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イベントクエスト②
しおりを挟むイベント二日目。
昨日とさして変わらない天気模様。
晴れのち虫。
今日は私は探索班だ。
だけど、向日葵の森に行く前にセタンタの様子を確認してきたい。
昨日は会う機会がなかったため、体の具合が大丈夫か心配だからだ。
「僕、もう戦いたくない」「師匠の人殺し!」とか言ったらどうしよう。
そう思うと怖くてお見舞いに行きたくなくなる。
でも、セタンタの師匠になったからには最後まで面倒を見なくてはね。
『憩い亭』に赴くと、デヒテラさんが、花壇に水やりをしている所だった。
「あら、るし様、おはようございます」
わざわざ手を止めて、笑顔を振りまく貴方は女神様ですか?
「おはようございます。昨日は戻らなくてすみません。…あの、セタンタは大丈夫ですか?」
その問に少し顔を顰めたのがわかった。
やっぱり、何かあったんだ…。
デヒテラさんが口を開こうとしたその時、勢いよくドアが開いた。
ゴンッ
「~っ!」
「お母さん!!師匠はまだ帰ってこないの!?」
髪の毛がボサボサになったセタンタが現れた。
寝起きかな?
元気そうで何よりだ。
鼻から鉄の匂いと痛みがじんじんくる。
「あ…師匠!!」
「るし様、すみません!!」
「いえ、大丈夫れす」
ベルモットが既に【回復魔法】をかけてくれたので大丈夫だ。
いいな、【回復魔法】…。
私も欲しいなぁ。
どうやったら習得できるんだろ。
今度ヴィネに聞いてみよう。
「セタンタ、意外とピンピンしてるね?」
「はいっ!存在進化して、心も体も強くなりました!」
あれ?思ってたのと違う反応…。
そして、デヒテラさん。
何で顔を顰めたのか気になります。
「セタンタは、一昨日熱を出して寝込んでいたのですが、存在進化をしてからはこの通りで、有り余る体力でるし様を探して家を駆け回っているんです。…そのせいで他のお客様から苦情が来て頭が痛いんです」
なるほど。
だからさっき顔を顰めていたんですね…。
女将、ご苦労さまです。
さて、セタンタが存在進化したというのなら、どんな種族になったか気になるのが私の性分でして。
好奇心が抑えきれませぬ。
ハラハラドキドキの【鑑定】タイムッ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
種族 半人神(ハーフゴッド):堕 ☆8
名前 セタンタ
Lv 10
HP 1200/1200 MP 1000/1000
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
…。
堕ちてるよ?
な、何で?
どうしてこうなったんだぁぁあ!!!
あれか?あのグロッキーな光景を見たからなのか!?
そうなのか?そうなんだな?
「セタンタ…その…何で堕ちてるの?」
「それは、師匠とお揃いが良かったからです!!」
嬉しいけど、嬉しいんだけども、私のせいでした!
すみません!お母さん!!
…まさか、堕ちたから体調が悪くなったりしたのかな…。
「…堕ちてから何処か変わった事とかはある?」
「んー、おでこに黒い輪っかが付いて、髪の毛が一房だけ黒くなった!」
oh......。
セタンタの髪を見ると、確かに一房だけ黒くなっている。
かっこいい…。
「あっ!師匠!今度僕と一緒にクラン叔父さんの家に行きませんか?昨日お見舞いに来たクラン叔父さんに師匠の事を話したら、是非会いたいって!」
「いいよー。日が決まったら教えてね」
「やったー!!」
そういえば、いつになったらストーリークエストはクリアになるんだろうか。
存在進化がストーリークエストのクリア条件だと思ってたんだけど。
一向に終わる気配が無い。
イベントクエストが終わったら調べて見よう。
「セタンタ、私達はそろそろ行くけど、セタンタも来る?」
「はい!」
仲間が増えるのは有難い。
けど…。
「外に出たら、あの村で見たモンスターがいっぱいいるよ?」
「大丈夫です!!行きますっ!!」
強い子だ。
よし、セタンタを信じて一緒に行こう。
ヤバくなったら、私が体を張って守る。
それだけだ。
「はあっ!!」
何体ものカマッキリーが倒れていく。
いやぁ、ここまでセタンタが全部倒してるから、何か申し訳ないなぁ。
「そろそろ私も戦うよ?」
「いえっ!師匠に僕がどれだけ強くなったか見てもらいたいんです!!」
進化したからって、ステータスが向上する訳では無いはずなんだけど、NPCはグンッと上がる感じなのかな?
…もしそうだったらずるい。
「師匠!前方に村がありますっ!!」
セタンタには幻影を見破るスキルとかを持っているのだろう。
これならば、ボスの潜伏場所も見つけ出すことが出来るかもしれない。
「よし、そのまま進もう!」
景色が変わったと直後に、血の香りが鼻を突く。
どうやらこの村も襲われたようだ。
いったいどれだけの村が襲われ、壊滅したのだろうか。
…考えるだけで鳥肌が立つ。
国から追い出された人外の者達の殆どがいたはずだから、1万はいたのではないだろうか。
もしかすると、ここ周辺は全て全滅なのかもしれない。
助けることが出来なかったから、せめてもと、【鎮魂歌】を歌う。
「師匠、ありがとうございます」
「あはは。何でセタンタがそんなこと言うのさ。」
「…皆喜んでいるのが見えるから…」
…マジすか。
幽霊さんがいらっしゃるのですか?
道理で肌寒いわけだ。
セタンタのその目に映すのは、「真実」だけなのかもしれない。
「セタンタ、もしかするとなんだけど、この惨事を引き起こしたボスがこの森にいるかもしれないんだ。だから、セタンタのその力で一緒に探してくれないかな?」
「もちろんです!!…街の皆を、お母さんをあんな目に合わせないためにも、僕、頑張りますっ!」
子供を死地に追いやるようで心苦しいけど、今はセタンタの力が必要だ。
使える力は利用しないとなって悪い人は言いそうだ。
【二段飛び】を使って宙を蹴り、カマッキリーの顔にかかと落としを降らせる。
「Kisisisisisisiiiiiiii!!」
スキル【二段飛び】は、【蹴り技】の派生スキルだ。
地面を蹴り、宙を蹴り、高くジャンプ出来るという、何だかカッコイイスキル。
最終的には【空中散歩】とかいうスキルが手に入りそうだ。
そう思うと、Lvをポンポン上げたいところなんだけど、ここまで来ると全然上がらない。
そして、ボスの痕跡すらも見当たらない。
これは気の長い私でもイライラしてくるね。
セタンタもちょっと焦ってきてるみたい。
「セタンタ、何か視える?」
セタンタは目を凝らすが、何も視えないのか首を振った。
「…何にもないです」
「そっか。今日はLv上げの日になりそうだね」
「僕ー早く強くなりたいー」
「俺はるしを守れる力をつけたいんだ!」
「私、嬉しくて泣きそう」
なんて呑気に会話をしていると、地面が揺れた。
「師匠!何かが来ますっ!」
まさか、ボスかっ!?
幾ら何でも早くね?
でも、これは好奇だ!!
こいつを倒せばイベントが終わるっ!
…そう思ってた瞬間が私にはありました。
淡い期待は裏切られるというもの。
轟音を轟かせ、地面を突き破ってきたのは、巨大なピンクのミミズ。
クネクネと身体を揺らすその姿…ゾッワゾワするぅ。
肌が粟立つよ。
名前は鑑定するまでもないね。
今までのモンスターからすると、蟷螂はカマッキリーだったから、ミミズはミッミズーに決まってるよ!
そうに違いない!!
「皆っ征くよ!」
「「「おう!」」」
「きゅっ」
満月を手に【二段飛び】を使って下から上に切り上げようとするのだが…。
「Kyoooooooooo!!!」
ガギィィイン
ミッミズー(仮)は【重鉄化】を使えるのか、攻撃を見事に防がれてしまった。
まぁ、軍服と満月の攻撃力が合わさって鋼鉄部分もヒビが入ってるんだけどね。
他にも色々なスキルを持ってるかもしれないから【鑑定】入れとこ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
種族 ミッミズー ☆3
Lv 5
HP 550/550 MP 250/250
パッシブスキル
・気配消去(自身の気配を完全に断つ)
アクティブスキル
・重鉄化(物理攻撃の威力を半減させる)
・潜(どこでも潜ることが出来る。例え、それが壁だろうとも)
・防御力上
・絞め技(相手を締めるときの技の威力が上がる)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カインが見たら喜びそうなスキルばっかりだ。
ユニオンハウスに戻った時に教えてあげよう。
「皆っ!魔法を使えば勝てそう!!めんどかったら、ゴリ押しで!後、捕まったら締められるから気をつけてね!」
「力押しー」
「楽勝っ!」
「ホーリー・ガンッ!!」
4対1で、圧勝のうちに終わりました。
ピロリん、は?
ピロリん、が聞こえないんですけど。
ここまでモンスターを倒してるのに誰1人として上がらないっておかしくないですか?
しかも、ベルモットはあと1つLvを上げるだけで進化するのに。
運営さん、どうなってるんですかぁぁあ!!!
「師匠、奇声を上げたらモンスターが寄ってきますよ?」
「望むところだ!かかってきたまえ!」
「…もう夕方なんで、帰りませんか?」
その言葉に上から差す光を見ると、オレンジ色だ。
セタンタの言うとおり、帰らなくてはね。
でも、ベルモットはもう少しで進化出来るんだよ…。
むむむん。
「師匠が帰りたくないのなら、僕も一緒にいますっ!」
セタンタっ!!貴方は聖人ですか!?
…その好意に甘えたいです!
でも、帰りが遅くなると、デヒテラさんも心配するだろうし…。
夜が近づくと、夜型モンスターが出てきたり、モンスターのLvが上がって強くなったり…って聞くし、安全を考えて帰るべきだね。
Lv上げに熱中しすぎて、デスペナ食らうのは流石に痛い。
「今日はもう遅いし、帰ろっか」
「っしゃ!!デヒテラさんのご飯待ち遠しいぜ!」
「ごっはんーごっはんー!」
グーギュルギュル
ベルモットのお腹が鳴ったのが聞こえた。
皆腹ペコだね。
さっさと帰ろう!美味しいご飯が待ってるぜ。
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