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手巻き寿司と宇宙の話
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「ごめ~ん、真理」
友人のさゆりが両手を合わせて謝ってきたけど、目が笑ってる。多分全然悪いと思ってない。
「今日女子会じゃ無かった?」
「それがね、みんなどうしても真理の手料理が食べたいんだって!駄目?」
今日は親友のさゆりと文香と女子会の予定……だったんだけど、文香は来られないって連絡があって、かわりにさゆりが会社の同僚を五人連れてやって来た。
「急に四人も増えたら料理足りないよ」
「飲み物と、あと少しお惣菜買ってきたから!あとはピザでも取る?」
「もう、調子いいんだから」
「ありがとう!」
そんなに広くないアパートだから、七人いると満員状態。
でもみんなあまり気にしてないみたい。狭い玄関は大量の靴でいっぱいになった。
「真理ちゃんごちになります!」
「大した料理は出ないですよ!」
「手料理が食べられるだけで嬉しいっす!」
「真理ちゃん、急に来てごめんね~」
さゆりの会社の人は年齢もばらばらで、何度か会ったことあるけど気さくな人ばかり。独身でアラフォーのお姉さんと、三十代のお兄さん、思春期の娘を持つおばさんと、それに五十代のおじさん。いや、一人だけ初対面の男の人がいた。同い年くらいの。
「さゆり、あの人誰?来たことあったっけ?」
「あ、田中君。初めてだよ。すごく仕事が出来るんだけど、無口でいつもカップラーメンばかり食べてるから、無理やり引っ張ってきちゃった」
あははとさゆりが笑う。
料理を作るの私なんだけど……。でも料理は好きだし、美味しそうに食べてもらえば満足だからまあいいか。
「今日は手巻き寿司なんです。好きな具材を巻いてくださいね。あまり高い物はないけど」
「うわぁー、ありがとう。美味しそう」
「自分以外の料理が食べたかったの~」
お皿やコップは勝手に出してもらって、追加で、作っておいた煮物とサラダもテーブルに並べる。
惣菜も置けばそれなりにボリュームがあるから、様子を見て料理を追加しようかな。
「乾杯!」
「お疲れさま!」
みんなで乾杯をして、思い思いに料理を口に運ぶ。具が少なくて心配だったけど、みんなそれなりに手巻き寿司を楽しんでくれているみたい。良かった。
さゆりの仕事場の話で盛り上がってる。
でも、田中君は一人で手巻き寿司を眺めてた。会話にも参加してないし、料理も口に合わないのかな。
「お寿司、苦手だったりします?」
「あ、いえ……」
目も合わせてもらえないわ。
でも私は接客業だから、こういう人はお客さんで慣れてる。
「苦手じゃないなら私が作りますね。嫌いな具があったら言ってください」
「……魚が」
なるほど魚ね……。
結局田中君の手巻き寿司は、コーンやキュウリやアボカドがメインの海外のお寿司のようになった。
「アメリカのお寿司ってこんな感じかも」
「……そうですね」
よく見れば、田中君の着ているティーシャツには「New York」と書かれていて笑ってしまった。
「田中さんの好きな物はなんですか?」
「宇宙」
「え?」
好きな食べ物を聞いたのに、予想外の答えが返ってきて、思わず顔を見ると、彼は慌てた様子だった。
「すみません。女性とあまり話したことがなくて……」
「いえ、私も好きです。宇宙が」
それから私は飲み物を追加したり、焼きそばを作ったりでほとんど田中君とは話せなかったし、彼もあまり会話には参加していなかったけど、少しは楽しそうに見えた。
食事会も終わり、さゆりと会社の人達を玄関まで見送る。
明日は休みだからのんびり片づけよう。
「急に来てごめんね!」
「お金払うからまた食事会開いてよ」
「真理ちゃんまたよろしく」
田中君はスニーカーの紐を不器用に結び直してる。
いつも一人でカップラーメンを食べながら、宇宙の事とか考えているのかな。
帰り際に何か言いたげな田中君に
「また来てくださいね」
と声をかけた。
友人のさゆりが両手を合わせて謝ってきたけど、目が笑ってる。多分全然悪いと思ってない。
「今日女子会じゃ無かった?」
「それがね、みんなどうしても真理の手料理が食べたいんだって!駄目?」
今日は親友のさゆりと文香と女子会の予定……だったんだけど、文香は来られないって連絡があって、かわりにさゆりが会社の同僚を五人連れてやって来た。
「急に四人も増えたら料理足りないよ」
「飲み物と、あと少しお惣菜買ってきたから!あとはピザでも取る?」
「もう、調子いいんだから」
「ありがとう!」
そんなに広くないアパートだから、七人いると満員状態。
でもみんなあまり気にしてないみたい。狭い玄関は大量の靴でいっぱいになった。
「真理ちゃんごちになります!」
「大した料理は出ないですよ!」
「手料理が食べられるだけで嬉しいっす!」
「真理ちゃん、急に来てごめんね~」
さゆりの会社の人は年齢もばらばらで、何度か会ったことあるけど気さくな人ばかり。独身でアラフォーのお姉さんと、三十代のお兄さん、思春期の娘を持つおばさんと、それに五十代のおじさん。いや、一人だけ初対面の男の人がいた。同い年くらいの。
「さゆり、あの人誰?来たことあったっけ?」
「あ、田中君。初めてだよ。すごく仕事が出来るんだけど、無口でいつもカップラーメンばかり食べてるから、無理やり引っ張ってきちゃった」
あははとさゆりが笑う。
料理を作るの私なんだけど……。でも料理は好きだし、美味しそうに食べてもらえば満足だからまあいいか。
「今日は手巻き寿司なんです。好きな具材を巻いてくださいね。あまり高い物はないけど」
「うわぁー、ありがとう。美味しそう」
「自分以外の料理が食べたかったの~」
お皿やコップは勝手に出してもらって、追加で、作っておいた煮物とサラダもテーブルに並べる。
惣菜も置けばそれなりにボリュームがあるから、様子を見て料理を追加しようかな。
「乾杯!」
「お疲れさま!」
みんなで乾杯をして、思い思いに料理を口に運ぶ。具が少なくて心配だったけど、みんなそれなりに手巻き寿司を楽しんでくれているみたい。良かった。
さゆりの仕事場の話で盛り上がってる。
でも、田中君は一人で手巻き寿司を眺めてた。会話にも参加してないし、料理も口に合わないのかな。
「お寿司、苦手だったりします?」
「あ、いえ……」
目も合わせてもらえないわ。
でも私は接客業だから、こういう人はお客さんで慣れてる。
「苦手じゃないなら私が作りますね。嫌いな具があったら言ってください」
「……魚が」
なるほど魚ね……。
結局田中君の手巻き寿司は、コーンやキュウリやアボカドがメインの海外のお寿司のようになった。
「アメリカのお寿司ってこんな感じかも」
「……そうですね」
よく見れば、田中君の着ているティーシャツには「New York」と書かれていて笑ってしまった。
「田中さんの好きな物はなんですか?」
「宇宙」
「え?」
好きな食べ物を聞いたのに、予想外の答えが返ってきて、思わず顔を見ると、彼は慌てた様子だった。
「すみません。女性とあまり話したことがなくて……」
「いえ、私も好きです。宇宙が」
それから私は飲み物を追加したり、焼きそばを作ったりでほとんど田中君とは話せなかったし、彼もあまり会話には参加していなかったけど、少しは楽しそうに見えた。
食事会も終わり、さゆりと会社の人達を玄関まで見送る。
明日は休みだからのんびり片づけよう。
「急に来てごめんね!」
「お金払うからまた食事会開いてよ」
「真理ちゃんまたよろしく」
田中君はスニーカーの紐を不器用に結び直してる。
いつも一人でカップラーメンを食べながら、宇宙の事とか考えているのかな。
帰り際に何か言いたげな田中君に
「また来てくださいね」
と声をかけた。
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