41 / 127
本戦③
しおりを挟む『やって参りましたァ!!ダブルマッチ最終戦!これに勝てば準々決勝進出だぁぁっ!!』
『一試合目は昨日の試合を騒がせた風の鎧&圧殺君ペア VS 妄姫&人形遣いよぉっ!!一試合目から盛り上がりそうね!!』
石畳を上がる。
これを勝てば明日に進める。
それにしても、妄姫って呼ばれた人…何か見たことあるような、ないようなぁ。
「そこの貴方!るしって名前らしいわね。私、るしって名前を聞くだけで肌が荒れるのよ。貴方、名前を改名してはよくて?あのゴブリン女と同じ名前なんて、災難だったわね!!」
ん?
このキンキンな喋り口調…何処かで…。
【鑑定】すれば、何かを思い出すかも。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
種族 化姫 ☆6
名前 姫るん
Lv10
ーーーーーーーーーーーーーーーー
あー。
記憶の扉が開いた。
この特徴的な名前、知ってるわ。
冠女さんじゃないか。
こりゃ、手加減は出来ないな。
元よりするつもりもないんだけどね。
「るし、本気で行くんだよな?」
「うん。もちろんだよ」
『go!!!』
装備を◯黒龍の装備一式に変える。
『おーっとぉ!!開始直後から全装備変更が来たぁ!!』
『な、ななんと、風の鎧選手の正体は、やはり、あの噂の「軍服」だぁぁ!!!』
「「「きゃ~~~!!軍服様ぁ!!」」」
ちゃんと白い仮面も装備しているから顔バレはしないはずだ。
「さて、征くぞ、カイン」
「…」
カインから返事が返ってこない。
「カイン?」
「はっ…。あまりの衝撃にちょっと意識飛んでたわ。お前…まさかとは思ってたけど、本物だったんだな」
目をキラキラさせるカイン。
急にどうしたんだろ。
だが、今はそんなことはどうでもいい。
「カイン。しっかりしろ。そら、征くぞ」
「お…おう。お前…なんか、口調変わってるぞ?」
鞘から満月を抜く。
揺れる刀身が顕になる。
「いざ、推して参る」
シャン
満月でゆっくりと空を切る。
「何やってんの?あの軍服、あのぎょふぇあっっ!!」
ボタボタと冠女の腹から内臓が爛れ落ちる。
「き…きゃぁぁぁぁぁぁあっ!!痛い痛いイタイイタイイタイッッ!!」
使ったスキルは【残月】。
空気を振動させて攻撃する遠距離型攻撃スキル。
首を落とすつもりだったんだけど、使ったことのないスキルだったから、少し手が狂ってしまったようだ。
もう3回ほどやってみよう。
「貴方っ!!そんな非人道的なことをしでいいと思ってるの?私は選ばれた存在よっ!?そこんじょそこらの☆3の間抜けどもとは別格なのよ!!そうよ!私は世界大戦まで行ける種族レア度なのよっ!?」
キィキィと鳴く声は耳障りだ。
「五月蝿いな。冠女、貴様はジンを馬鹿にした。そして、私の友人達を馬鹿にするような言動、許し難い罪である。だから、貴様は私には黙って殺されろ。せめて、死ぬ時くらいは美しく死ね」
シャン
シャン
シャン
3振り。
避けるまもなく全てが冠女の身体にヒットする。
冠女のHPバーが0になったようで、金色の粉に変わっていった。
残るは人形遣い。
そちらは既に、【欠月】を掛けてあるため、幻の中にいる。
顔がニヤニヤしているため、今頃は、自分の思い通りにことが進んでいる夢を見ているのだろう。
近くまで行き、【蹴り技】を発動させ、思いっきり腹を蹴る。
ドコォッン
大きく鎧が凹む音がし、弧を描きながら場外に飛んでいった。
「ふむ。手応えがなかったな。カイン、勝ったぞ?」
「…」
大きく口をあんぐりさせて硬直しているカイン。
静まり返る会場。
『は…し、試合しゅーりょぉぉー!!まさに圧倒的!俺、軍服のファンになったぜ!!能ある鷹は爪を隠すってなっ!!』
『彼…初心者よね?初心者用の序盤装備が終盤でも活躍出来る軍服にどうやって変身するのかが不思議だわ。でも私っ!、こういう一方的な試合も好きよっ!!準々決勝進出おめでとぉぉ!!!』
「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」」」
「るし、俺…俺はお前と一緒に戦えてよかったよっ!!ありがとなっ」
ずいっと顔を近づけるカイン。
近い、近いって。
「私もカインと一緒に戦えてよかった。明日はお互い敵同士だな。もし当たったら、手加減はしない」
「おう!じゃあな!俺は今から明日に向けて作戦を練ってくるわ!」
カインは大通りの方に走っていった。
広場を歩いていると、チラチラと視線が飛んでくる。
まぁ、軍服のまま歩いているからね。
公の場で装備を披露したから、少しはヘイトに対して気持ちを整えれたけど、でも、まだ恐いかな。
「軍服だ」
「やばい、サイン欲しい」
「けっ、調子に乗りやがって 」
「仮面とったらどんな顔してんのかな」
「カッコイイ!」
「誰か喋りかけてこいよ」
ヒソヒソヒソヒソ
うーん。
なんとも居心地が悪い。
仮面をしているお陰で心が守られてる感じがするけど、耳は守られていないんだよな。
喉が変な緊張でカラカラだ。
そういえば、広場の屋台にアイスを売っている店があったな。
それを買ってベンチで寛いでいよう。
長くいれば皆も飽きてくるでしょ。
「オジサン!コーンで、オレンジアイスを一つ下さい。」
「まいどっ!お、アンタ、例の噂になっている軍服さんだね?なら、オマケでもう一つやるよ」
オマケ…やったぁ!
オジサン、何て太っ腹な人なんだ。
さて、ベンチでアイスを食べながらゆっくりと寛ごうかね。
ベンチの方に歩きだそうとすると、ガシリと肩を掴まれた。
誰だろ?オジサンかな?
振り返ると、
「貴方っ!あのゴブリン女だったのね!?よくも私をさっき殺してくれたわね。今日という今日は許しませんわっ!!」
冠女でした。
しかも、アイスを地面に叩き落としやがりました。
解せぬ。
アイスにいったい何の恨みがあるというのか。
食べるのを楽しみにしてたのに。
「あのです「おいおい!うちのアイスを買った客からアイスを叩き落とすなんていったいアンタはどういう性格してんだ?あ?」
私がなにか言おうとすると、アイス屋のオジサンが額に青筋を浮かべて出てきた。
「軍服さん、これ、新しいアイス持ってきたから、あそこのベンチで座って食べててくれ。俺はこの女に言いたいことがあるんでな。」
オジサン、笑顔を作っているけど、目が笑ってないよ。
私はオジサンからアイスを受け取り、そさくさとベンチに行く。
「ちょっと、ゴブリン女!まだ話が」
「おい、性悪女。アンタ、人様の食べ物を地面に叩き落としておいて謝りもしねぇのか?人には人に対する礼儀ってもんがあるだろ?アンタはそれをわかっちゃいねぇ。」
「店主、黙っていて下さい!私はあの女に言わなくてはいけないことが山ほどあるのですわ!」
バシッ
オジサンの愛のビンタが冠女に炸裂した。
「お前な…」
そこから約30分もの長い説教をあの冠女にし、とうとう泣かせるまでに至ったオジサンは、すごい人だった。
いやぁ、スッキリした。
さてと、家に帰るとしますかな。
「るしー!お疲れー!!」
背後から抱き着いてきたのは…ジンんん!!
あぁ、可愛いなぁ。
「お、お疲れ。カッコよかったぜ?」
「るしの軍服姿を初めて見たが、あれは王の気品が溢れていたな」
「るし様、今日は家で宴です!」
宴って…また屋台のやつを沢山買ってきたんでしょ。
もうお財布が軽いよ。
今度からはギムレットにお金は預けられないな。
そんな私の気持ちを察したのか、
「あ、貨幣を創ります?」
「ダメ!」
ギムレット、まさかだけど、創ってたの?
貨幣の勝手な鋳造は経済破綻を促します。
辞めようね?
アイテムボックスから屋台の品々を出し始めるギムレット。
コップを5人分出し、オレンジジュースや、お茶を入れていく。
それを一つずつ皆で手に持つ。
「えーと、私がここまで勝ち残れたのは、皆の応援のお陰です。ヴィネとの対人戦の練習がとても役に立ちました。ジンとウォッカからは、武器を借りました。ギムレットからはいっぱいの愛情を貰いました。皆、ありがと。まだ大会は終わってないから、まだまだ応援宜しくね。えと……頭が真っ白になっちゃった。…うん、私、頑張るからっ。えと、それじゃ、明日に向けて、英気を養おうじゃないか!カンパーイ」
「「「「カンパーイ!!」」」」
1
あなたにおすすめの小説
もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜
きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。
遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。
作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓――
今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!?
ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。
癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる