ずっと親友だと思っていたのに(康哉編)

カム

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「うう……疲れた」

 意識があるとは言っても、身体は動けないくらい疲れていた。康哉はベッドに腰掛けてペットボトルの水を飲んでる。

「お前も飲む?」

 頷くと、康哉が口移しで水を飲ませてくれた。冷たくて気持ちいい。

「シャワー浴びてくるよ」

 康哉が狭い風呂場に向かい、一人になった俺はベッドで心地よさにまどろんでいた。このまま康哉とセフレみたいになるんだろうか。別にそれでもいいか。気持ちいいし。また音信不通になるよりはましだ。眠いから深く考えるのよそう。

 うとうとしていると、康哉が戻って来た。
そばで何か服を着ている気配がする。それに車の鍵を取る音。痛む身体に鞭打って、なんとか起き上がると康哉の腕を掴む。

「どうした?」
「……康哉、帰るのか?」

 またお別れだろうか。そんな不安が頭をよぎり、腕に力を込める。

「何か買ってくるよ。腹減っただろ? お前、店で大して食べてなかったから」

 見てたのか。ポテトくらいしか食べてなかった。でも正直空腹より睡魔が勝った。

「ありがと。今はいいや。でも俺……康哉の弁当食べたい。明日でいいから作ってよ」

 そう言うと、康哉は目を丸くした。

「分かった」

 それを聞いて安心する。康哉がアパートを出るのを見送って、再びベッドに横になるとすんなり眠りに落ちた。

***

 再び目を覚ました時はまだ夜中だった。時計の時刻は午前二時すぎだ。同じベッドに康哉が眠っていた。康哉と一緒に眠るのは何度目だろう。小学生の時はキャンプでテントに寝たりとか、俺の実家に一度泊まりに来たこともあったよな。
 それがいつからか……全然泊まることもなくなって、高校卒業して独り暮らしになってもそれは変わらなかった。康哉は彼女がたくさんいたし、潔癖性で自宅に他人を泊めたくないと公言していた。だから、泊まっていくなんて本当はあまり期待していなかった。俺のアパートはボロいし、風呂はトイレとシャワーが一緒で足もろくに伸ばせないからな。

「……修平? 起きてるのか」
「あ、ごめん。起こしたか?」
「いや、あまり眠れないんだ」

 それは狭くてボロいからかな。

「康哉、潔癖性だもんな」
「そうじゃない」

 康哉は俺の身体に腕を回して抱き寄せる。
ふわりと康哉の髪から俺のシャンプーの匂いがして、なんだかどきどきする。

「修平が隣で寝ているから……興奮して眠れない」
「俺のこと嫌いだって、疲れるからもう会わないって言ってたのに」
「実際疲れるよ」

 やっぱりそうなのか。康哉は俺にくっついたまま、俺の右手を握った。

「お前、飲み会に指輪していってどうすんだよ」

 康哉が言っているのはルーシェンの指輪の事だ。さすがに独身なのに左手の薬指はまずいかと思って右手に変えてるけど。

「……やっぱり駄目かな」
「女ってのは、そう言うところをいちいち見てるんだよ」
「別に、彼女を作ろうと思って行ったわけじゃないし」
「へぇ」
「康哉こそ、女の子と遊びたかったんだろ」

 ムキになって言うと、康哉は笑って俺の額にキスをした。

「……もう会わないようにしようと思ってたのに、駄目だな俺は。お前も来てくれよって佐々木に言われた時に、すぐに断れなかった。修平も来るからって言われてさ……」

 康哉はひとりごとみたいに続けた。

「お前の顔が思い浮かんで……我慢していたのに会いたくなって。会うと腹がたつのは分かってるんだけどな」

「ごめん」

「指輪をしてるのも、イヤリングをしているのも見ればイラつく。佐々木と仲良く話しているだけで、心の中は嫉妬でいっぱいになる。もちろん女と話しててもな。疲れるの分かるだろ」

 そういう苛立ち……!?

「でも、この指輪はお前の大切なものなんだろ。イヤリングも。だから、外してくれと言えない。言えたら楽なのに、そんな事を言う権利は俺には無いから」

 言えないけどイライラするから距離をとったのか。俺は完全に嫌われたんだと思ってた。異世界で奴隷にされかけたし、決して嫌いじゃないけど、いろんな人にあんな事やこんな事をされたから。潔癖性の康哉に携帯電話の動画とか見られたんじゃないかと思ってた。

「康哉、俺さ……指輪は外せない。イヤリングも」
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