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研修生活スタート
8 部長の遊び心
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減らない取り巻きを遠くから眺めていたけど、だんだんそれが辛くなってきた。
ルーシェンのまわりに集まるのは着飾った美男美女ばかりだ。
緊張気味に挨拶する女の人に、優しい表情で言葉を返しているルーシェン。王子オーラに当てられたのか、ふらついた女性の腰に腕を回して支えてあげるルーシェン。常にルーシェンの隣をキープしてベタベタしている美少年の魔法使い。みんな王子の事が好きで、少しでも気に入られようとしているのが手に取るように分かる。なんだかあの世界に俺は入っていけない気がする。
「岬さん、どちらに行かれるんですか?」
『ちょっと外の空気を吸ってきます』
愛想のいいルーシェンを見ていると、嫉妬で胸がざわつく。
何だよあの優しそうな顔、俺にはムッとした表情ばかり見せているくせに。
パーティー会場に隣接する庭に出て頭を冷やそうとしたら、目の前に部長が立ちふさがった。
「修平君、ちょっと俺に付いてきてくれるかい?」
「部長……!」
「いいのいいの。ハルちゃんは休んでてくれ。修平君は俺が面倒見るから」
焦った表情の如月を横目に、よく分からないまま部長に手を引かれ移動する。
どこに行くのか尋ねようとして、視界に入った人物に固まった。
部長が立ち止まったのは、重臣みたいなおじさんと飲み物を飲んでいたヤクザの親分、もといラキ王国の国王の前だ。近くで見ると迫力がある。でもどこかルーシェンに似てる。親子だからな。
部長がうやうやしく一礼をすると、国王は頷きながら俺に視線を向ける。
「グレイブ、お前は相変わらず楽しくやっているようだな。新しい恋人か?随分と若いな」
「いえ、大変好みではありますが残念ながら恋人ではなく新しい部下でございます」
部長がにやついた笑みで国王にそう告げる。口調こそ丁寧だけど、かなり馴れ馴れしい。王様と仲良しなのか?年もわりと近い気がする。
「岬君、国王に挨拶を」
部長に言われてはっとする。最近習ったばかりの礼儀作法をすっかり忘れて見入っていた。一般人は王族と目を合わせてはいけないんだった。
『こ、国王様にはご機嫌麗しく……ええと、魔法関連部異世界担当課の岬修平と申します』
慌てて頭を下げる。合っているかな、これで。
「異世界担当課のミサキシュウヘイ君か、覚えておこう」
王様はそう言って俺の肩にポンと手を置いた。何か魔法にかけられたような気持ちになって作法も忘れて王様を見る。
「気が向いたら国王軍に来たまえ」
迫力ある笑みから目が離せない。なんだこれ、何かの魔法?
『は、はい……』
「父上」
思わず頷いた時、周囲を取り囲んでいた人の輪が崩れ、低く憮然とした声が聞こえた。
「おお、息子よ久しぶりだな。お前は帰国してからも少しもわしの前に顔を出さないのだからな。パーティーは楽しんでおるか」
「父上、強い酒はお控えくださいと言ったはずです。母上に怒られますよ」
「そうだな」
国王の手が肩から離れ、すごくほっとした。
『ルー……』
と思ったら今度は部長が俺の肩に手を回してきた。
「ルーシェン王子、いつにも増して今日は麗しいお姿、惚れ惚れいたしますな。そうそう、この者はこの度魔法関連部の異世界担当課に配属になりました見習いの岬修平と申す者です。以後お見知りおきを」
「知っている」
ヒィー。場の空気が凍りつきそうなほど寒くて作法じゃなくてもルーシェンの顔が見られない。これ絶対に怒ってる声だ。さっきまでの優しそうな雰囲気どこにいったんだ。
「それでは私たちはこれで」
部長はそんな空気を気にする事無く俺を再び引きずって玉座から離れた。
なんだか生きた心地がしなかった。
「部長……岬さんで遊ぶのはやめてください」
「如月~」
「悪いハルちゃん。あんまり面白そうだったからつい、ハハハ!」
面白そうってなんだよ。部長の意図が分からない。でもこの軽いノリのおじさんが怖い人だという事は分かった。
部長と如月の口喧嘩に参加する気にもなれず、再び壁の花になっていると、給仕のお兄さんに飲み物を渡される。グラスと一緒に手紙がついていた。
『誰からですか?』
「飛行部隊のアーク様です」
アークさんから手紙……!
会場を見渡してもアークさんは見えなかったけど、とりあえず手紙を読む事にした。短い文章だけど難しいな。
「第三庭園でお待ちしています」
如月が後ろから手紙をあっさりと読み上げた。
「どなたからです?」
『飛行部隊のアークさんからです』
「第三庭園ならパーティー会場のすぐそばの庭園ですよ。少し奥になりますけど」
『アークさん、何か私に用があるんでしょうか』
もしかしたらルーシェンの悪夢の話を聞かせてもらえるかもしれないと思ったけど、部長と如月の反応は違った。
「挑発に乗ってきたな。分かりやすく本気だ」
「だから岬さんで遊ぶのはやめてください。あやうく国王にお持ち帰りされる所だったじゃないですか」
「危なかったな、修平君」
え?なんの話だ?
やっぱり部長怖い!
ルーシェンのまわりに集まるのは着飾った美男美女ばかりだ。
緊張気味に挨拶する女の人に、優しい表情で言葉を返しているルーシェン。王子オーラに当てられたのか、ふらついた女性の腰に腕を回して支えてあげるルーシェン。常にルーシェンの隣をキープしてベタベタしている美少年の魔法使い。みんな王子の事が好きで、少しでも気に入られようとしているのが手に取るように分かる。なんだかあの世界に俺は入っていけない気がする。
「岬さん、どちらに行かれるんですか?」
『ちょっと外の空気を吸ってきます』
愛想のいいルーシェンを見ていると、嫉妬で胸がざわつく。
何だよあの優しそうな顔、俺にはムッとした表情ばかり見せているくせに。
パーティー会場に隣接する庭に出て頭を冷やそうとしたら、目の前に部長が立ちふさがった。
「修平君、ちょっと俺に付いてきてくれるかい?」
「部長……!」
「いいのいいの。ハルちゃんは休んでてくれ。修平君は俺が面倒見るから」
焦った表情の如月を横目に、よく分からないまま部長に手を引かれ移動する。
どこに行くのか尋ねようとして、視界に入った人物に固まった。
部長が立ち止まったのは、重臣みたいなおじさんと飲み物を飲んでいたヤクザの親分、もといラキ王国の国王の前だ。近くで見ると迫力がある。でもどこかルーシェンに似てる。親子だからな。
部長がうやうやしく一礼をすると、国王は頷きながら俺に視線を向ける。
「グレイブ、お前は相変わらず楽しくやっているようだな。新しい恋人か?随分と若いな」
「いえ、大変好みではありますが残念ながら恋人ではなく新しい部下でございます」
部長がにやついた笑みで国王にそう告げる。口調こそ丁寧だけど、かなり馴れ馴れしい。王様と仲良しなのか?年もわりと近い気がする。
「岬君、国王に挨拶を」
部長に言われてはっとする。最近習ったばかりの礼儀作法をすっかり忘れて見入っていた。一般人は王族と目を合わせてはいけないんだった。
『こ、国王様にはご機嫌麗しく……ええと、魔法関連部異世界担当課の岬修平と申します』
慌てて頭を下げる。合っているかな、これで。
「異世界担当課のミサキシュウヘイ君か、覚えておこう」
王様はそう言って俺の肩にポンと手を置いた。何か魔法にかけられたような気持ちになって作法も忘れて王様を見る。
「気が向いたら国王軍に来たまえ」
迫力ある笑みから目が離せない。なんだこれ、何かの魔法?
『は、はい……』
「父上」
思わず頷いた時、周囲を取り囲んでいた人の輪が崩れ、低く憮然とした声が聞こえた。
「おお、息子よ久しぶりだな。お前は帰国してからも少しもわしの前に顔を出さないのだからな。パーティーは楽しんでおるか」
「父上、強い酒はお控えくださいと言ったはずです。母上に怒られますよ」
「そうだな」
国王の手が肩から離れ、すごくほっとした。
『ルー……』
と思ったら今度は部長が俺の肩に手を回してきた。
「ルーシェン王子、いつにも増して今日は麗しいお姿、惚れ惚れいたしますな。そうそう、この者はこの度魔法関連部の異世界担当課に配属になりました見習いの岬修平と申す者です。以後お見知りおきを」
「知っている」
ヒィー。場の空気が凍りつきそうなほど寒くて作法じゃなくてもルーシェンの顔が見られない。これ絶対に怒ってる声だ。さっきまでの優しそうな雰囲気どこにいったんだ。
「それでは私たちはこれで」
部長はそんな空気を気にする事無く俺を再び引きずって玉座から離れた。
なんだか生きた心地がしなかった。
「部長……岬さんで遊ぶのはやめてください」
「如月~」
「悪いハルちゃん。あんまり面白そうだったからつい、ハハハ!」
面白そうってなんだよ。部長の意図が分からない。でもこの軽いノリのおじさんが怖い人だという事は分かった。
部長と如月の口喧嘩に参加する気にもなれず、再び壁の花になっていると、給仕のお兄さんに飲み物を渡される。グラスと一緒に手紙がついていた。
『誰からですか?』
「飛行部隊のアーク様です」
アークさんから手紙……!
会場を見渡してもアークさんは見えなかったけど、とりあえず手紙を読む事にした。短い文章だけど難しいな。
「第三庭園でお待ちしています」
如月が後ろから手紙をあっさりと読み上げた。
「どなたからです?」
『飛行部隊のアークさんからです』
「第三庭園ならパーティー会場のすぐそばの庭園ですよ。少し奥になりますけど」
『アークさん、何か私に用があるんでしょうか』
もしかしたらルーシェンの悪夢の話を聞かせてもらえるかもしれないと思ったけど、部長と如月の反応は違った。
「挑発に乗ってきたな。分かりやすく本気だ」
「だから岬さんで遊ぶのはやめてください。あやうく国王にお持ち帰りされる所だったじゃないですか」
「危なかったな、修平君」
え?なんの話だ?
やっぱり部長怖い!
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