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第六章 大ピンチ! 呪いも運命も蹴散らして
5.血染めの部屋
しおりを挟む血まみれの部屋に居る……と思ったら、急に、その辺が生臭いような気になってしまった。
たしかに、明るくなってきたから解るけど、ぬぐい去れない感じの、薄汚れた赤黒いシミが……。
これが、例の『牛一頭シメて、その血をぶちまけて遁走』した時の残骸か……。
大体、牛一頭をシメるという発想が普通じゃないです、鬼の君。
そのスプラッタな状況を見た関白殿下には、ほとほと同情する。
お上品に粥を食べながら、私はできる限りのことを考える。
とにかく、この寺の主である鉉珱が、呪いを掛けているのだとしたら……、一体、どういうことなんだろう。
そして……私の首を絞めた人ならば。
「姫さま、どうなさいました?」
小坊主が心配そうに聞いて繰るので、私は、ここぞとばかりに聞き込むことにした。
「小さなお坊様。貴方様のお師匠様である、鉉珱様という方のお名前は、わたくしのような学のないものでも聞いておりますけれども、主上も信を置くほどのご立派な方だとか……」
「そうなんですっ!」
小坊主は目を輝かせた。
「私のお師匠様は、帝のお側近くに仕え、良き相談相手になって居ると言うことなのです。相談相手などと言いますと、畏れ多い気もしますけれど、本当に、三日と開けずに宮中に通っておられます!」
「ええ、宮仕えしている友人がおりますから、良くお見かけするとお聞きしましたわ。なんでも、たいそうな美男なのだとか」
ふふ、と笑う。
小坊主は、『美男』などと俗なことを言われて怒り出すかと思えば、そんなことはなかった。
「そうですよねっ! 本当に、美男なんです! 本当に氷のような雰囲気を身に纏った方で、読経や説法をなさるお声も素晴らしく……、見とれそうになってしまいますもの!」
「まあ、そうでしたの……そんなに美しい方というのも、珍しゅうございますね」
「そうですか? 確かに、まがまがしいほどに美しいだとか仰せになる方もおりますけれど……皇胤という噂もありますからねぇ」
「えっ? なんですって?」
「皇胤ですよ……。なんでも、少し前の主上のご落胤だとかなんだとか。だから、あの、気むずかしい主上も、お側に置かれるのだとかという話を聞いたことがありますよ?」
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「あ、今の話は、みんなには内緒にしておいて下さいね」
慌てた様子で、小坊主は言ってから、そそくさと立ち去っていく。その足音を聞きながら、私は、なにやら、不安な気持ちで一杯だった。
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