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引っ越し
15 王妃様とお茶会
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朝食の後、昨日会った治療師長のお姉さんの診察があり、順調に回復しているとのお墨付きをもらった。
それからフィオネさんに残りの侍女や侍従の人達を紹介してもらう。昨日風呂場で会った侍女はいなかった。あれは誰だったんだろう。
『これで全員ですか?』
「他に警備兵がおります。今日にもミサキ殿専属の護衛を王子が選出しますので、外出するときはその者達が護衛をいたします。しばらくの間は少ない人数でご不便をおかけいたしますが、お許しくださいませ」
『いや、全然大丈夫です。ありがとうございます』
護衛まで付くのか。なんだかいろいろとどうしよう。
忙しそうに働く人達を眺めながら、午後までルーシェンの居住エリアを散歩して過ごす事にする。
一人だけ働いていないと後ろめたいな。でも朝食の片付けも掃除も、手伝おうとしてやんわりと断られたからする事がない。
『あの、あそこは何の場所ですか』
昨日イチャイチャした風呂場にさしかかったので気になった事をフィオネさんに聞いてみた。
「あちらは離れでございます」
『どうやって行くのですか?』
「こちらから見えない場所に階段がございます」
『行ってみていいですか?』
「あの場所は現在封鎖しております」
どうしてですか?とは何となく聞けなかった。
午後になり、式や普段の衣装を担当するというお姉さん方がやってきて、ひたすら採寸とか、着せ替え人形のように延々と着替えをさせられた。
周りで訳の分からない専門用語が飛び交い、たまに分かる言葉があっても俺の希望はほとんど聞いて貰えず、どこかにレースを付けるとか(やめてほしい)アクセサリーの大きさをどうしようかとか(何でもいい)、色や生地をどう組み合わせるとか(ほとんど同じに見える)、いろいろな議論をして去って行った。
たいして動いていないはずなのにどっと疲れた。
しかし休む暇もなくフィオネさんが待ち構えていて、午後からのお茶会の準備が出来たから広場に来いという。お茶より丼物が食べたい。から揚げ定食でもいい。
『お茶会って毎日あるんですか?』
「王妃様との面会を兼ねて場を設けました」
王妃様!
忘れてたよ……。
ルーシェンの居住エリアに隣接した広場に到着すると、白いテーブルにかわいらしい食器やお茶菓子が盛り付けられていた。お菓子だけじゃなくて、パンもある。
周りにはフィオネさんはじめ朝食の時に紹介された侍女二人と、護衛が無言で立っている。
王妃様はまだ来ていないみたいだ。
広いテーブルには椅子がいくつかあるけど誰も座っていない。座っていいのか?今更だけどマナーが分からない。元の世界のお茶会マナーも知らないのに、異世界の王妃様相手にどう接すればいいんだ。研修で学んだ事といえば、王族とは目を合わすな、これくらいだぞ。俺一人なら別にいいけど、王妃様に失礼を働いてルーシェンの顔に泥を塗ったり、結婚を反対されたりしたら嫌だな。そもそも結婚の話とか、どこまで伝わってるんだろう。
悩んでいると、フィオネさんに座るように促され、紅茶より香りのきつい飲み物が準備される。
『先に飲んでいいのですか?』
「王妃様はマイペースで寛大なお方です」
なるほど。
いつ来るか分からないから先に食っとけって事だな。
お言葉に甘えて飲み食いする事にした。お茶もお茶菓子も、甘くてどこか刺激的な味がする。パンには乾燥させたフルーツや木の実が入っていてうまい。
ひたすら飲み食いする事一時間。
さすがにもうお腹いっぱいだな。王妃様、忘れて寝てるんじゃないか?と思っていた頃だった。
突然、場の空気が一変した。
ピリピリと重く強烈な空気に。
びっくりして立ち上がると、広場の向こうに巨大な白い影が見えた。その手前を、優雅に歩いてくる黒髪の夫人。
王妃様が、まるで犬でも散歩させるみたいに、白い龍を従えて現れた。
それからフィオネさんに残りの侍女や侍従の人達を紹介してもらう。昨日風呂場で会った侍女はいなかった。あれは誰だったんだろう。
『これで全員ですか?』
「他に警備兵がおります。今日にもミサキ殿専属の護衛を王子が選出しますので、外出するときはその者達が護衛をいたします。しばらくの間は少ない人数でご不便をおかけいたしますが、お許しくださいませ」
『いや、全然大丈夫です。ありがとうございます』
護衛まで付くのか。なんだかいろいろとどうしよう。
忙しそうに働く人達を眺めながら、午後までルーシェンの居住エリアを散歩して過ごす事にする。
一人だけ働いていないと後ろめたいな。でも朝食の片付けも掃除も、手伝おうとしてやんわりと断られたからする事がない。
『あの、あそこは何の場所ですか』
昨日イチャイチャした風呂場にさしかかったので気になった事をフィオネさんに聞いてみた。
「あちらは離れでございます」
『どうやって行くのですか?』
「こちらから見えない場所に階段がございます」
『行ってみていいですか?』
「あの場所は現在封鎖しております」
どうしてですか?とは何となく聞けなかった。
午後になり、式や普段の衣装を担当するというお姉さん方がやってきて、ひたすら採寸とか、着せ替え人形のように延々と着替えをさせられた。
周りで訳の分からない専門用語が飛び交い、たまに分かる言葉があっても俺の希望はほとんど聞いて貰えず、どこかにレースを付けるとか(やめてほしい)アクセサリーの大きさをどうしようかとか(何でもいい)、色や生地をどう組み合わせるとか(ほとんど同じに見える)、いろいろな議論をして去って行った。
たいして動いていないはずなのにどっと疲れた。
しかし休む暇もなくフィオネさんが待ち構えていて、午後からのお茶会の準備が出来たから広場に来いという。お茶より丼物が食べたい。から揚げ定食でもいい。
『お茶会って毎日あるんですか?』
「王妃様との面会を兼ねて場を設けました」
王妃様!
忘れてたよ……。
ルーシェンの居住エリアに隣接した広場に到着すると、白いテーブルにかわいらしい食器やお茶菓子が盛り付けられていた。お菓子だけじゃなくて、パンもある。
周りにはフィオネさんはじめ朝食の時に紹介された侍女二人と、護衛が無言で立っている。
王妃様はまだ来ていないみたいだ。
広いテーブルには椅子がいくつかあるけど誰も座っていない。座っていいのか?今更だけどマナーが分からない。元の世界のお茶会マナーも知らないのに、異世界の王妃様相手にどう接すればいいんだ。研修で学んだ事といえば、王族とは目を合わすな、これくらいだぞ。俺一人なら別にいいけど、王妃様に失礼を働いてルーシェンの顔に泥を塗ったり、結婚を反対されたりしたら嫌だな。そもそも結婚の話とか、どこまで伝わってるんだろう。
悩んでいると、フィオネさんに座るように促され、紅茶より香りのきつい飲み物が準備される。
『先に飲んでいいのですか?』
「王妃様はマイペースで寛大なお方です」
なるほど。
いつ来るか分からないから先に食っとけって事だな。
お言葉に甘えて飲み食いする事にした。お茶もお茶菓子も、甘くてどこか刺激的な味がする。パンには乾燥させたフルーツや木の実が入っていてうまい。
ひたすら飲み食いする事一時間。
さすがにもうお腹いっぱいだな。王妃様、忘れて寝てるんじゃないか?と思っていた頃だった。
突然、場の空気が一変した。
ピリピリと重く強烈な空気に。
びっくりして立ち上がると、広場の向こうに巨大な白い影が見えた。その手前を、優雅に歩いてくる黒髪の夫人。
王妃様が、まるで犬でも散歩させるみたいに、白い龍を従えて現れた。
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