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認定式
3 魔法使いのジョシュ
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ルーシェンが討伐に行ってしまって五日が過ぎた。五日で帰って来るって言っていたのに、如月の話ではまだ帰れる見込みはないらしい。
アークさんも王子にくっついて行ったから隣の部屋は静かだ。俺は飛竜にも乗れないし、戦闘はおろか魔法すら使えないから邪魔になるだけなんだけど、それでも一緒に行きたかった。
自分のスキルのなさにうんざりしながらも、今出来る事をしようと前向きに考える。
最近では兵士の為の基礎的な防衛術や剣術を習う研修に参加しているから、以前より体力や筋肉がついたような気がする。でも体重は多分それほど変化していないし、俺が習っているのは本当に基本的なものなので、一流のマッチョな兵士にはほど遠い。剣術も型を習っているだけで、フライパンで戦うよりはマシというレベルだ。それでも王宮のエレベーターを使うのをやめて極力階段で移動したり、暇な時間に王宮の空中回廊を走ったりしている。勉強ばかりしているより気分転換になって楽しい。
今日は仕事が休みなので、いつものように空中回廊を走って、途中の飛竜の石像のある広場で休憩だ。
王宮で人気のフルーツジュースを広場にある売店で受け取り、飛竜の石像の尻尾に陣取った。
尻尾に座ると、下の方にある兵士達の訓練場が見える。訓練している兵士達のレベルの高さにはいつも感動してしまう。いざという時は命をかけて戦う彼らの姿は、いつ見てもかっこいい。
ジュースを飲みながら休憩していると、尻尾に誰かやって来た。
「あれ?先客がいる……と思ったらミサキ君だ」
『ジョシュ、こんにちは』
王宮名物の焼き菓子を手に、笑顔で隣に座った男は、国王軍に所属する魔法使いのジョシュだ。名前はもっと長くて複雑だったけど、聞き取れたのはジョシュまでだから本人の許可を得てそう呼んでる。
魔法使いだから、俺と同じ魔法関連部だけど、課が違えばあまり接点はない。ジョシュ曰く、魔法使いの中ではかなりの下っ端で、国王軍に入れたのも最近の事で、それまでは王宮内のレストランで働いていたらしい。
「顔がいいから人気者だったんだよね」と本人が言う通り、ジョシュは明るい茶色の髪に緑色の大きな瞳をしている。ちょっとぽっちゃりしていて童顔だけど、それもモテる要因だと思う。小動物みたいで可愛いからだ。
どうして仲良くなったのかというと、俺と同じように飛竜の石像の尻尾によく座っていて、俺と同じように同性の恋人がいるから。
初めてここに来た時に、恋人とイチャイチャしていたのも彼だ。定番のデートコースらしい。二人がいるとお邪魔なので場所を変える事になる。
『今日は一人ですか?』
「そう。彼は緑水湖の街の警備に行ってて留守だよ。ミサキ君の彼氏は?」
『出張中です』
「そっかあ、暇だね」
ジョシュは職場以外で初めて出来た友達で、俺の付き合っている人が同性だという事も知っている。相手が王子だという事は伏せているけど。
「いないと寂しいけど、身体は楽だよね」
『え?』
「ほら、だって男同士だし……疲れてると自分に治癒魔法をかけても効果が薄いんだよね。最近はいい薬が出てるっていうけど、身体に負担が少ないのは高価だから」
『……』
「あ、もしかしてミサキ君のところ、まだしてないの?」
『いや、そういうわけでは……』
「だよね。ミサキ君エロい身体してるもん」
エロい身体!?って何だ?
ジョシュは小動物みたいな無邪気な外見なのに、性格はけっこうストレートでいつも下ネタ全開だ。
まあ……外でイチャイチャするくらいだからオープンな性格なんだろう。
「ミサキ君は突っ込まれる方でしょ?彼氏は魔法使いなの?」
ジュースを吹きそうになった。質問が露骨だな。
『魔法も使えると思います』
「魔法も!?って事は、魔法使えるタイプの戦士?」
『多分……』
「うわぁ!何それかなりいい男じゃない?羨ましすぎ!じゃあ、した後で回復魔法かけてくれたりするんだ」
『そうなんでしょうか?』
そういえば、最近はどれだけやっても、血が出たり腹をくだしたり立てないほど腰がダメージを受ける事がない。慣れたのかと思ってたけど、あれって魔法だったのか。
「絶対そうだよ!うわぁ、いいなぁ。僕も魔法使いと付き合えば良かった。魔法使いってマニアックなプレイが多いって聞いてたから、いつも恋人は戦士タイプを選んでいたけど、性欲が強すぎて全然休ませてくれないんだよね」
『休ませてくれないのは同じです』
「いいなぁ。性欲強くて回復魔法もかけてくれて、それってすごく愛されてる証拠だよ。魔法が使える戦士なら、出世するだろうな~。飛行部隊にだって入れそうだよね。ミサキ君、彼氏絶対手放しちゃ駄目だよ」
すごく愛されてる、って第三者から言われて、恥ずかしさと嬉しさで顔が熱くなった。将来はどうなるか分からないし、堂々と恋人だと名乗る事も出来ないけど。
アークさんも王子にくっついて行ったから隣の部屋は静かだ。俺は飛竜にも乗れないし、戦闘はおろか魔法すら使えないから邪魔になるだけなんだけど、それでも一緒に行きたかった。
自分のスキルのなさにうんざりしながらも、今出来る事をしようと前向きに考える。
最近では兵士の為の基礎的な防衛術や剣術を習う研修に参加しているから、以前より体力や筋肉がついたような気がする。でも体重は多分それほど変化していないし、俺が習っているのは本当に基本的なものなので、一流のマッチョな兵士にはほど遠い。剣術も型を習っているだけで、フライパンで戦うよりはマシというレベルだ。それでも王宮のエレベーターを使うのをやめて極力階段で移動したり、暇な時間に王宮の空中回廊を走ったりしている。勉強ばかりしているより気分転換になって楽しい。
今日は仕事が休みなので、いつものように空中回廊を走って、途中の飛竜の石像のある広場で休憩だ。
王宮で人気のフルーツジュースを広場にある売店で受け取り、飛竜の石像の尻尾に陣取った。
尻尾に座ると、下の方にある兵士達の訓練場が見える。訓練している兵士達のレベルの高さにはいつも感動してしまう。いざという時は命をかけて戦う彼らの姿は、いつ見てもかっこいい。
ジュースを飲みながら休憩していると、尻尾に誰かやって来た。
「あれ?先客がいる……と思ったらミサキ君だ」
『ジョシュ、こんにちは』
王宮名物の焼き菓子を手に、笑顔で隣に座った男は、国王軍に所属する魔法使いのジョシュだ。名前はもっと長くて複雑だったけど、聞き取れたのはジョシュまでだから本人の許可を得てそう呼んでる。
魔法使いだから、俺と同じ魔法関連部だけど、課が違えばあまり接点はない。ジョシュ曰く、魔法使いの中ではかなりの下っ端で、国王軍に入れたのも最近の事で、それまでは王宮内のレストランで働いていたらしい。
「顔がいいから人気者だったんだよね」と本人が言う通り、ジョシュは明るい茶色の髪に緑色の大きな瞳をしている。ちょっとぽっちゃりしていて童顔だけど、それもモテる要因だと思う。小動物みたいで可愛いからだ。
どうして仲良くなったのかというと、俺と同じように飛竜の石像の尻尾によく座っていて、俺と同じように同性の恋人がいるから。
初めてここに来た時に、恋人とイチャイチャしていたのも彼だ。定番のデートコースらしい。二人がいるとお邪魔なので場所を変える事になる。
『今日は一人ですか?』
「そう。彼は緑水湖の街の警備に行ってて留守だよ。ミサキ君の彼氏は?」
『出張中です』
「そっかあ、暇だね」
ジョシュは職場以外で初めて出来た友達で、俺の付き合っている人が同性だという事も知っている。相手が王子だという事は伏せているけど。
「いないと寂しいけど、身体は楽だよね」
『え?』
「ほら、だって男同士だし……疲れてると自分に治癒魔法をかけても効果が薄いんだよね。最近はいい薬が出てるっていうけど、身体に負担が少ないのは高価だから」
『……』
「あ、もしかしてミサキ君のところ、まだしてないの?」
『いや、そういうわけでは……』
「だよね。ミサキ君エロい身体してるもん」
エロい身体!?って何だ?
ジョシュは小動物みたいな無邪気な外見なのに、性格はけっこうストレートでいつも下ネタ全開だ。
まあ……外でイチャイチャするくらいだからオープンな性格なんだろう。
「ミサキ君は突っ込まれる方でしょ?彼氏は魔法使いなの?」
ジュースを吹きそうになった。質問が露骨だな。
『魔法も使えると思います』
「魔法も!?って事は、魔法使えるタイプの戦士?」
『多分……』
「うわぁ!何それかなりいい男じゃない?羨ましすぎ!じゃあ、した後で回復魔法かけてくれたりするんだ」
『そうなんでしょうか?』
そういえば、最近はどれだけやっても、血が出たり腹をくだしたり立てないほど腰がダメージを受ける事がない。慣れたのかと思ってたけど、あれって魔法だったのか。
「絶対そうだよ!うわぁ、いいなぁ。僕も魔法使いと付き合えば良かった。魔法使いってマニアックなプレイが多いって聞いてたから、いつも恋人は戦士タイプを選んでいたけど、性欲が強すぎて全然休ませてくれないんだよね」
『休ませてくれないのは同じです』
「いいなぁ。性欲強くて回復魔法もかけてくれて、それってすごく愛されてる証拠だよ。魔法が使える戦士なら、出世するだろうな~。飛行部隊にだって入れそうだよね。ミサキ君、彼氏絶対手放しちゃ駄目だよ」
すごく愛されてる、って第三者から言われて、恥ずかしさと嬉しさで顔が熱くなった。将来はどうなるか分からないし、堂々と恋人だと名乗る事も出来ないけど。
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