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予選③
しおりを挟むピロリん。
『本日は予選最終日です。予選は正午からになっております。遅刻しないようお気をつけください』
ふぅ。
やっと三日目だ。
よくここまで生き延びれてきたと思うよ。
だって、運以外0なんだよ?
ホント、このレア種族のお陰としか言いようが無いね。
「ん?今日も対人するか?」
あと、ヴィネのお陰だよね。
「今日も対人やらないのー?」
「そうだよ、やっとけって」
「そうですね。やはり、経験は大事かと。」
皆ぁ、涙が出てきそうだよ。
私はもうヴィネと対人なんてやりたくない!
だって、身体中が痛いもん!!
「き…今日はな「やるに決まってるじゃないか。なぁ、るし?」
ヴィネさん…笑顔が怖いです。
渋々大太刀を出して、構える。
「るし様、昨日よりもいい体勢です!」
よかったぁ…。
頑張ったかいがあったみたい。
「ギムレット、何を言うか、まだまだこれからよっ!」
ヴィネェェェなんでそんなにヤル気があるの?
私にも分けて欲しいよ。
「せいっ!はぁっ!」
「うむ、いい感じだな。」
とか言ってるけど、軽々と私の攻撃を受ける受け流していくヴィネ。
あんまり嬉しくない。
「まぁ、我は受け流しが大事だと思うから、汝も頑張って取得せよ」
それまでは、地に伏せた瞬間、ウォッカの拳骨が飛ぶぞ?
と、ヴィネの目がそう語っていた。
それだけは嫌だ!!
私は何が何でも倒れる訳にはいかない!!
「あっ」
視界がひっくり返った。
ゴンッ
「~~~~っっ!!ウォッカァァ!!」
「るし、ドンマイ。俺は悪くない。恨むならヴィネを恨めっ!」
「ほれ、るし、続けるぞ?それとももう1回、童の拳を食らうか?」
シュバっと立ち上がる。
「るし、いいか?相手を誘い込むんだ。そうすれば、隙を付いて相手の虚をつくことも、簡単に出来るぞ?」
そう言われながら、同じこと何度も何度もを繰り返した。
「馬鹿になっちゃうよ。」
「ならんわ!」
「いや、だって、叩きすぎたら脳内細胞死ぬっていうじゃん?」
「脳内細胞?何それー?」
あっ、そっか。
この世界にはこの言葉は通じないのか。
「あはは、いやぁ、何でもない」
「そーお?ならいーや」
さて、そろそろ時間だな。
「いってくるねー!」
「「「「いってらっしゃい!」」」」
『さーぁ!予選最終日、第13試合目の始まりだぁ!日本一になるための切符を掴み取れ!!』
『選手は場内に入ってください!皆っ頑張れーー!!あの手この手を使って勝利を掴み取れっ!!』
予選最終日。
この3日間の中で一番ドキドキする日だ。
心臓が口から飛び出てきそうだ。
勝てるかわからないけど、やるしかない。
『運命のカウントを始めるぞっ!』
毎回ここで緊張が増すなぁ。
『5』
大丈夫だ。
『4』
自分を信じて。
『3』
仲間を思い出して。
『2』
神経を研ぎ澄まして。
『1』
楽しみたい。
『go!!!』
「「「「ウォォォォォォォォォ!!!」」」」
あまりの迫力に気圧されそうになるが、その場で踏みとどまる。
「スティール・ラック!!」
近くの魔術士に斬りかかる。
接近戦だから、一撃で首を飛ばすことが出来た。
これは、卑怯ではない。
勝つための手段の一つなのだ。
「次っ!」
見るからに剣士のような防具を纏っている奴に斬りかかる。
ガギィンッ
「いってーなぁ」
この感触は…
「「お前かッ!!」」
そう、斬りかかったのは昨日の試合で共闘した極振り君だった。
私はここでいい案を思いついた。
「共闘しないか?流石にここまで来ると強そうな奴が多いから」
極振り君は少し考える素振りを見せたが、
「俺もそう思ってた。分かってるだろうが、裏切りはなしだからな?」
「当然だ。もし君が裏切ったなら、私は君を何度もPKするね」
「俺もだよ。宜しくな」
「うん。宜しく」
まず、私達は出来るだけ戦わないように隅に移動する。
極振り君は盾。
私は矛だ。
だから、私が敵を倒さなくてはならない。
この共闘はハイリスクハイリターンだ。
私と極振り君は互いに一つのステータスに極振りしているため、周りに比べて断然弱点が多い。
これがハイリスク。
ハイリターンは、まず、共闘すると、負ける確率がとてつもなく低くなる。
互いに足りないところを補える。
って言っても、私は運だから、補えるのは運だけなんだけどね。
「兄貴、隅っこに弱そうな奴らが溜まってやすぜ?」
「ほほぉ。野郎ども、やっちまえ!!」
「「「あい!!」」」
「なんかやばそうなの来たね」
「だな」
「ちょっと行ってくるね。一瞬目を瞑った方がいいかも」
「おう」
私は大太刀を構える。
チンピラ共が半径1mに入った時
「フラッシュ!!」
「「「目がぁぁぁ!!!」」」
アルザスと同じように【光魔法】で目を潰しました。
その隙に首を落としてゆく。
頭領らしき人物はサーベルを揺らしながら近づいてくる。
【鑑定】を入れると、どうやらコイツはインキュバスらしい。
インキュバスとは…やるな。
洗脳系のスキルを持っていそうだ。
気をつけよう。
ジリジリと互いの距離を縮める。
「スティール・ラック!!」
「チャーム!!」
ガキンッ
剣が混じり合う。
「あぁ?どういうこったァ?俺の魅了が何でお前らに効かないんだ?」
コイツ、私達に【魅了】をかけてたのかっ!
でも何で効かなかったのだろうか。
何かあった気がするのだが思い出せない。
思い出せないということは、それほど重要なことではないということだ。
「ふっ!」
大太刀でサーベルを受け流し、カウンターで鳩尾に拳を入れる。
「ごふほぉっ!なかなかやるじゃねぇか」
「あなたもっ!」
これで膝をつかないとは、なかなかに強い。
まぁ、私の筋力は0だから、全然 傷(ダメージ)は入ってないんだけどね。
「おーい、鎧さん、大丈夫か?」
呑気な極振り君の声が飛んでくる。
「大丈夫ー!」
とは言ったものの、あまり状況はよくない。
頭領は、隙を付いてチビチビポーションを飲んでやがる。
対して私は両手が塞がっててそんな器用な真似は出来ない。
激しい攻防の中、身体がぐらりと揺れる。
「ほぉら、懐がガラ空きだぞー!」
チャンスだと思い、私の懐に飛び込まんとする頭領。
引っ掛かった。
私は頭領の目の前で猫騙をして虚をつき、足を引っ掛ける。
「うぼっ!!」
盛大に顔からこける頭領。
午前中の私が蘇る。
「ここっ!!」
バランスを崩して倒れた頭領の首を撥ねる。
金色の粉に変わりゆくのを見届ける。
「っし!」
ガッツポーズを決める。
ヴィネとの特訓が実を結んだな。
「おーい、鎧さん、戻っておいで~」
「はーい」
生暖かい目で見なさんな。
別にガッツポーズするのはいいと思うんだけどね。
「はぁっ!」
隅に寄ってくるプレイヤーを倒していくと、残り10人くらいになっているのに気づいた。
「…極振り君」
「なんだよ」
「一緒に勝ち残ろうね」
「…おう。当たり前だ」
ここからが本番のようなものだ。
いずれも強者が生き残っているのであろう。
だからこそ、勝ち残らなければ。
軍服を使わずに。
ガギィン
剣を交わせ、受け流す。
そして、ヴィネ流、足引っ掛け技を相手にかける。
首を飛ばす。
を、残りの襲いかかって来た人にかけてゆく。
極振り君は、私とプレイヤーとのタイマンを他プレイヤーから守る形で動いている。
残りは7人。
向かいの隅の方で火の玉が上がる。
ローブを深くかぶった魔術士と、2人の盗賊が戦っている。
あのローブの魔術士は以前見たことがある。
初日に助けてもらった。
だから、その借りを返す為に行かなくては。
「極振り君、あの魔術士の援護に行くよっ!」
「何でだよ!」
「あの人には借りがあるの。しかも、二人倒せばちょうど5人で生き残れるよ!」
「…はぁ。仕方ねぇな!ついてってやるよ!これは俺に一つ借しだからな!」
「うん、ありがと!」
私達は魔術士に対峙している盗賊を目指す。
魔術士はこっちに気がついたみたいだけど、盗賊は気づいてないようだ。
火の玉が盗賊に向かって降り注ぐ。
物凄い熱量だ。
私は盗賊が怯んだ瞬間を見逃さずに足に一太刀入れる。
「へっ?」
直後バランスが崩れた盗賊に火の玉の追撃が。
「おまっ何者だ!!…っひぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
「なに、通りすがりの正義の味方さ」
ご愁傷さまです。
極振り君は、どうだ?
そっちも同じく隙をついたらしく、魔術士の火の玉の追撃によって盗賊の生命を狩り終えていた。
『試合しゅーりょぉぉぉ!!!見事生き残った選手に拍手!!』
「「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」」」」
『皆様!お疲れ様でした!勝った人も負けた人も素晴らしい戦いでしたっ!!明日は1日休みですので、羽を十分にお休めください!本戦の日程はメールで後日送信致します!本当にお疲れ様でした!本日第14試合目は、午後2時から行われますので、今から休憩タイムに入ります!』
「「お疲れ様っ!!」」
私と極振り君は互いに手を握り合う。
「俺の名前言ってなかったな。俺はカインだ。お前もわかったと思うが、防御力に極振りしてるぜ」
「私はるし。運に極振りしてるんだ」
「まじかよっ!よく生き残れたなぁ」
「お互い様だよ。本戦はお互いに敵同士だからね」
「そうだな。お互い本気でぶつかろう。あ、えと、その…フレンドにならないか?」
「いいよ?」
「そっか、ダメだよな…っていいのかよ!!」
「うん」
こうして、2人はフレンドになったのだった。
「るしー、おつかれー!」
「お疲れ様」
「我の真似をするとは…だが、まだまだだな」
「るし様、成長なされましたね」
「皆…応援ありがとね」
仲間4人に囲まれ、予選通過の宴を家で楽しくやるのだった。
宴で出た食べ物殆どが、屋台の食べ物だったのは、言うまでもない。
また、ジュースは世界樹の果実、絞りたて果汁100%だった。
「あー、楽しかった。…皆、おやすみ」
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