鬼憑きの姫なのに総モテなんて!

鳩子

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第四章 後宮には危険が一杯!

34.鬼憑きの姫が呪われた!

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 呪われている。

 それは、私に結構なインパクトを与えた。並みの姫ぎみなら、倒れてるわよ!

「陰陽師。山吹が、呪われているとは、どういうことだ?」

 関白殿下が、強張った顔つきで、問いかける。

「そのものズバリ、呪われているのだ。山吹、最近、あなたの身の回りの品などを、誰かに与えたり、身の回りから消えた品などはなかろうか?」

「うーん、思い当たる品は……」

 ないなあ、と言おうとしたところで、私は、思い出した。

「あるわ! 二条関白邸に臨時で女房やってた時、小袖を盗まれたのよ!」

 まさか、そこで盗まれた小袖に、呪いがかけられた?

「というと、関白殿下とか、帝が、鬼ちゃんを気に入ったという噂を聞いた誰かが……」

 陽の言葉に、私は鳥肌が立って、腕を抱いた。怖ろしすぎる!

「関白殿下のお邸で盗難とは……お節介かも知れないが、関白殿下、雇う人間は選んだ方が良いのではないか? 宮中で盗みを働けば、鼻を削がれるのが常識だ。犯人を捕まえた暁には、この私が鼻をそぎ落としてやる」

 うう、物騒だなあ。陰陽師殿。

 たしかに、小袖(下着)を盗まれて、匂いをかがれたりしたらそれは鳥肌モノに気持ちが悪いけど、呪われるのは、かなーり勘弁願いたいわよ。

「ああ、陰陽師殿、それは一度、邸の者はすべて、身元を洗い直して、こういうことを起こさないように血判を押させるようにしよう。
 しかし、あれは、主上が山吹を召す前のことだ。それなら、なぜ、山吹の小袖が盗まれる? 私だって、山吹を気に入っているとは、まだ、公言していない頃のことだ。だから、私とか帝関係で、山吹の小袖が盗まれることはないはずだが」

「じゃあ、誰が、何の目的で? 鬼ちゃん、心当たりは?」

「解りませんよ、私にはっ! 第一、あの小袖は、父親の妾さんが、突貫で作ってくれた、大事な品だったんですから! 新品なのよっ!」

「あなたの母上の、作ったのではなく?」

「ええ、私の母親は、もう、針仕事とか、絶対無理ですから。そこは、ヒドいから、突っ込まないで?」

「まあ、詳しくは聞かないけど。君の小袖を、わざわざ、狙うんだからなにか、あるでしょう」

「ねえ、鬼ちゃん。その時って、どういう状況だったの?」

「えーと、確か、二人で、蝶を捕まえたじゃない? それで、結構、装束が汚れてしまったから、全部、脱いだのよ」

「その、脱いだ装束を持ち去られた……」

「だと思うわ。……えーと、陰陽師殿。私に掛けられた呪いって、どういう種類のもの?」

 もしかしたら、そんな、大したことない呪いかも知れないし。それなら、大騒ぎをしなくても、ねえ。

「聞きたいか」

 陰陽師の声は、固い。

「聞きたいわよ。自分の身に、何が起きるか、知りたいのは、当たり前でしょう?」

「では、気は進まないが。あなたにかけられた呪いは、満願達成で、あなたが死ぬというものだ。ついでに、この呪いの力が強すぎて、鬼の君の居場所もわからない。
 楽な死にかたもできないのは確実という、陰湿なものだから、相当な呪いの使い手でも、恐らく、相手も死ぬだろう。呪い返しも成功するか、怪しいな。上司ならば、なんとかしてくれるかも知れないが……」





 聞かなきゃ良かった。
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