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王妃様に弟子入り(婚約旅行編)
1 王太子妃…恐ろしい響きだ。
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***
「おはようございます、ミサキ様」
『お、おはようございます』
婚約式から十日が経った。
目を覚ますと寝室の入り口近くに侍女や侍従達がずらりと並んでいる。俺が目を覚ますのを待ちかまえているのだ。初めて見た時は驚き、次は気になって眠りが浅くなったから、今では時間が来るまで寝室には来ないように言ってある。それでも隣室で待機しているらしいが。
ちなみに今日は隣にルーシェンがいない。朝から視察に行っている。
俺はついていかなくていいらしい(断られた)ので二度寝をしていたら久々に侍女達に押しかけられた。
実はまだ俺とルーシェンは各都市をまわる新婚旅行に出かけられないでいた。
それというのも婚約式のファンクラブ男の襲撃事件のせいだ。あの時は落ち着いて見えたルーシェンも、ロベルトさんやアークさんに詳細を聞いて激怒したらしい。緑水湖の街はもちろん、近隣の街まで根こそぎ犯罪者の取り締まりをして関係者を拘束しているらしい。
ルーシェンの怒りは当事者の俺でもなだめられないくらい凄まじいけど、王子が潜伏していた奴隷商人達をかなり拘束したというニュースは嬉しかった。解放された奴隷達はどうなるんだろう。もちろん医療機関で治療を受けたり、故郷に帰ったりすると思うけど、この世界にはカウンセリングとかなさそうだから、同じ奴隷になったよしみで俺も力になれることがあれば何かしたい。王太子妃だからな。
それにしても……王太子妃、恐ろしい響きだ。
婚約式から十日経っただけなのに、部下達の態度が一変した。王子の居住エリアにいて、以前から仲良くしていた侍女達でさえ、婚約式後は態度が恭しくなった。そして数も増え、護衛も増え、朝の挨拶から仰々しい事になるんだ。
「どこか体調に変わったところはございませんか?」
俺専属の治療師が、手や肩や顔に手を触れてあちこちチェックする。
フィオネさんが本日のスケジュールを読み上げる間、俺専属の侍女が顔を拭いてくれたり水を飲ませてくれたり、衣装を持ってきてくれたり髪を整えてくれたりする。
恐ろしいのはこれが、あくまでも部屋着でうろつく為の準備という事だ。下の階の者(と侍女達は言ってる)と会う外出前や、国王と王妃様に会う時はまた盛大な衣装変えがある。
最初は一人で着替えようと思ったのに、誰かと会うときにはしきたりとしてなんとかの付いた何色の衣装を……といろいろ説明された事が覚えられなくて断念した。以前ルーシェンに着替えは一人でしろと言ったけど、無理だな。
「ミサキ様、聞いていらっしゃいますか?」
『え?は、はい』
あまり聞いてなかった。フィオネさんの眉間に皺がよる。フィオネさんは怖い。ルーシェンよりはるかにスパルタだ。
『今日は出歩くなって事ですよね』
「行動予定では飛竜のトレーナーとの面会のみです」
『いつになったら外出できますか?』
「おそらく、都市に出発するまでは無理かと。それもどうなるか分かりませんが」
『ええ!?行けないんですか?』
「それは分かりませんが、訪問する都市は減る可能性が高いですね。時期も未定です」
ショックだ……。
ずっと王宮にいるのも退屈だから、早く新婚旅行に出かけたかったのに。
『何でですか?』
聞かなくても大体わかるけど。
「王子はあなた様の事がご心配なのです」
やっぱり……。
婚約式で襲われて以降、ルーシェンが異常に心配性になった。危険だからと全然外に出してもらえない。
確かに俺は頼りないけど、ずっとこれじゃあ息が詰まるし、各都市は俺たちの訪問を待って準備しているんだから、このままだとルーシェンの王子としての評判が下がるんじゃないだろうか。それは嫌だ。
どうしたら王子が安心してくれるんだろう。
「ミサキ様には魔力がございませんから……」
フィオネさんの一言でひらめいた。
『この国で一番魔力の強い人って誰なんですか?魔法関連部の部長ですか?』
俺の質問にフィオネさんが眉をひそめる。何か面倒くさいことを言い出すのでは?という顔だが当たってる。
一番魔力の強い人に、弟子入りしようとひらめいたんだ。魔力が無くても、今は道具である程度補強出来るらしいし。それならルーシェンも安心するだろうし。
「この国で一番魔力の強い方は、王妃様です」
お、王妃様か……。
こうして俺の王妃様弟子入り計画がこっそりスタートした。
「おはようございます、ミサキ様」
『お、おはようございます』
婚約式から十日が経った。
目を覚ますと寝室の入り口近くに侍女や侍従達がずらりと並んでいる。俺が目を覚ますのを待ちかまえているのだ。初めて見た時は驚き、次は気になって眠りが浅くなったから、今では時間が来るまで寝室には来ないように言ってある。それでも隣室で待機しているらしいが。
ちなみに今日は隣にルーシェンがいない。朝から視察に行っている。
俺はついていかなくていいらしい(断られた)ので二度寝をしていたら久々に侍女達に押しかけられた。
実はまだ俺とルーシェンは各都市をまわる新婚旅行に出かけられないでいた。
それというのも婚約式のファンクラブ男の襲撃事件のせいだ。あの時は落ち着いて見えたルーシェンも、ロベルトさんやアークさんに詳細を聞いて激怒したらしい。緑水湖の街はもちろん、近隣の街まで根こそぎ犯罪者の取り締まりをして関係者を拘束しているらしい。
ルーシェンの怒りは当事者の俺でもなだめられないくらい凄まじいけど、王子が潜伏していた奴隷商人達をかなり拘束したというニュースは嬉しかった。解放された奴隷達はどうなるんだろう。もちろん医療機関で治療を受けたり、故郷に帰ったりすると思うけど、この世界にはカウンセリングとかなさそうだから、同じ奴隷になったよしみで俺も力になれることがあれば何かしたい。王太子妃だからな。
それにしても……王太子妃、恐ろしい響きだ。
婚約式から十日経っただけなのに、部下達の態度が一変した。王子の居住エリアにいて、以前から仲良くしていた侍女達でさえ、婚約式後は態度が恭しくなった。そして数も増え、護衛も増え、朝の挨拶から仰々しい事になるんだ。
「どこか体調に変わったところはございませんか?」
俺専属の治療師が、手や肩や顔に手を触れてあちこちチェックする。
フィオネさんが本日のスケジュールを読み上げる間、俺専属の侍女が顔を拭いてくれたり水を飲ませてくれたり、衣装を持ってきてくれたり髪を整えてくれたりする。
恐ろしいのはこれが、あくまでも部屋着でうろつく為の準備という事だ。下の階の者(と侍女達は言ってる)と会う外出前や、国王と王妃様に会う時はまた盛大な衣装変えがある。
最初は一人で着替えようと思ったのに、誰かと会うときにはしきたりとしてなんとかの付いた何色の衣装を……といろいろ説明された事が覚えられなくて断念した。以前ルーシェンに着替えは一人でしろと言ったけど、無理だな。
「ミサキ様、聞いていらっしゃいますか?」
『え?は、はい』
あまり聞いてなかった。フィオネさんの眉間に皺がよる。フィオネさんは怖い。ルーシェンよりはるかにスパルタだ。
『今日は出歩くなって事ですよね』
「行動予定では飛竜のトレーナーとの面会のみです」
『いつになったら外出できますか?』
「おそらく、都市に出発するまでは無理かと。それもどうなるか分かりませんが」
『ええ!?行けないんですか?』
「それは分かりませんが、訪問する都市は減る可能性が高いですね。時期も未定です」
ショックだ……。
ずっと王宮にいるのも退屈だから、早く新婚旅行に出かけたかったのに。
『何でですか?』
聞かなくても大体わかるけど。
「王子はあなた様の事がご心配なのです」
やっぱり……。
婚約式で襲われて以降、ルーシェンが異常に心配性になった。危険だからと全然外に出してもらえない。
確かに俺は頼りないけど、ずっとこれじゃあ息が詰まるし、各都市は俺たちの訪問を待って準備しているんだから、このままだとルーシェンの王子としての評判が下がるんじゃないだろうか。それは嫌だ。
どうしたら王子が安心してくれるんだろう。
「ミサキ様には魔力がございませんから……」
フィオネさんの一言でひらめいた。
『この国で一番魔力の強い人って誰なんですか?魔法関連部の部長ですか?』
俺の質問にフィオネさんが眉をひそめる。何か面倒くさいことを言い出すのでは?という顔だが当たってる。
一番魔力の強い人に、弟子入りしようとひらめいたんだ。魔力が無くても、今は道具である程度補強出来るらしいし。それならルーシェンも安心するだろうし。
「この国で一番魔力の強い方は、王妃様です」
お、王妃様か……。
こうして俺の王妃様弟子入り計画がこっそりスタートした。
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