好きになったのは異世界の王子様でした(ルーシェン編)

カム

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王妃様に弟子入り(婚約旅行編)

7 欲求不満なんですが

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 眠れないまま明け方になった。
 ベッドの中でルーシェンの寝顔を見つめ、起きたら薬の事をどう聞き出そうか考える。異世界に再び戻ってきた日の夜も、ルーシェンと何もしなくて悶々としていた事を思い出した。
 あの頃は、ルーシェンが隣国の姫と婚約するんじゃないかって心配してたよな。そして無駄に怒らせたせいで、パーティーで会うまで部屋に来なかったんだ。

『……ルーシェン』

 もう朝だから起こしてもいいかな、と顔に触ってみる。格好いいな。頬のラインとか、目を閉じた表情とか完璧だ。肌に触れていると、ルーシェンが目を覚ました。
 覚醒するとすぐにわかる。ルーシェンのキラキラしたオーラがふわりと強くなるからだ。見えるくせに詳しくないけど、意識があるかないかで大きさが変わるし、注意を向けている方に広がる事は何となく分かっていた。そのオーラに包まれてすごく心地いい。

『おはようございます』
「シュウヘイ……」
『昨日は遅かったですね』

 ルーシェンが寝起きの表情で俺を抱き寄せ、頭を擦り付けてきた。

「シュウヘイ、日程が決まった」
『新婚旅行ですか!?』
「ああ。あいにく二人きりじゃないが」
『やった!』

 ベッドの中で小さくガッツポーズをするとルーシェンが笑った。

「フィオネが言っていたぞ。シュウヘイが毎日退屈していると」
『何したらいいか分からなくて。王太子妃って、もっと忙しいのかと思ってました』
「これから忙しくなる。明日の午後には王都を離れるからな」
『ようやく練習した王太子妃の立ち居振る舞いが発揮できますね。期待しててください』
「……」
『何ですか?その表情』
「いや……期待している」

 ルーシェンが楽しそうに笑っているから、なんとなく薬の事を聞きそびれた。フィオネさんに聞けばいいかな。

 今日は朝の会議がないというので、朝食の時間までベッドでずっと二人で過ごした。といってもルーシェンは、俺の身体に負担がかかりそうな事は何もしなかったけど。キスをして、身体に触れていると、その先がしたくなってどうしようもないけど、あまりねだりすぎると呆れられそうだ。でも本当は気を失うほどしたい。いや、されたいの間違いかな。俺はつくづくドMなんじゃないかと思う。精神的には対等でいたいけど、ベッドでは蹂躙されたい。これ、誰のセリフだっけ?グリモフか。あの犯罪者のオカマと同じだよ……。

『ルーシェン……もう少し、したい』

 お互い触ってるうちに上り詰めて、またシーツ汚しちゃったよ、と思いながらも結局我慢できなくて裸のルーシェンにねだってみる。でもルーシェンは、俺の胸にキスをしただけで
「……駄目だ。シュウヘイの身体にあまり負担をかけたくないんだ」
と言った。

***

 いつもより少し遅めの朝食の時間。

 すました顔で優雅に朝食を食べているルーシェンと、眉間に皺を寄せた俺。
 仲のいい侍女達は多分、俺の機嫌があまり良くない事に気づいている。でも不機嫌の理由が欲求不満だとは気づいてなさそうだ。

 これは一度話し合う必要があるな。
 フィオネさんに薬の事を聞いてみよう。もしも大した事じゃないなら、ルーシェンにもっと要求してもいいよな。
 いくら王子様が忙しくても、新婚なんだからせめて週に一度、いや二、三回は昼までずっとイチャイチャしたっていいはずだ。身体だって負担がかかってもいいから、もっと激しくされたい。ルーシェンだって本当はそうしたいと思うんだ。わがままな王太子妃と思われてもいい。改善を要求しよう。俺は一人頷いて朝食を口に運んだ。
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