好きになったのは異世界の王子様でした(ルーシェン編)

カム

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研修生活スタート

14 眠れないんですか?

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『ああっ……も、無理……』

 あれからどのくらい時間が過ぎたんだろうか。ベッドでもう一度中に出されて、二人して浴室に移動した所だけど、いっこうに眠れそうな気配がない。
 浴室はだだっ広くて、ぴかぴかに磨かれた石の床の中央に普通より広い浴槽が置かれている。
 その隣に長椅子みたいなベンチがあって、そこに二人で寝そべっている。正確に言うとベンチにうつ伏せに寝ている俺とその上にのしかかっているルーシェン。

『自分で……あらいます』

 かなりいい匂いのする泡で全身が包まれている。
 ルーシェンの指が泡を伴って、さっきまで熱いモノが入れられていた穴に代わりに入り込んでる。掻き出されているのか気持ちよくされているのか判別できない。もう片方の指は身体の下に回り込んで乳首を摘まむように揉まれている。もう快感で死にそうだ。グリモフ邸で美形の奴隷にされた泡責め拷問を思い出す。体力的にはあれよりきつい。

『あっ……ひあっ……あっ、あっ』

 身体の中にぬるま湯が流れ込む。
 本当に洗ってくれているらしい。こんな汚い事、王子様にさせていいのか疑問だけど、もしかしたら魔法村でも気を失っていただけで似たような事をされていたのかも。

 きれいに泡を洗い流されて、柔らかい高そうな布で包まれる。そのまま抱き上げられて、別の寝室に運ばれた。
 寝室とリビングと風呂トイレ以外の部屋は全く使っていなくて、無駄にたくさんある寝室なんてお客さんがきた時か家族連れにしか意味が無いと思っていたけど、使い道あったよ。
 さっきまで使っていた寝室は、ベッドもシーツもぐちゃぐちゃだからな。こっちの部屋は俺が使っている寝室より少し狭いけど、部屋の窓からは中庭の噴水が見える。

「シュウヘイ……」

 俺が黙っているから眠ったと思ったのだろう。ルーシェンが俺の顔を覗きこんできた。返事をする代わりに腕を伸ばして顔に触れる。
 左手で触れたからか、ルーシェンはその指にはまっていた指輪に手を添えた。ずっと俺の命を守ってくれている指輪。ルーシェンが触れるとじわりと温かくなる。
 そのまま二人で高級なシーツにくるまって、無言のままお互いの存在を確かめあった。
 身体はだるく、程よく疲れていて、先の事を何も考えなくてすむ。今すぐ眠りに落ちたいけど、この幸せな瞬間がもう少し長く続いて欲しくて眠れない。

『ルーシェンは、夜眠れないんですか……?』

 アークさんに聞いた話を思い出して、ルーシェンに尋ねる。

「今日はよく眠れそうだ」

 今日はって事は、いつもは違うのかな。

『何かあったら、いつでも言ってください。力になれる事があれば手伝います』
「それはつまり、いつでも泊まりに来ていいと誘っているのか?」

 このエロ王子。発想がやらしいんだよ。

『……泊まりに来ていいですよ』

 頭をなでなですると、ルーシェンは犬か猫みたいにすり寄ってきた。
 王子らしくないルーシェンがけっこう好きだ。

「……夜、眠るのが怖くてたまらない。魔法村に一人で取り残される夢を見る。シュウヘイがどこにもいなくて、絶望的な気持ちになる」

 ルーシェンが顔を押し付けたまま、そう呟いた。
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