四天王転生~他の四天王の様子がおかしいと思ったら、実は全員転生者だった件~

尾藤みそぎ

文字の大きさ
16 / 17

第16話 勇者との再戦

しおりを挟む
「また君たちか」

 アスレイがこちらを一瞥して、そう吐き捨てた。
 ヤバイ。すごい威圧感。

 って言うか、気のせい?
 ゲームでは何度も見たはずなのに、なんだか全然顔つきが違う気がする。

 金髪に映える蒼い瞳には、冷たい殺意が漲っていた。
 怖すぎ。できるなら今すぐ逃げ出したいんだけど。

「失礼ね!今回こそはアナタを屈服させてあげるわ」

「前回と同じだとは思わない方がいいぜ!」

 ベロニカとゼランがリベンジに燃えた様子でアスレイを威嚇した。
 2人とも気合十分って感じだ。

 頼もしい2人のセリフで、ちょっぴりだけど恐怖が和らいだかも。
 うん。大丈夫だ。3人で力を合わせれば倒せるはず。

「アスレイ様、1人増えています。おそらくあの魔物も……」

 あれは、僧侶のメイジーだっけ。
 メイジーは緊迫した様子でアタシの方を真っすぐに見つめている。

「分かってる。2人では敵わないと分かって、もう1人四天王を連れて来たんだろう」

 メイジーの言葉に返事をするアスレイ。
 さすがと言うか、アタシが3人目の四天王だってことはもうお見通しみたいだ。

 しかも、かなり警戒されてるっぽい。
 ここは上手く振舞わなきゃ。なんと言っても、ソウマは初見殺しの性能。

 ゲームで驚かされたソウマの十八番をなんとか再現したい。
 そのためには、第一印象が大事!
 まずは、一歩前に出て名乗りを上げる。

「ご名答。ボクは四天王の1人。無限伯ソウマ。子供だと思って甘く見たら後悔することになるよ」

 アタシは脳内フォルダに保存されているソウマのイメージから受信したセリフを、冷たげな口調に乗せて読み上げる。

 それと同時に両手を広げ、魔力を解放。
 ローブに着けたいくつもの宝石たちがアタシの魔力に反応して、怪しげな紫色の光を放ち始めた。

「すごい魔力……。かなり強力な魔法使いみたいですね」

 メイジーが期待通りの反応をしてくれて内心ホッとする。

 でも、渾身の自己紹介と魔力アピールを披露したのに、アスレイは眉一つ動かさない。

「問題ない。誰が相手でも切り捨てるだけだ」
 
 うっ、なんなのコイツ!殺気ヤバすぎ!
 今にも切りかかってきそうな気迫に思わずたじろいでしまう。
 その時、アスレイの後ろにいる男が声を上げた。

「彼らが噂の四天王かい?なんと言うか……。大したことなさそうだな、アスレイ」

 黒を基調としたローブを纏った青年は、そう言いながら色素の薄い緑色の瞳でアタシを見ていた。

 あ、すっかり忘れてた。魔法使いのクライブがいたんだっけ。
 
 アタシこのキャラはあまり好きじゃないのよね。
 茶髪のメガネ男子でエリートキャラだから、好きな人は好きなんだろうけど。

「クライブ。お前の魔法は頼りにしているが、油断するなよ」

 アスレイがクライブに視線を移して、釘を刺すようにそう言った。
 ところが、クライブは侮るような視線をアタシに向けたままだ。

「油断などしていないよ。あのソウマとかいう少年の魔力に拍子抜けしただけだ。彼は僕が仕留めよう。この、大陸随一の魔法使い。スペルマスター・クライブがね!」
 
 クライブはわざとらしくメガネの弦に指を添わせて、決め台詞を放った。

 やっぱり、アタシの好みじゃないわ。
 自信家なのはベロニカと似てるけど、カッコつけてるのが見え見えの威張り方ってなんか嫌なんだよね。

 そんなことを思っていると、不意にゼランが雄叫びを上げた。

「よそ見してんじゃねえぞ!」

 爆発的な加速で突進したゼランは、あっという間にアスレイの懐に飛び込んで行った。
 ヤバ。ついに始まっちゃったよ。

 会話の隙を狙ったゼランの初撃に、アスレイは難なく対応した。

「その程度か?」

「ちぃっ!」

 左腕の盾でゼランの右ストレートがピタリと止められてしまっている。
 その盾には碧く輝く宝石が埋め込まれてる。
 
 氷の神殿に封印されていた伝説の盾だ。
 たしかあの盾、かなり優秀な性能だった気がする。ゼラン、大丈夫かな。

「こっちを見なさい!」

 アスレイに追い打ちをかけるべく、ベロニカが間髪入れずに飛び出した。
 ゼランの攻撃で動きが止まったアスレイの側面に一瞬で回り込む。

 すごいスピード!
 彼女の右手の爪が真っ赤な炎を纏って輝く。

「『獄炎の竜爪ブレイズクロー』!」

 ゼランの拳を盾で食い止めているアスレイの胴体めがけて、ベロニカの爪撃が襲い掛かる。

「甘いっ!」

 アスレイは迫るくれないの斬撃を軽々と右手の剣でいなし、そのまま2人と交戦状態に入った。
 勇者の身のこなしはキレッキレだ。

 一筋縄ではいかなそうな雰囲気をバリバリ感じる。
 でも、まずは上々の立ち上がり。ここからはアタシの出番だ。

 戦いが始まったとみるや、援護のためにメイジーとクライブは後退していく。
 2人に向かって、アタシは声を張り上げる。

「じゃあ、キミたちの相手はボクがしよう」

 3人が争う戦場から円を描くように迂回しながら、アタシは右手をクライブたちに向けた。

「『紅炎猛爆フレイムバースト』」

 身に着けていた宝石が宙を舞い、それらを起点にして魔法陣が展開される。
 そこから巨大な炎の球体が生み出された。

「ふん。ただの中級魔法か。くだらないな」

 鼻で笑うようにそう言ったクライブは手にした杖を構えた。

 アタシの放った魔法がクライブ目掛けて撃ち出される。
 迫りくる業火を前にして、クライブは余裕そうに笑みを浮かべた。

「『魔法障壁マジックバリア』」

 光り輝く半透明の壁が現れて、アタシの魔法は完璧に防がれてしまう。

 だけど、残念でした。
 防御されるのは織り込み済みなのよね。

 着弾した爆炎が弾けて、花火のように次々と炸裂した。
 その爆発でクライブたちの視界が埋め尽くされていく。 

「かかったね」

「なに?」

 クライブが防壁を維持している間に地を蹴って加速。

 アタシはクライブの背後へと一気に回り込んだ。
 アタシが仕掛けた罠に、クライブはちっとも気がつかなかったみたい。

 ソウマは変身能力を持ったスライム。
 なのにこんないかにも魔法で攻めそうな恰好をしてるのには、理由があるんだよね。

 ソウマは魔法使いなんかじゃなくて、本当は近接戦闘タイプ。
 しかも、不意打ちで相手を仕留める技をいくつも持ってる。

「『欺瞞の突針ディセプションニードル』」

 右手の指が鋭利な針へと形を変え、音もなくクライブの首目掛けて突き出される。

 これは決まったでしょ。
 死角からの暗器攻撃なんて、魔法使いの敏捷性じゃ避けられない。

 その時だった。

「『雷撃魔弾サンダーボルト』」

「は?」

 アタシの右腕にいかづちの光弾が直撃した。

 げっ。
 腕が麻痺して、命中するはずだった刺突がわずかに逸れた。

「ひっ!」

 クライブが情けない悲鳴を上げる。
 ソウマとっておきの奇襲攻撃はクライブの肩を掠めただけに終わっちゃった。

 とっさに雷撃が飛来して来た方向を見る。

 アスレイだ。マジ!?
 ベロニカとゼランの相手をしながら、こっちに魔法攻撃するとか。
 なんて奴なの!?

「メイジー!頼む!」

「は、はいっ!『純白の閃光ホワイトフラッシュ』!」

 アスレイの指示を聞いたメイジーが、両手に持った杖を掲げる。
 瞬間、杖の先端から眩い光が放たれた。

「くっ、目くらまし?」

 視界を白に染め上げる光に包まれて、アタシは左腕で目を覆った。
 マズいかも!騙し討ちは失敗しちゃったし、ここは一旦距離を取らなきゃ。
 痺れた右腕を庇いながら、アタシはなんとか後退ろうとした。

「はあっ!」

 近くでアスレイの声が聞こえた。
 その時、光が収まり、身体に何かが深々と食い込んだ。

「うげっ!?」

 思わず声が出た。
 感覚が一拍遅れて襲ってくる。
 なにこれ。なんか、熱い?

 光で眩んだ目をゆっくりと開ける。
 そこにいたのは、勇者アスレイ。

 彼の長剣が、アタシの胴体を切り裂いていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

主人公に殺されるゲームの中ボスに転生した僕は主人公とは関わらず、自身の闇落ちフラグは叩き折って平穏に勝ち組貴族ライフを満喫したいと思います

リヒト
ファンタジー
 不幸な事故の結果、死んでしまった少年、秋谷和人が転生したのは闇落ちし、ゲームの中ボスとして主人公の前に立ちふさがる貴族の子であるアレス・フォーエンス!?   「いや、本来あるべき未来のために死ぬとかごめんだから」  ゲームの中ボスであり、最終的には主人公によって殺されてしまうキャラに生まれ変わった彼であるが、ゲームのストーリーにおける闇落ちの運命を受け入れず、たとえ本来あるべき未来を捻じ曲げてても自身の未来を変えることを決意する。    何の対策もしなければ闇落ちし、主人公に殺されるという未来が待ち受けているようなキャラではあるが、それさえなければ生まれながらの勝ち組たる権力者にして金持ちたる貴族の子である。  生まれながらにして自分の人生が苦労なく楽しく暮らせることが確定している転生先である。なんとしてでも自身の闇落ちをフラグを折るしかないだろう。  果たしてアレスは自身の闇落ちフラグを折り、自身の未来を変えることが出来るのか!? 「欲張らず、謙虚に……だが、平穏で楽しい最高の暮らしを!」  そして、アレスは自身の望む平穏ライフを手にすることが出来るのか!?    自身の未来を変えようと奮起する少年の異世界転生譚が今始まる!

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

処理中です...