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王妃様に弟子入り(婚約旅行編)
2 出世しました
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「ミサキ様!お久しぶりで御座います!」
『ジョシュ!』
その日の午後、21階にある王族のプライベートエリアの片隅のおもてなし広場で、俺は久々に会えた友人に抱きついた。
俺が抱きついたのを見てフィオネさんが咳払いをする。聞かなかったことにしよう。フィオネさんは俺がルーシェン以外とベタベタするのを良しとしない。たとえフィオネさん本人でもだ。だけど、ジョシュにくらい抱きついてもいいと思うんだけど。ただの友達なんだし。
「ミサキ様にはご機嫌麗しく、お目にかかれて光栄で御座います」
ニヤニヤしながらジョシュが堅苦しい挨拶をする。ポーズといい口調といい王族に対しての正式な挨拶なんだけど、ジョシュがやるとなんだか笑えてしまう。ぽっちゃりしてるからかな。
『ジョシュは元気ですか?』
「はい!こちらはミサキ様への献上品です」
『いいんですか?』
「いいんです。実は僕、出世しました。ミサキ様を助けたことが上司にかなり評価されて、王族の方々のお食事を作る部署に配属になったんです。これ見てください」
ジョシュが、首から下げていたのは21階に入る事の出来る身分証明書だった。魔法で青紫色に光っている。
『じゃあもしかして……』
「はいっ。ミサキ様や王族の方々のお茶会やお食事の時には顔を出せます」
『やった!』
再びジョシュに抱きつくと、フィオネさんがまた咳払いをした。
でも嬉しいんだ。21階にいる兵士は決まっていて、下の方の階の兵士や友人にはほとんど会えないから。会おうと思っても予約制で半年後とかザラだ。
確かに俺も昔はルーシェンに会いたくても、予約しろとか上司に報告しろとか、とにかく面倒な手続きが多くてほとんど会えなかったよな。
ジョシュは持参したお土産のお菓子をテーブルに用意した。侍女がカップにお茶を注いでくれる。
「なんだか落ち着かないですね」
ジョシュが小声で言った。
『そうなんです。完全に一人の時があまりなくて』
俺も小声で返す。
テーブルの周りには護衛の兵士二人と侍女が二人、侍従とフィオネさんが待機してる。内緒話とか出来ないレベルだ。
「ミサキ様、いまだに丁寧な言葉遣いだし。もっと命令口調になってもいいんじゃない?……んでしょうか」
『ジョシュは昔みたいに話していいですよ』
「でもミサキ様、王太子妃だから」
『中身は同じです』
「だってその格好……」
ジョシュに言われて自分の姿を思い出す。頭に銀色の飾りを乗せ、白い服に青いジャケット、白いズボン。銀色のサンダルには宝石がくっついてる。外に出かける時には最低でもこれにマントと腕輪と手袋、それにイヤリングとベルトがくっついてくる。人生でこんなにアクセサリーを身につけた事が無かったから、たまに自分でも鏡を見ると眩しくてびっくりする。
『変ですか?』
「とてもお似合いです」
ジョシュはニヤニヤしてるから本当かどうか分からない。
誰に聞いても似合うとしか言わないから、身分が高いのも考えものだ。正直な感想は如月かフィオネさんか王妃様くらいからしか貰えない。ルーシェンとは対等なのに、ルーシェンも俺が何を着ても似合うとしか言わないから当然参考にはならないし。
『でもジョシュ、婚約式の時はありがとうございました。ジョシュのおかげでこうして幸せにしていられます』
そう言うと、ジョシュは少しだけ涙ぐんだ。
「良かったです。ミサキ様が……幸せそうで」
『ジョシュは幸せですか?彼とは仲良くしてますか?』
「実は別れました」
『ええっ!?』
「彼が僕の出世で拗ねてしまって。警備兵だし会う機会も減ったんで……」
『そうだったんですか……』
「でも今は新しい彼がいます」
『ええっ!?』
「同じ職場なんですよ。僕モテるんで、相手に不自由したことないんです」
そう言ってあははっと笑うジョシュ。さすがだ。こういう所、敵わないな。
ジョシュの仕事の話をひとしきり聞いて、お茶会は終了した。
今日は飛竜のトレーナーとしか会わないと思っていたから、急に決まったお茶会だったのかな。
『フィオネさん、もしかして私のためにジョシュとのお茶会を開いてくれたんですか?』
「ミサキ様の命の恩人なら、王子もお許しくださるでしょう」
『ありがとうございます!フィオネさん』
フィオネさんに飛びつくと、
「ミサキ様、その誰にでも抱きつく癖は改めなくてはなりませんわね」
と真顔で言われてしまった。
『ジョシュ!』
その日の午後、21階にある王族のプライベートエリアの片隅のおもてなし広場で、俺は久々に会えた友人に抱きついた。
俺が抱きついたのを見てフィオネさんが咳払いをする。聞かなかったことにしよう。フィオネさんは俺がルーシェン以外とベタベタするのを良しとしない。たとえフィオネさん本人でもだ。だけど、ジョシュにくらい抱きついてもいいと思うんだけど。ただの友達なんだし。
「ミサキ様にはご機嫌麗しく、お目にかかれて光栄で御座います」
ニヤニヤしながらジョシュが堅苦しい挨拶をする。ポーズといい口調といい王族に対しての正式な挨拶なんだけど、ジョシュがやるとなんだか笑えてしまう。ぽっちゃりしてるからかな。
『ジョシュは元気ですか?』
「はい!こちらはミサキ様への献上品です」
『いいんですか?』
「いいんです。実は僕、出世しました。ミサキ様を助けたことが上司にかなり評価されて、王族の方々のお食事を作る部署に配属になったんです。これ見てください」
ジョシュが、首から下げていたのは21階に入る事の出来る身分証明書だった。魔法で青紫色に光っている。
『じゃあもしかして……』
「はいっ。ミサキ様や王族の方々のお茶会やお食事の時には顔を出せます」
『やった!』
再びジョシュに抱きつくと、フィオネさんがまた咳払いをした。
でも嬉しいんだ。21階にいる兵士は決まっていて、下の方の階の兵士や友人にはほとんど会えないから。会おうと思っても予約制で半年後とかザラだ。
確かに俺も昔はルーシェンに会いたくても、予約しろとか上司に報告しろとか、とにかく面倒な手続きが多くてほとんど会えなかったよな。
ジョシュは持参したお土産のお菓子をテーブルに用意した。侍女がカップにお茶を注いでくれる。
「なんだか落ち着かないですね」
ジョシュが小声で言った。
『そうなんです。完全に一人の時があまりなくて』
俺も小声で返す。
テーブルの周りには護衛の兵士二人と侍女が二人、侍従とフィオネさんが待機してる。内緒話とか出来ないレベルだ。
「ミサキ様、いまだに丁寧な言葉遣いだし。もっと命令口調になってもいいんじゃない?……んでしょうか」
『ジョシュは昔みたいに話していいですよ』
「でもミサキ様、王太子妃だから」
『中身は同じです』
「だってその格好……」
ジョシュに言われて自分の姿を思い出す。頭に銀色の飾りを乗せ、白い服に青いジャケット、白いズボン。銀色のサンダルには宝石がくっついてる。外に出かける時には最低でもこれにマントと腕輪と手袋、それにイヤリングとベルトがくっついてくる。人生でこんなにアクセサリーを身につけた事が無かったから、たまに自分でも鏡を見ると眩しくてびっくりする。
『変ですか?』
「とてもお似合いです」
ジョシュはニヤニヤしてるから本当かどうか分からない。
誰に聞いても似合うとしか言わないから、身分が高いのも考えものだ。正直な感想は如月かフィオネさんか王妃様くらいからしか貰えない。ルーシェンとは対等なのに、ルーシェンも俺が何を着ても似合うとしか言わないから当然参考にはならないし。
『でもジョシュ、婚約式の時はありがとうございました。ジョシュのおかげでこうして幸せにしていられます』
そう言うと、ジョシュは少しだけ涙ぐんだ。
「良かったです。ミサキ様が……幸せそうで」
『ジョシュは幸せですか?彼とは仲良くしてますか?』
「実は別れました」
『ええっ!?』
「彼が僕の出世で拗ねてしまって。警備兵だし会う機会も減ったんで……」
『そうだったんですか……』
「でも今は新しい彼がいます」
『ええっ!?』
「同じ職場なんですよ。僕モテるんで、相手に不自由したことないんです」
そう言ってあははっと笑うジョシュ。さすがだ。こういう所、敵わないな。
ジョシュの仕事の話をひとしきり聞いて、お茶会は終了した。
今日は飛竜のトレーナーとしか会わないと思っていたから、急に決まったお茶会だったのかな。
『フィオネさん、もしかして私のためにジョシュとのお茶会を開いてくれたんですか?』
「ミサキ様の命の恩人なら、王子もお許しくださるでしょう」
『ありがとうございます!フィオネさん』
フィオネさんに飛びつくと、
「ミサキ様、その誰にでも抱きつく癖は改めなくてはなりませんわね」
と真顔で言われてしまった。
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