異世界に召喚された高校生、最弱勇者認定されたので料理人にジョブチェンジ!

苺姫 木苺

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異世界召喚

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6人の高校生達は目を開けるとそこは教室ではなく、教会のような場所にいた。
「勇者様方、ようこそいらっしゃいました」
高校生達を出迎えたのは異世界のお姫様様と騎士達数名だ。


6人いる日本人の高校生達は目の前の光景にポカーンとしている。それもそうだ、なんせ気付いたら異世界にいる訳なのだから。
そして、そんな高校生達を無視してドレスを着た女性はペラペラと説明をし続けた。説明を要約すると魔物が溢れてきているから倒して欲しいのと、何故溢れて来ているのか調査して欲しいとの事だ。
「あの、俺達普通の高校生なんですけど?」
「そんなはずはありえません。この召喚には力がある者限定で召喚されますので」
「なんやそれ、誘拐やん」とウルフカットをしている柊波音が呟いたが、その呟きは誰にも聞かれてはいない。


「勇者様方!我が国を助けて下さい!」
「何で僕達が助けなあかんの?僕達普通の高校生やで?」
「アカンノ?ヤデ??」
異世界には関西弁は通じないようで波音は仕方なく標準語に戻してまた再度言った。


「柊!この人達困ってるみたいだし助けてやろうぜ?」
「相沢、分かっとる?これ誘拐やで?僕達は了承してこっちに来た訳では無いんよ?それにや、ほんまに僕達に力があるか分からへんのや。ゲームやないから死んだらまた最初からとかある訳でも無いんやで!僕は了承する気ないで」
波音は相沢という同級生をありえないという目で見ている。日本にいる時も変な正義感がありウザったいと思っていたが、波音は相沢と相容れないと思ったようだ。


「お姫様で合っていますか?」
「はい。私はこの国の姫、ツェリーリアです」
ツェリーリアは名乗るとドレスをツマミお辞儀をして、今更ながら波音達に挨拶をした。普通なら最初にするのを何故か今したのだ。国の名さえ伝えず何故自分のだけ言うのだろうか?波音達を騙そうとしているのが分かる。
「俺達手伝いますよ!その魔物退治!」
相沢は波音が拒否していたのを無視して、勝手にツェリーリアに魔物退治をすると言ってしまった。他の4人は相沢の言葉に同意しているように見える。女子2人は相沢に惚れていて、男子2人は相沢を尊敬しているようなので同意したのだろう。
だが、波音は相沢のことを転校した初日からコイツは仲良く出来ないと認定していた。


波音が関西から東京に転校してきた初日で揉めたのだ。その理由がクラス皆で関西弁を喋ってあげようと言い始めたのがきっかけだ。波音は物凄く馬鹿にされたと思い相沢に止めろと言ったが、相沢はそれを無視し強行でクラス皆に関西弁で喋ってあげようと言った。
そのせいで波音はエセ関西弁を1日ずーっと聞く羽目になり気が滅入ったと言わけだ。
波音は相沢を嫌っているが、相沢は何故か波音を好いている。


「自分らが了承すんのは分かった。僕は了承してへん。お姫様、僕だけでも元の場所に帰して下さい」
「それが、出来ないのです。今は時期が悪く返還の儀が行えないのです」
どうやら波音は日本に帰れないようだ。今は時期が悪いと言っているが、本当に日本に帰れるのだろうか?


「あ、はは。ありえへん。異世界で相沢達と一緒……僕の精神大丈夫やろか?」

ツェリーリアは呆然としている波音も連れてこれから泊まる部屋を案内した。その道中明日から訓練が始まるので心の準備をしといてと言われ相沢達は返事をしていたが、波音は訓練なんか参加しないと決めている。


訓練初日相沢達5人は参加したが、波音だけは部屋でボーッとしていた。
訓練2日目、3日目と波音は参加をせず部屋でサボっている。波音は了承もしていないのに訓練なんか参加する訳無いだろと思っている。
訓練をサボって1週間目に相沢達が部屋に押し掛けて来た。
「おい!柊!サボるのは良くないぞ!訓練に参加しろ!」
「そうよ!相沢君ボロボロになってるけど、柊君の事も気にかけてあげているのよ!」
相沢に惚れている第1号宮坂が相沢を援護している。第2号佐々木も援護しているせいで部屋の前がうるさい。
相沢の子分1号多田と第2号小池もいるようだがそいつらは何も言って来ない。

「僕言ったやろ?了承してへんって。了承してへんのに何で僕が参加せなあかんの?了承した自分らだけ訓練参加したらええやろ?」
相沢達はギャーギャーと喚いていたが、波音が無視し続けると15分程で部屋の前から居なくなった。


訓練をサボって1ヶ月経つと食事が運ばれなくなった。
「食事がしたかったら訓練に参加せえっちゅうことか?僕だってただ訓練サボってた訳ちゃうで?この国の王族達がきなくさいことくらい分かる」
波音は部屋を出て使用人達が使っている食堂に向かった。

波音は運ばれてきた食事には手を出さず、ここ使用人達の食堂でご飯を食べていた。毒を盛られているかもしれないと思い、使用人達の食堂を調べ使用人のフリをしてご飯を食べていのだ。城には沢山の使用人がいるので、波音が使用人では無いとバレず食堂に居れる。その中で情報収集もしていたので波音は優秀なのが分かる。


使用人達の噂で波音を追放するという噂を手に入れた。
「さて、僕もそろそろ動くか」
「ナオ?どうしたんだ?」
「ん?転職しようかなって思ってさ」と波音は話しかけられた使用人に返事をした。
波音はここの使用人達にナオと名乗り、数名の使用人達と仲良くなった。その1人がこのユランだ。焦げ茶色の髪と瞳のイケメン。相沢よりもユランの方がイケメンなので、最初はユランの事を貴族だと思っていたが平民らしい。

「ここから居なくなるのか……寂しくなるな。次は何の職に就くんだ?」
「料理人でもなろうかと思ってる」
「確かにこの前ナオが作った料理めちゃくちゃ美味かったしいいと思う!応援するな!!」
波音はご飯も食べ終わりユランに「この城出る時挨拶するな」と言い自室に戻った。


自室に戻ると部屋の前にツェリーリアがスタンバっている。
「やっとですか。待ちくたびれましたよ。貴方が最弱勇者と分かりましたので、我が国には必要無いのでこの城から追放します。こちら我が国と貴方が関係ないという書類です」
「……ふーん、じゃあ僕からも1つ。僕に今後一切関わらないことというのも記載して下さい」
ツェリーリアは「分かりました」と言い書類に追加で波音に一切関わらないと記載をした。

「こちら手切れ金です。さあ、今すぐ出ていって下さい」

こうして波音は勝手に最弱勇者認定されて城から追放されてしまった。




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