬師――あなた……死んだんじゃ――」
「まあ、今回のゲーム上では……ね」
いつの間にか、教会のステンドグラスから差し込む柔らかい光を浴びた薬師が、大きな十字架の前に立っていた。その見事な金髪と金色の瞳は、まるで神々しい天使様のようだった。
「なんだか含みのある言い方だな」
青年がスッと私を庇うように前へと進み出た。
「だって、これは夢だとしか言っていないでしょう?」
薬師がニンマリと笑った瞬間、背筋が凍った。
「まさ……か」
「ええ、そのまさかです。この悪夢は終わらない……さあ、私をもっと楽しませてくださいよ! お気に入りの玩具さん達」
「……じゃあ、お前がこの空間を作った張本人ってわけか」
青年がキッと薬師を睨みつけた。
「ええ、もちろんです。だって、あなた達は願ったでしょう? 神に――」
「え――」
「何度も何度も何度も叶わぬ願いを願い続けた。でも、その願いを神は叶えなかった。あんなに必死に願っていたのに、信じていたのに――無情にも……ね。だから私がその願いを聞き入れたのです。そう、ある条件を飲んでもらうことと引き換えに――」
〝神への願い〟と〝ある条件〟を思い出し、私は絶望に涙を流した。
「あ、ああ……そっか、私達は――」
「ああ、思い出したのかい?」
「そうか……取引したのは――この状況を創り出したのは――俺達だったのか」
「取引……ね。私としては契約と言ってほしいところでしょうか。私が現世での願いを叶える代わりに、あなた達の死後の魂は好きにしていいという契約。まあ、次の時にはまた忘れて、あなた達は同じように絶望するのでしょうけれど」
薬師――いや、この綺麗な悪魔の言葉を聞き、私はすべてを思い出した。そう、私達はこの悪魔と契約したのだ。救ってもらう代わりに魂を差し出すと……そして、今は――。
「さあ、次のゲームを……と言いたいところですが、今回はその功績をたたえて、あなた方恋人に幸せな時間をあげましょう。どうぞ、あなた方が望んだ身分など関係ない、普通の幸せを思う存分に貪ってください」
ああ、ここは地獄かもしれない――
でも……傍らで微笑む青年の顔を見ていると、地獄でもいいかもしれないなどと思ってしまう。
そう、今だけはこの幸せを思う存分味わおう……。
私は大切な彼の手をギュッと握った。
★ ★ ★
「ああ、そう言えば、もう1人私を楽しませてくれた人がいましたね。最初の段階であの少女を喰らいたいと言った狼少年くん――そちらにも幸せな時間をあげましょうか。だって、今回のゲームは――」
【“人狼側の勝利”なのですから……】
《悪魔の役職メモ》
×××××回目の役職
★村人側陣営★
【村人】
少女
女学生
おじさん
オカルトオタク
若い農夫
【占い師】
シスター
※占い先
老婆→少年→薬師→若い農夫
【霊能者】
娼婦
【狩人】
老婆
※守り先
少年→オカルトオタク→オカルトオタク
★人狼側陣営★
【人狼】
少年
茶髪の青年
※噛み先
おじさん→オカルトオタク→老婆→オカルトオタク
【狂人】
赤髪のお嬢さん
★妖狐側陣営★
【妖狐】
薬師
※占い師に占われて死亡
「イヒヒヒ、いやあ、これって、もう狩人はいないってことになるのか?」
「いや、その考えを出すのはまだ早すぎる。狩人が守り先を変更したって可能性もあるだろ?」
茶髪の青年の言葉に、オタクが頷く。
「そうかそうか、今ならきっと占い師を消すこともできるもんなあ」
「物騒なことを言うなよ。それよりも、占い結果を聞こう」
「占い結果――ねぇ。イヒヒヒ、ボク的には赤髪のお嬢さんが今のところ本物っぽく見えるんだよなあ」
「ああ、俺も右に同じだ。最初に出てきた時の出方やこれまでの行動から、どうもこっちの方が本物っぽく見える」
オタクと茶髪の青年の言葉に、私は嬉しくなった。
「ありがとう。じゃあ、占い結果を紹介してもいいかしら?」
私の言葉にシスターが苦い顔をしたが、オタクと茶髪の青年が頷いたため、私は口を開いた。
「茶髪の青年は村人だったわ。人狼をバッチリ当てられなかったのは残念だったけど……これで私から見た人狼はシスターか若い農夫。でも、私はシスターを狂人だと思っているわ。人狼だったあの娼婦が持っていこうとした会話の流れから察するに――ね」
「俺が人狼? 違う――娼婦は仲間が占い師で出て、狂人という考えに辿り着かなかっただけ?」
「ちょっと待ってください。農夫は村人でした」
シスターの言葉に、オタクは苦い顔をした。
「なあんていうかシスター、お前怪しいなあ。最初の時も薬師の時も妙に被りすぎてるぞ?」
「ああ、俺もオカルトオタクと同意見だ。どうも農夫を庇ってるようにしか見えない」
「ただ、占い結果を伝えただけです。皆さん、人狼や狂人に騙されてはいけません。私から見ると、農夫以外の3人の中に人狼と狂人が隠れているわけですが、赤髪のお嬢さんがどちらかであることが明確です。明日、3人になってしまえば、人狼側の陣営が2人になって負けてしまう可能性が大いにあります。そのため、今回は狼陣営だと分かっている赤髪のお嬢さんに犠牲になってもらいたいのですが――」
シスターの言葉に、私はため息をついた。
「確かに、シスターから見ればそうなるかもしれない。話の筋だって通ってるわ。でも、それって、一度私を消して、協力者を炙りだそうとしているようにも聞こえるわね。もしかして、さっき農夫が言ったように、娼婦の言葉は人狼であるあなたが占い師で出たことでうっかりこぼしてしまった失言だったのかしら」
「そうも聞こえるが、ただ農夫から矛先を変えようとしているようにも聞こえるな。俺は最初赤髪のお嬢さんが言ったように農夫が人狼である可能性が高いと思う」
茶髪の青年の言葉に、オタクも頷いた。
「イヒヒヒ、ボクも茶髪の意見に賛成。だいたい、農夫――お前の言い分が正しいとした場合、誰が狂人だったんだあ?」
「え、それは――あ――」
農夫が言いかけた言葉はサイレントにかき消された。
投票結果は、農夫に3票、私にシスターと農夫の2票が集まった。
「もう、終わりだ――」
農夫が絶望に顔を歪ませ、崩れ落ちる。サラサラ――キラキラと流れていく光の粒子は、まるで涙のように見えた……。
※現在の生存者……4人
★ ★ ★
「ああ、まだ続いてしまうのね――この悪夢は……」
私は結果が分かっていながら最後まで続くこのゲームに、思わず泣きたくなった。オタクが犠牲者になった今、残ったのは、私、シスター、茶髪の青年の三人だった。
「でも、その悪夢もここまでのようです……いいでしょう。もう、どうあがいても私達の負けです」
シスターは十字を切り、主よ――という言葉を最後に、粒子になって消えた……。
「これで、終わったの……?」
「ああ、終わったんだ」
茶髪の青年が、私の体を優しく抱きしめた。涙がとめどなく溢れ出す。どうして、互いに騙し合わなくちゃ、殺し合わなきゃいけなかったのだろう? どうして――
私の思考をかき消すように、パチパチパチと乾いた拍手が鳴り響いた。
「いやあ、素晴らしい」
「薬師――あなた……死んだんじゃ――」
「まあ、今回のゲーム上では……ね」
いつの間にか、教会のステンドグラスから差し込む柔らかい光を浴びた薬師が、大きな十字架の前に立っていた。その見事な金髪と金色の瞳は、まるで神々しい天使様のようだった。
「なんだか含みのある言い方だな」
青年がスッと私を庇うように前へと進み出た。
「だって、これは夢だとしか言っていないでしょう?」
薬師がニンマリと笑った瞬間、背筋が凍った。
「まさ……か」
「ええ、そのまさかです。この悪夢は終わらない……さあ、私をもっと楽しませてくださいよ! お気に入りの玩具さん達」
「……じゃあ、お前がこの空間を作った張本人ってわけか」
青年がキッと薬師を睨みつけた。
「ええ、もちろんです。だって、あなた達は願ったでしょう? 神に――」
「え――」
「何度も何度も何度も叶わぬ願いを願い続けた。でも、その願いを神は叶えなかった。あんなに必死に願っていたのに、信じていたのに――無情にも……ね。だから私がその願いを聞き入れたのです。そう、ある条件を飲んでもらうことと引き換えに――」
〝神への願い〟と〝ある条件〟を思い出し、私は絶望に涙を流した。
「あ、ああ……そっか、私達は――」
「ああ、思い出したのかい?」
「そうか……取引したのは――この状況を創り出したのは――俺達だったのか」
「取引……ね。私としては契約と言ってほしいところでしょうか。私が現世での願いを叶える代わりに、あなた達の死後の魂は好きにしていいという契約。まあ、次の時にはまた忘れて、あなた達は同じように絶望するのでしょうけれど」
薬師――いや、この綺麗な悪魔の言葉を聞き、私はすべてを思い出した。そう、私達はこの悪魔と契約したのだ。救ってもらう代わりに魂を差し出すと……そして、今は――。
「さあ、次のゲームを……と言いたいところですが、今回はその功績をたたえて、あなた方恋人に幸せな時間をあげましょう。どうぞ、あなた方が望んだ身分など関係ない、普通の幸せを思う存分に貪ってください」
ああ、ここは地獄かもしれない――
でも……傍らで微笑む青年の顔を見ていると、地獄でもいいかもしれないなどと思ってしまう。
そう、今だけはこの幸せを思う存分味わおう……。
私は大切な彼の手をギュッと握った。
★ ★ ★
「ああ、そう言えば、もう1人私を楽しませてくれた人がいましたね。最初の段階であの少女を喰らいたいと言った狼少年くん――そちらにも幸せな時間をあげましょうか。だって、今回のゲームは――」
【“人狼側の勝利”なのですから……】
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【村人】
少女
女学生
おじさん
オカルトオタク
若い農夫
【占い師】
シスター
※占い先
老婆→少年→薬師→若い農夫
【霊能者】
娼婦
【狩人】
老婆
※守り先
少年→オカルトオタク→オカルトオタク
★人狼側陣営★
【人狼】
少年
茶髪の青年
※噛み先
おじさん→オカルトオタク→老婆→オカルトオタク
【狂人】
赤髪のお嬢さん
★妖狐側陣営★
【妖狐】
薬師
※占い師に占われて死亡
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