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イベントクエスト始動
しおりを挟む~主人公side~
今日は学校の始業式。
だけど、私は3年生のため、卒業式が来るまでは自宅学習となっている。
今頃クラスの皆も『Live Online』をやっているに違いない。
ピロリん。
『イベントクエスト「虫襲来」が開始されました。これより、イベントモンスターによる、第二の街の侵略が始まります。最悪の結末を迎えないよう、プレイヤー様方、力を尽くして運命を変えてみせて下さい』
「皆、イベントクエストが始まったから、気を引き締めていこう。今日の防衛は私とセス、カインにヴェティ。探索は残りのジャンヌとアルザス、そしてNoel。私は先に空を飛んで第二の街に行くから、お先にっ!!」
「あっ!ずるいっ!」
「るしぃ僕をお姫様抱っこして連れてってぇ」
「…私…も…飛べる…お先…に…」
ジンとウォッカを両脇に抱えて地面を蹴る。
「…こんなに…高いとこ…飛ぶ…初めて…」
「私も。高すぎると着地できるかどうかが心配なんだよね」
光と闇の翼が空に映える。
こうして誰かと飛ぶのは初めてだ。
「第二の街に行くためには洞窟を通らないといけないんだよね。空から行こうとすると、このフィールドをワープするから…」
「…るし…やったんだ…ね…」
はい。
やりました。
空飛べるんだから、上から行けばすぐじゃんかよと思って、やってみました。
空を飛び続けているうちに、見たことある景色をさっきから何度も通っているとジンとウォッカから言われて気づきました。
「…るしは…意外…と…馬鹿…?」
「そうなんだよーるしはねーおっちょこちょいだからねー」
「Noel分かってるじゃねぇか!」
「2人ともお黙りなさいっ!」
両脇に抱えている2人がケラケラ笑う。
あぁ、平和だ。
こんな時間がずっと続けばいいのに…。
あ、今のフラグたったかも。
第二の街に着くと、大勢のプレイヤーが街を囲っていた。
流石海外と繋がっただけはあるね。
日本だけだと、こんなにもいなかったかもしれない。
心強い。
「…るし…正装…しない…の…?」
正装?
「…軍服…街を…守る…装備…最強…」
なるほど。
メニューボタンから軍服を選ぶ。
『◈黒龍の軍服一式を装備しました』
「きゅっ」
ベルモットが軍帽の上で、寝心地を確かめている。
「さぁ、防衛戦、張り切っていこうか」
「…おー…」
眠たげな声とは裏腹に元気いっぱいに拳を突き出すNoel。
可愛いねぇ。
「…じゃ…そろそろ…行く…ね…」
「うん。行ってらっしゃい。疲れたら、一旦ユニオンハウスに戻って休憩してね」
Noelは頷き、森に飛び去って言った。
無理をして、死なないでほしい。
出来ることなら、1度も死なずにこのイベントを終わらせたい。
「皆っ僕の話を聞いてくれっ!」
門の方から声が上がった。
どっかで聞いたことがある声だな。
人も集まってるし、気になるから見に行って見よう。
もしかすると、凄い作戦を立てているかもしれないからね。
台の上に立っている人が先程の声の主だろう。
あ、見たことある人だ。
「僕はっ勇者ソリステアッ!!」
お前かよっ!!
思わずツッコミを入れそうになるのを堪える。
確かに君は民衆の心を掴む天才だけどさ…。
自分から勇者って言っちゃうのは痛いよ…。
「勇者だ!!」
「マジか!!超有名人じゃん!」
「8位の人だ!凄い!!」
「握手して下さいっ!!」
「かっこいい!!」
あ、意外と人気ある。
流石勇者。
下を向いてニマニマしてるのが丸見えですぞ。
まぁ、その気持ちは分からんでもないけどさ。
さて、ここに人を集めた理由は何だろうか。
「皆、集まってくれてありがとうっ!!実は、もうすぐやってくるイベントモンスターは、空を飛べるらしい!!だからっ誰か空を飛べる種族の人はいないだろうか?いるのなら、是非空中戦で頑張ってもらいたいんだ!!僕はこの通り、人間だから空を飛べない…。…恐らく、空中戦が1番辛い立場になると思うんだ。僕は今、この時自分に翼が無いことを悔しい。1番辛いであろう場所に僕が立てないことが悔しい。皆を危険に晒すことしかできない自分に腹立たしい。……誰かっ僕の代わりに、空中戦をしてくれるものはいないだろうか!!?勇気ある者はいないだろうか!?」
「私が行きますっ!!」
「俺も!!」
「私も!!」
勇者の演説で心打たれた者達が続々と、前に進み出る。
ざっと100人程だろうか。
まぁ、まだ街の周りを囲っている人たちがいるからそれだけって訳じゃないんだろうけど…。
少なすぎる。
「ありがとうっ!!僕は嬉しいっ!!こんなにもの人が助けてくれるなんて思いもしなかった!このイベントが終われば、貴方達は英雄になれるだろう!!誇っていい!!貴方達は今この時のために選ばれたんだ!!」
「「「わぁぁぁぁぁぁああ!!」」」
勇者君楽しそうだなぁ。
私も混ぜてほしい!!
ここはいい感じに登場した方が良さげだね。
「もし、今来たばかりで、私も、俺も、空中遊撃隊に入りたいという人は是非申し出てくれっ!!この部隊のリーダーは僕だから、皆を危険に晒すような真似は絶対しない!!誰か入りたい人はいないか!?」
お、ここら辺だな。
「ならば、是非私も参加させて頂こう」
「お!ありがとうっ!!……ってげえっ!?ぐ、軍服!?」
「「「「わぁぁぁぁぁぁああ!!」」」」
「軍服様だ!!」
「ていうことは、他の4人もいるってこと?」
「きゃぁぁぁ!!」
「こっち向いてぇ!!」
勇者よ、そんなに嫌な顔をするでないよ。
私だってプリーズキャーキャーミーなんだから。
ニヤリと微笑んでやる。
「勇者よ。私も、全力を尽くして街を守らせてもらおう」
「あ、ありがと…」
あ、目を逸らしやがった。
そんなに私って怖いのかな…何かショックだ。
「「「来たぞっ!!」」」
空が黒く染まっていく。
イベントモンスター…モスキーバエトの大軍によって。
【鑑定】すると、待機中が進軍に変わって、Lvが2程上がっている。
これはやばい。
一体一体がフィールド1のボス並だ。
他のプレイヤー達は【鑑定】結果に慄いている。
士気が下がるのは宜しくないことだ。
リーダーも臀部を地面に擦り付けているし、ここは私が先陣を切って行くしかない。
「私は空中戦に征く!!ジンとウォッカは、ここで進軍を防いでっ!」
「「ラジャっ!」」
空を駆け上り、モスキーバエトの軍勢に向かって【残月】を放つ。
上手く【確率死】が入ってくれるのを期待し、MPを気にせずにドンドン放つ。
「Kwjtcraugp&tom」
きっと周辺の村の人もこの中にはいるのだろう。
だから早く助けてあげなくてはいけない。
モスキーバエトの攻撃を避けながら羽を切って地面に落としていく。
この方法ならば、地面に打ち付けられた時の衝撃で死ぬか、もし生きていたとしても、他のプレイヤーが残り少なくなったHPにとどめを刺すだろう。
三時間経過。
一向に止むことのない進軍。
流石にこれは疲れてくる。
一気に殲滅できる魔法があればなぁ。
広範囲攻撃魔法…。
…。
そう言えば、蚊って、暗いところが好きだって聞いたことがある。
逆に蝿は明るいところが好きだとも聞いたことがある。
でも、薔薇やミントなどの芳香は嫌いらしい。
そして、虫は事実、超音波が嫌いだ。
【超音波】というスキルがあるなら、使ってほしいところだ。
早速、次のことを掲示板に書き込んでおこう。
・【超音波】スキルを持っている人は、使ってほしい。対イベントに役立つはず。
・誰か第二の街の花屋で薔薇やミントなどの花を買って、【風魔法】で花の香りをモスキーバエトに向けて飛ばしてほしい。
・他に情報があるならドンドン載せて欲しい。
これでいいはずだ。
私は私で【光魔法】の実験をする。
「フラッシュッ!!」
「jpypmgmga!?」
何匹かのモスキーバエトが地に落ちていくのが見えた。
【光魔法】が効くやつと効かないやつがいるようだ。
「~し!」
ん?
「るし!」
ジンが読んでいるのが聞こえた。
何かあったのだろうか?
急いでジンの元に行く。
「ジン?何かあったの?」
見たところ、まだ傷はついていない。
「るしーえーとねーあれ使えばー?」
「あれ?」
「ちっさい子供に羽が生えたやつが空から降ってくるのじゃね?」
「!」
そうか!
【終焉のラッパ】があったか!!
気づかなかった。
あれは単体精神攻撃のスキルだと思い込んでたけど、詳細には自身よりMNDが低い者に強力な精神攻撃を与える、と書いてあった。
人数制限は書いていない。
幸い、軍服のスキルのお陰でHP、MP共に自動回復が付いている。
…これなら行ける。
「2人ともありがとうっ!」
「んーいいよー」
「勝とうぜ!」
再び空に舞い上がる。
「終焉のラッパ」
空が金色に染まり、天使が降ってくる。
モスキーバエトはその変化に構わず、進撃してくる。
虫になると、知能も低下するようだ。
明るい場所に向かおうとする姿は、まるで蝿ホイホイ。
天使達はモスキーバエトを広範囲に渡って取り囲み、賛美歌を歌った。
「gjdg&at"l」
口から泡を吐き、次々と落下していく。
地面に落ちる前に金色の粉に変わって、少し幻想的に見えた。
Lvが上がらないのは気のせいだろうか。
ピロりん。
『イベントクエスト一日目が終了しました。今回手に入れた経験値は、お金に変換されて、イベントクエストが一日終了する事に、一括で支払いが行われます。プレイヤーの皆様、今日はお疲れ様でした』
だからLvが上がらなかったのか。
くそぉ。
Lvがたくさん上がるチャンスだと思ったのにぃ。
運営さんの鬼畜。
「今日は俺ら探索組は収穫なしだったわ」
「そっかぁ。やっぱり、そんなに早くは出てこないよね」
「王よぉ。私、今日は疲れたから褒めてぇ♡」
「あー、頑張ったねーよしよし」
収穫なし…か。
まぁ、始まったばかりなのだし、仕方はないか。
「明日は、カインとセス、ジャンヌとヴェティが防衛ね。残りは探索。よし、今日はもう解散っ!お疲れっ!」
皆は疲れた顔をして、部屋に戻っていった。
イベントクエストを早く終わらせるために動き回っていてくれたのだろう。
私も、頑張らなきゃね。
何たって、このユニオンの「王」だから。
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