増幅使いは支援ができない

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『機灰の孤島』編

雷電

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「……ふー……」



深呼吸を挟む。



モバイルバッテリーへと、電気として魔力を送る……その行為は『充電』と言えるだろう。



俺はモバイルバッテリーに対し、電気を流している事になる。



なら――その行為の中、電気を流したままコードを離すとどうなるか。



例えば電源を入れたままコンセントを抜くと、プラグとコンセントの間で火花を起こす放電が起こる。



その場合は勝手に電源が落ち、放電は止むが……それをもし止まらなかったら?



スタンガンのスパーク放電を想像すれば分かりやすいだろう。



要はコードに流れようとしている電気を無理やり放電させ、魔力ではなく電気として俺に取り込んでやろうという考えだ。



「滅茶苦茶だな……でも、やってみるしかない」



出来るかは分からない、がイメージは出来る。



俺がどうなってしまうかは分からない、でも新しい可能性が見える。



身体が震える。これは恐怖か武者震いか。



「……ん……」



寝返りを打つ樹。心地良さそうだな。



……樹が居てくれるから、俺はこんなに強くなろうと思えるんだ。



本当に、ありがとう。



「待っててくれよ」



そう告げて、俺は樹から離れた場所に移動する。



何が起こるかなんて分からないからな。



「……」



黙って、精神を整える。これから起こらせる事をイメージしながら。



「やるか」



コードに手を繋ぎ、俺はイメージする。



流れる汗と震えを感じながら――



「『増幅』!」



魔力を流す。



身体の中で魔力が電気へと変換。



「ぐっ……」



そして、コードへと電気が流れる。



後は、自分のタイミングで。



力など要らない。この手を、電気を流しながら離す。



「っ!」



俺は――手を、離した。



瞬間。



「あああああああ!」



これまでの比ではない痺れ。身体の制御が効かない、気を抜けばすぐに失神するだろう。



俺は立つこともままならず地面に膝をついてしまう。



そしてその中――俺の手に、小さな雷が流れているのが『見えた』。



「……負けて、たまるかよ、『増幅』!」



この雷電が途切えてしまう事のないよう、俺は魔力を流す。



思うように動かない腕を無理やり上げ、手の先に宿る雷を俺の心臓の方に持っていく。



「ぐっ!ああああああ!」



そのまま、俺はバチバチと鳴る雷を胸に当てた。



鼓動が乱れ、身体が痺れて震えて痙攣する。



気を失いそうな痛みを耐えて、耐えて……俺自身に、俺の雷に叫ぶ。



「これが、この電気が、俺の持つ力だって言うのなら――」



思考などもう出来るわけがない。



しかし、強くなりたいという思いは消える事無く、寧ろ増えていく。



「――黙って、俺のモノになれ!!!」



心臓を掴む勢いで、雷電を胸に押し付ける。



脳裏に作られていくイメージのまま、俺は詠唱を。



「『充電チャージ』!!!」



詠唱が終わると、これまでの痛みが、痺れが、震えが嘘の様に消えていく。



それでも、雷電は消える事無く身体に広がっていった。



青白い電気が、俺の身体を包むように放電している。



「やった、のか」



流す魔力を止めると、その雷電はぱったりと消える。



「……は、はは、流石に限界だ」



もっと試したい事もあるが――それは今度にしよう。魔力ももうないし、気力も使い切ってしまった様だ。



地面に横になればもう、灰色の空が明るくなっていた。


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感想 1

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みんなの感想(1件)

ユルゲーマー

『宿 』
終わりのほうのセリフ

「上手かったろ~~~・・・」

「旨かったろ~~~・・・・」
もしくは
「美味かったろ~~~・・・・」
料理にたいしての表現だと「旨い」か「美味い」になります。
予測変換のでの誤変換でしょうか?
「上手い」だと技術力が高いというような表現になりますね。
「料理が上手(じょうず)」という意味では「上手い」
「料理が美味しい(おいしい)」という意味では「美味い」

同じ「料理がうまい」でも全然違いますよね~~。

2017.02.13 aaa

今回の場合だと美味いになりますね!細かい所も気を付けないと、ありがとうございます。

解除

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