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第15話 初共闘の打ち合わせ
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《ソウマ視点》
ベロニカの背から降りて、アタシたちは火山に到着した。
それにしても、道中は心臓が持つか心配になっちゃったよ。
ベロニカとゼランの会話が常に供給される空の密室だったわけで。
テンション上がってつい声に出ちゃったけど、口はしっかり押えてた。
2人には聞こえてなければいいけど。
「ふう。それで、どこで勇者と戦うの?この大きな洞窟かしら?」
人間形態になったベロニカが身体を伸ばしながら尋ねてきた。
アタシたちが降り立ったのは火山の中腹にある広い台地のような場所。
目の前には、巨大な洞窟がぽっかりと口を開けている。
「炎の神殿はその中だからね。この洞窟の前で迎え撃つのがいいんじゃないかな?」
アタシはソウマのキャラになりきって返事する。
自分の喉からソウマの声が出てるのも、実は結構アガるんだよね。
何度でも言いたいけど、グロファン世界に転生とか最高か?
「俺はその方が助かるな。見るからに洞窟の中は暑そうだし、ここなら広いから多人数戦闘もしやすいだろ」
ゼランは暑そうにしながら顔を顰めてる。
「なら、そうしましょうか。あと、肝心の勇者はいつここに来るのかしら?何日も待機とかは勘弁してほしいんだけど」
ベロニカはそう言って、ジト目でこっちを見てきた。
なんか機嫌悪そうだけど、その視線ゾクゾクする!
「昼頃までには到着するはずだよ。待てそうかい?」
高鳴る鼓動を抑えながら、アタシは演技を維持しながら返事をした。
はあはあ。 あまりじっと見られると、興奮しすぎて蒸発しちゃうかも。
「まあ、それくらいなら許せるかしらね。って言うか、前回の待ちぼうけはなんだったのよゼラン!」
「しょうがないだろ。あの時は勇者の居場所が分からなかったんだからよ」
思い出したように怒りをゼランにぶつけるベロニカ。
彼女の視線から解放されたのも束の間。
2人の会話が始まってアタシは生唾を飲み込んだ。
ゼランはたじたじといった感じで、ベロニカを宥めようとしてる。
そんなことはお構いなしに、ベロニカはむすっとしてゼランを睨んだ。
すばらしい。できることなら空気になって、ずっとこのやり取りを見ていたい。
「そんなことよりだな。このまま待ってるのも暇だし、作戦を決めておかないか?」
「……そんなこと呼ばわりは聞き捨てならないけど、それもそうね。ソウマとは初めて一緒に戦うわけだし?いいと思うわ」
ゼランが至極もっともな提案をして、アタシの望みは早くも潰えた。
舞い上がってすっかり頭から抜け落ちてたけど、もう勇者と戦わなきゃなのか。
今更だけど緊張して来た。
一応、戦いの準備はしてたけど実戦は初めてなんだよね。
事前に打ち合わせしておくのはやっぱ大事だ。
てか、ゼランってこんなに論理的で冷静な発言ができるんだ。
原作だと猪突猛進って感じで、理屈っぽいイメージないから意外。
でも、弧高の戦士が実はリーダーとしても有能だったとかカッコいいじゃん。
もっとそういうの見せてほしいかも。
っと、ダメダメ。雑念は払わないと。
「じゃあ、まずは勇者の戦力についてボクが集めた情報を共有しておこうか」
「それは助かるな。聞かせてくれ」
気を取り直して、これからのことに集中しよう。
部下に偵察させて手に入れた最新情報。
これで2人の会話を引き出しつつ、勇者を倒す算段を立てなきゃ。
「どうやら、魔法使いのメンバーが1人増えているらしい。それと、勇者は氷の神殿で伝説の盾を手に入れている。この2つが大きな強化点だよ」
「勇者だけでもあんなに強いのに、後衛が増えたの?めんどくさそうね」
「後衛の2人はさっさと片付けた方がよさそうだな」
「だけど、前衛には勇者がいるのよ。後ろに回り込む余裕なんてあるかしら?」
「俺が前で勇者を食い止めて、2人掛かりで後衛を倒すってのはどうだ?そうすれば、すぐに3対1に持っていける」
ほうほう。身を挺して勇者を押さえ込む。
ちょっと無謀な発想だけど、全く考えなしってわけでもなさそう。
後衛を倒す人員を増やして、早々に勇者を孤立させられたらかなり有利になる。
ゼラン、マジで名将の資質アリなのでは?
くっ、いいギャップじゃん。
「ちょっと待って。あの勇者を1人で相手するのはキツいんじゃない?最初から3人で勇者を倒しに行った方がいいと思うけど」
おお?そう来ますかぁ。
火力を集中して速攻で勇者を倒す。小細工を使わないごり押し戦法。
ベロニカらしい感じ!
後衛に妨害されそうだけど、勇者を取り囲めば魔法使いは援護しにくいだろうし案外ありかも。
「いやいや。俺とお前はともかく、ソウマは共闘初めてなんだぞ?3人で勇者に攻撃したら、同士討ちになるかもしれないだろ。その案はやめた方がいい」
「はあ?そっちの作戦こそ、1人で勇者の相手をしてアナタがやられたら残った2人は挟み撃ちされちゃうじゃない。正面突破の方がいいに決まってるわ」
ひゅっ。
ベロニカとゼランが顔を突き合わせて睨み合いながら言い争ってる!
尊い。
やっぱり原作ファンとしては、バチバチやり合う関係性もたまらないんだよね。
ずっと見守っていたいけど、このままじゃ収拾がつかない。
苦渋の選択だったけど、ちょっとだけ2人のいがみ合いを眺めてから手を上げた。
「どちらの意見もいいと思うよ。だから、ここは折衷案がベストなんじゃないかな」
「「折衷案?」」
二人の声が重なる。は?息ピッタリとか、めっちゃ萌えるんですけど?
顔がにやけそうになるのを堪えて、なんとか声を絞り出す。
「ベロニカとゼランの2人に勇者の相手をしてもらう。その間にボクが後衛を仕留める。後は、3人で勇者を倒せばいい。どうかな?」
「……なるほどな。後衛を潰すだけならソウマに任せてしまっても構わないか」
「うーん。たしかに、2人なら勇者の足止めもできるかもしれないわね」
2人は各々難しい顔をして、唸っている。
でも、割と好感触じゃない?
そう思っていると、ゼランがこちらに真っすぐ視線を向けた。
「いいんじゃないか。俺は賛成だ」
「そうね。悪くないんじゃないかしら?ワタクシも乗ってあげる」
2人の同意を貰って、ホッと胸をなでおろす。
なんとか話は纏まったかな。
あとは、ソウマっぽく自信を見せておこう。
2人には必要ないかもしれないけど、不安や緊張を和らげておくのは大切だし。
「それは良かった。2人は少し時間を稼いでくれるだけでいいよ。勇者以外の人間くらい、ボクがすぐ片付けるからさ」
「頼もしいな。勇者は俺たちに任せておけ。お前の邪魔はさせねえからよ」
「ちゃんと役割はこなしてあげるわ。その代わり、作戦の要はアナタなんだから油断はしないことね」
ゼランたちの視線を一身に受けて、なんだかむず痒い気持ちになる。
この2人からこんな風に温かい言葉をかけてもらえてるなんて嬉しすぎる。
ただのファンが受けて良い待遇じゃないよこれ!
頭がオーバーヒートして、返事を考えられない。
言うべきセリフが浮かばず、口をパクパクさせたその時だった。
寒気がするほどの強力な魔力を感じた。
一気に全身の肌が粟立つ。
「この気配……。どうやら近くに来てるみたいだね」
「ちっ、やけに早くないか?」
「文句言ってる場合じゃないわよ。もう構えておいた方がいいわ」
ゼランの言う通りだ。思ったより到着早いじゃん。
まだ時間あると思って油断してた。
2人も驚いたのか、表情からも只ならぬ緊迫感が伝わってくる。
もう本番とか手汗がヤバイ。
3人で洞窟前の広場に陣取り、身構えていると山道に人影が見えてきた。
先頭を進む男の顔を見て確信する。
勇者アスレイ。本物だ。
今から、アタシたちは3人であの男を倒さないといけない。
ベロニカの背から降りて、アタシたちは火山に到着した。
それにしても、道中は心臓が持つか心配になっちゃったよ。
ベロニカとゼランの会話が常に供給される空の密室だったわけで。
テンション上がってつい声に出ちゃったけど、口はしっかり押えてた。
2人には聞こえてなければいいけど。
「ふう。それで、どこで勇者と戦うの?この大きな洞窟かしら?」
人間形態になったベロニカが身体を伸ばしながら尋ねてきた。
アタシたちが降り立ったのは火山の中腹にある広い台地のような場所。
目の前には、巨大な洞窟がぽっかりと口を開けている。
「炎の神殿はその中だからね。この洞窟の前で迎え撃つのがいいんじゃないかな?」
アタシはソウマのキャラになりきって返事する。
自分の喉からソウマの声が出てるのも、実は結構アガるんだよね。
何度でも言いたいけど、グロファン世界に転生とか最高か?
「俺はその方が助かるな。見るからに洞窟の中は暑そうだし、ここなら広いから多人数戦闘もしやすいだろ」
ゼランは暑そうにしながら顔を顰めてる。
「なら、そうしましょうか。あと、肝心の勇者はいつここに来るのかしら?何日も待機とかは勘弁してほしいんだけど」
ベロニカはそう言って、ジト目でこっちを見てきた。
なんか機嫌悪そうだけど、その視線ゾクゾクする!
「昼頃までには到着するはずだよ。待てそうかい?」
高鳴る鼓動を抑えながら、アタシは演技を維持しながら返事をした。
はあはあ。 あまりじっと見られると、興奮しすぎて蒸発しちゃうかも。
「まあ、それくらいなら許せるかしらね。って言うか、前回の待ちぼうけはなんだったのよゼラン!」
「しょうがないだろ。あの時は勇者の居場所が分からなかったんだからよ」
思い出したように怒りをゼランにぶつけるベロニカ。
彼女の視線から解放されたのも束の間。
2人の会話が始まってアタシは生唾を飲み込んだ。
ゼランはたじたじといった感じで、ベロニカを宥めようとしてる。
そんなことはお構いなしに、ベロニカはむすっとしてゼランを睨んだ。
すばらしい。できることなら空気になって、ずっとこのやり取りを見ていたい。
「そんなことよりだな。このまま待ってるのも暇だし、作戦を決めておかないか?」
「……そんなこと呼ばわりは聞き捨てならないけど、それもそうね。ソウマとは初めて一緒に戦うわけだし?いいと思うわ」
ゼランが至極もっともな提案をして、アタシの望みは早くも潰えた。
舞い上がってすっかり頭から抜け落ちてたけど、もう勇者と戦わなきゃなのか。
今更だけど緊張して来た。
一応、戦いの準備はしてたけど実戦は初めてなんだよね。
事前に打ち合わせしておくのはやっぱ大事だ。
てか、ゼランってこんなに論理的で冷静な発言ができるんだ。
原作だと猪突猛進って感じで、理屈っぽいイメージないから意外。
でも、弧高の戦士が実はリーダーとしても有能だったとかカッコいいじゃん。
もっとそういうの見せてほしいかも。
っと、ダメダメ。雑念は払わないと。
「じゃあ、まずは勇者の戦力についてボクが集めた情報を共有しておこうか」
「それは助かるな。聞かせてくれ」
気を取り直して、これからのことに集中しよう。
部下に偵察させて手に入れた最新情報。
これで2人の会話を引き出しつつ、勇者を倒す算段を立てなきゃ。
「どうやら、魔法使いのメンバーが1人増えているらしい。それと、勇者は氷の神殿で伝説の盾を手に入れている。この2つが大きな強化点だよ」
「勇者だけでもあんなに強いのに、後衛が増えたの?めんどくさそうね」
「後衛の2人はさっさと片付けた方がよさそうだな」
「だけど、前衛には勇者がいるのよ。後ろに回り込む余裕なんてあるかしら?」
「俺が前で勇者を食い止めて、2人掛かりで後衛を倒すってのはどうだ?そうすれば、すぐに3対1に持っていける」
ほうほう。身を挺して勇者を押さえ込む。
ちょっと無謀な発想だけど、全く考えなしってわけでもなさそう。
後衛を倒す人員を増やして、早々に勇者を孤立させられたらかなり有利になる。
ゼラン、マジで名将の資質アリなのでは?
くっ、いいギャップじゃん。
「ちょっと待って。あの勇者を1人で相手するのはキツいんじゃない?最初から3人で勇者を倒しに行った方がいいと思うけど」
おお?そう来ますかぁ。
火力を集中して速攻で勇者を倒す。小細工を使わないごり押し戦法。
ベロニカらしい感じ!
後衛に妨害されそうだけど、勇者を取り囲めば魔法使いは援護しにくいだろうし案外ありかも。
「いやいや。俺とお前はともかく、ソウマは共闘初めてなんだぞ?3人で勇者に攻撃したら、同士討ちになるかもしれないだろ。その案はやめた方がいい」
「はあ?そっちの作戦こそ、1人で勇者の相手をしてアナタがやられたら残った2人は挟み撃ちされちゃうじゃない。正面突破の方がいいに決まってるわ」
ひゅっ。
ベロニカとゼランが顔を突き合わせて睨み合いながら言い争ってる!
尊い。
やっぱり原作ファンとしては、バチバチやり合う関係性もたまらないんだよね。
ずっと見守っていたいけど、このままじゃ収拾がつかない。
苦渋の選択だったけど、ちょっとだけ2人のいがみ合いを眺めてから手を上げた。
「どちらの意見もいいと思うよ。だから、ここは折衷案がベストなんじゃないかな」
「「折衷案?」」
二人の声が重なる。は?息ピッタリとか、めっちゃ萌えるんですけど?
顔がにやけそうになるのを堪えて、なんとか声を絞り出す。
「ベロニカとゼランの2人に勇者の相手をしてもらう。その間にボクが後衛を仕留める。後は、3人で勇者を倒せばいい。どうかな?」
「……なるほどな。後衛を潰すだけならソウマに任せてしまっても構わないか」
「うーん。たしかに、2人なら勇者の足止めもできるかもしれないわね」
2人は各々難しい顔をして、唸っている。
でも、割と好感触じゃない?
そう思っていると、ゼランがこちらに真っすぐ視線を向けた。
「いいんじゃないか。俺は賛成だ」
「そうね。悪くないんじゃないかしら?ワタクシも乗ってあげる」
2人の同意を貰って、ホッと胸をなでおろす。
なんとか話は纏まったかな。
あとは、ソウマっぽく自信を見せておこう。
2人には必要ないかもしれないけど、不安や緊張を和らげておくのは大切だし。
「それは良かった。2人は少し時間を稼いでくれるだけでいいよ。勇者以外の人間くらい、ボクがすぐ片付けるからさ」
「頼もしいな。勇者は俺たちに任せておけ。お前の邪魔はさせねえからよ」
「ちゃんと役割はこなしてあげるわ。その代わり、作戦の要はアナタなんだから油断はしないことね」
ゼランたちの視線を一身に受けて、なんだかむず痒い気持ちになる。
この2人からこんな風に温かい言葉をかけてもらえてるなんて嬉しすぎる。
ただのファンが受けて良い待遇じゃないよこれ!
頭がオーバーヒートして、返事を考えられない。
言うべきセリフが浮かばず、口をパクパクさせたその時だった。
寒気がするほどの強力な魔力を感じた。
一気に全身の肌が粟立つ。
「この気配……。どうやら近くに来てるみたいだね」
「ちっ、やけに早くないか?」
「文句言ってる場合じゃないわよ。もう構えておいた方がいいわ」
ゼランの言う通りだ。思ったより到着早いじゃん。
まだ時間あると思って油断してた。
2人も驚いたのか、表情からも只ならぬ緊迫感が伝わってくる。
もう本番とか手汗がヤバイ。
3人で洞窟前の広場に陣取り、身構えていると山道に人影が見えてきた。
先頭を進む男の顔を見て確信する。
勇者アスレイ。本物だ。
今から、アタシたちは3人であの男を倒さないといけない。
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これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
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