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第四章 後宮には危険が一杯!
33.当世男子に、草食系が居るはずない
しおりを挟む「うちの上司ときたら、愛しい姫が待っていると言ったら、しがみついて離れずにな……鬱陶しいので、足蹴にしておいてきた訳だが」
それは……もしや、娘さんとの婚約を唐突に破棄された上司の方では?
と、考えると、いろいろと、申し訳ない気分になって、(陰陽寮がどこにあるのか解らないけど)とりあえず、心の中でそっちの方向に向かって拝んでおいた。
「上司を足蹴って……、君、ねぇ……」
関白殿下も呆れた様子だ。
「いや、僕が止めなかったら、この人、上司を殺す勢いでしたよ! 全く、おかげで、僕も頬を蹴られたんだから!」
見れば、陽の頬は、朱くなっている。
これは……腫れるな。明日には、青紫色になって居るはずだ。痛そう……。
「ねぇ、陽。それ、冷やしておいたり、薬草でも貼り付けておいた方が良いんじゃない?」
「アリガト、鬼ちゃん。邸に戻ったら、鬼ちゃんやってくれる?」
「あ、うん、いいよ」
「うわー、有難う。鬼ちゃんに手当てして貰ったら、きっとすぐ治るよ!」
なんとも、凄い事を言うなあ。そんなことを言われたら、必死で看病しなきゃって言う気になるじゃない!
看病って言うか、怪我の手当だけどね!
「左兵衛大尉、貴様、中々、侮れんな。可愛い顔をしているから、てっきり、草食系だと思っていたが」
陰陽師殿の呆れ声に、陽は、一瞬、きょとん、とした顔になってから、すぐに「あはは」と声を上げて笑ってから、言葉が、
「当世男子に、草食系が居るはずないよ!」
と爽やかに言い切った。確かに、色恋がよく解らずに、引っ込み思案で真面目すぎたりしていると、当世風だと、怖ろしいことに、色恋に疎いとなんと『風流を解さない』無粋な人物として見られてしまうらしい。
それを思えば、確かに陽の言う通りで、当世男子に、草食系は居ないのかも知れない。
「しかし……困った陰陽師が居たものだね。それで、こちらへ到着早々済まないが……早いところ、占いの仕度に取りかかって貰いたい」
「関白殿下、まずは、お食事では……?」
折角、膳を用意して貰っているのに、ね。
「ああ、山吹。私はあとで食事を頂こうと思う。まずは、占いを先にしよう」
陰陽師は、そういうと、すぐさまに占いの仕度に取りかかった。
なにやら本を十冊ほどが用意される。
それと、文机、紙、硯……。
「よし、山吹、こちらへ来てくれ。まずは、あなたの生まれ日のことなどをお聞きする」
毎度不思議なことながら、一人一人それぞれの生年月日を聞いたくらいで、良く、事件を解決したりするんだろう。
あとは、なんだか、いろいろして居るみたいだけど。
私が答えると、陰陽師殿は、私に向き直って呟いた。
「山吹。……これは一体、どういうことなのだろうな」
「なに? なにかありまして?」
私は、陰陽師に問い掛ける。すると陰陽師殿、口を開いて、こんなことを、宣ったのだった。
「おそらく、あなたは、呪われている。心当たりは?」
呪われている?
「私が、鬼憑き……とかっていう話ではなくて?」
「うむ。それならば、あなたが、文字通り、鬼に魅入られたと言うことはないようだと、そう思っているが、ともかく、あなたは呪われているのだ。
しかも、ここ数日に掛けられた、強力な呪いだ」
なんで、呪われてるのよっ! そんなの知らないわよーっ!
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