鬼憑きの姫なのに総モテなんて!

鳩子

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第六章 大ピンチ! 呪いも運命も蹴散らして

6.血染めの部屋にて ★写真付き★

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 小坊主が去ってしまったので、とりあえず、私は、思案する。

 あの、鉉珱げんようが、高貴な血を引いているのならば。鬼の君を廃して、自分が帝位に就こうという腹なんだろうか?

 そして、呪いの意味がわからない。

 私のタイムリミットが迫っているのはともかく、鉉珱げんようの情報は、誰かに伝えなければ!

 しかし、私は、物語の陰陽師のように式神なんか飛ばせないし、鳩や烏に託すという手段も使えない。

 あの小坊主が、文使いになってくれれば良いけれど、それもないと思うし。

 ここは、とっとと逃げ出したいけど、もう少し、調べてからの方が良い。

 私は、とりあえず、御簾から外を窺った。

 部屋の外は、すぐに廊下。その先には庭が広がっている。かろうじて、三重塔が見えた。塔があると言うことは、それなりの大寺院だ。間違いない。

 まあ、鬼の君の切腹に選ばれる場所なんだから、格式の高い寺院と言うことなんだろう。

 三重塔の向こうには、築地塀が見える。おそらく、あの築地塀は、ぐるっと回って寺の敷地を囲んでいるはずだ。

 あの壁の反対側……つまり、私の居るところの近くに、通用門みたいなものがあれば良いんだけれど。

 まだ朝早いせいか、人の姿は少なくて、修行僧の姿も見えない。

 私は、自分の装束を確かめてみる。

 とりあえず、女房装束フルセットを着込んでいた。つまり、唐衣、表着、五衣、裳に長袴(その他もろもろ)のフルセット。

 とりあえず、ここを『探る』にしても、『逃げる』にしても、この部屋から出ないことには、始まらないわ。

 よし。

 私は、意を決して、女房装束を脱ぎはじめた。

 脱ぐ、と言っても、一枚一枚脱ぐわけじゃない。

 女房装束は、一気に、すぽっと、脱ぐことが出来る。元々、紐一本で押さえられている物だから、そこから、すっと身体だけを引き抜くイメージね。そうすると、今まで私が来ていた形をそのままに保って、女房装束だけが、のこされる。

 私は、小袖(下着)と長袴だけの姿になる。

 実は、宮中とかでは、晴れの日に、寝殿の廂の内側に、こうやって作った女房装束(長袴から重ねて作ると言うこともあるらしいけれど)を陳列して、袖褄そでつまを御簾の下から出す『打出うちいで』で飾られる。

 遠くから見ると、色とりどりの装束で着飾った女房達が、ずらりと控えているように見えるので、中々、圧巻だと思う。(わたしも、宮中のことだから、実物を見たことはないのね……)

 そう。

 この部屋。

 廊下側は、御簾。

 つまり、この、女房装束(もぬけの殻)を……御簾の所に置いて、そして、打出よろしく袖褄を出しておけば。

 遠くから見たら、私は、ここに居るように見えるというわけだ。

 その間に、私は、この寺の中を少し探って、出口を見つけて、とにかく、どこかへ逃げ込む!

 うん。それしかない。

 私は、邪魔になりそうなので、長袴の裾をからげて腰に挟み込んで(足が見えてみっともないわ……)そのまま、部屋を抜け出し、廊下の下―――つまり、寺の床下へ潜り込んだ。

 まず、こんなところに入り込む姫が居るなんて思わないでしょう!

 そして、床下は、比較的、自由に歩けるはずだ。

 まずは、寺の奥まった所を目指す。

 私のカンだと、偉い人というのは、奥まった所に居るものだ。

 このお寺が、どんな仏様を祀っておられるか解らないけど、とりあえず、身の危険が迫っているので見逃して下さいませ!

 と一つ、経文を唱えてから、意気揚々。

 私は、蜘蛛の巣を振り払いながらの床下探索へ乗り出した。




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※女房装束を『するっと』脱いだ画像はこちら。



意外に、形が残ります。
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