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黒い髪の弟
3 落下
しおりを挟むアルフレッドとシンは屋敷の中にいる時はどちらかの部屋で過ごすことがほとんどだった。遊ぶ時も勉強する時も一緒で、兄が剣の稽古をしている時、弟は近くで魔法の本を読んでいた。
そんな日々が半年ほど続いたある日、アルフレッドはシンを屋敷の外に誘った。
「街に行こうぜ」
「え?でも……」
シンはあまり外に出たがらなかった。屋敷の外に出る時は、アルフレッドや父親や召使い数人と一緒で、それも数えるほどしかない。親や召使いと常に一緒の行動なんて十二歳にもなればうんざりだ、とアルフレッドは感じていた。
「父上があまり外に出るなって……」
「ばれなきゃ大丈夫だ」
乗り気じゃないシンを無理に誘い、アルフレッドは庭に出ると木に登り始めた。屋敷の正面から出ると必ず召使いや門番に見つかってしまう。庭には大きな木が茂っていたので、登れば簡単に塀を超えられる。
「早く来いよ」
シンは登っていく兄を心配そうに見上げていたが、彼が呼ぶと仕方なく自分も登り始めた。
「ここからだと街がよく見渡せるな」
高い枝に座って街を眺めていたアルフレッドは、シンから完全に目を離していた。木に登る事なんて彼にとっては何てことない行動だ。だからシンもそうだと思っていた。
バキッと下の方で鈍い音がして、彼が視線を向けると、シンがまっさかさまに地面に落ちて行く所だった。
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