好きになったのは異世界の王子様でした(ルーシェン編)

カム

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王妃様に弟子入り(婚約旅行編)

8 部下に挨拶

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 遅い朝食の後、ルーシェンとは別の部屋に行き、何故かいつもより多い侍女に取り囲まれて念入りに着替えと身支度をされる。

『飾りすぎてませんか?』
「ミサキ様、これから部下の方々に挨拶されるのですよ!これでもかと飾り付けて王太子妃の威厳を示さなくては!」
『え?挨拶?』
「当然です。王子様とミサキ様のご旅行にご一緒する選び抜かれた部下達が待ってますわ。皆さまミサキ様とお会いしたくて今日の日を楽しみにしていたと聞いております」

 うっ……。
 挨拶か。何も考えてないぞ。
 それに、俺に会いたいって多分ただの好奇心だろ。
 ファンクラブ襲撃事件以来、王族のプライベートゾーンから出てなくて、会った人といえば異世界担当課のみんなとジョシュくらいだ。多分部下達の中では、俺は誘拐されかけた後で結婚式に乱入して偽新婦を殴り飛ばした平凡な容姿の異世界人っていうイメージしかないはず。忠誠心とかあるはずないと思うんだけど。

 ゴテゴテに飾られた後で、ルーシェンと合流するのかと思ったら、ルーシェンは先に下の階に行っているということだった。
 仕事人間め。
 プロポーズされた時に、本当は王族なんて嫌だとか言っていたけど、ルーシェンは部下も国民も大好きに違いない。少しだけ飛行部隊に嫉妬しそうだ。

『久しぶりですね、下の階に降りるの』
「そうですね」

 いつも護衛をしてくれている金髪のお兄さんに聞くと、みんなが集まっているのは16階らしい。ちなみに金髪のお兄さんはもと飛行部隊で、アルマと戦った時に石化した人だ。名前はジョージさん。どこから見ても異世界の人だけど、名前を呼ぶときは勝手に脳内で譲二さんという漢字を当てはめて呼んでる。
 初めて会った時はフレンドリーな態度のお兄さんだったのに、護衛として二度目に会ったときは完璧に態度が違っていて驚いた。
 これが身分制度ってやつかな。いや、如月はいまだに態度が変わらないからな。譲二さんはルーシェンの部下だから、俺にもちゃんとした態度をとってくれるのかも。

『譲二さんは付いてきてくれるんですか?』
「もちろんお供いたします」
『そうですか。良かった』

 俺の護衛って、あんまりいい仕事じゃないような気がするんだけど、付いてきてくれるのは嬉しい。

 魔法エレベーターで16階に到着すると、屋根のない広い空間に大勢の兵士や魔法使いが集まっているのが見えた。あれがまさか、全員付いてくるのか?

 会場には屋根は無いけど、隣の塔の連絡通路が上にあって、高速道路の高架下みたいな雰囲気だ。広場にはさらに浮島に続く橋が架けられていた。

 広場の中央にルーシェンがいる。
 遠くにいてもすぐに分かるから、オーラが見えるとこういう時便利だな。

『お待たせしました』

 声をかけると、その場にいた飛行部隊や魔法使い達が一斉にこっちを見てビシッと整列する。
 頭を下げて腕を胸の位置に……これは王宮立ち居振る舞い講座で習った事があるぞ。王宮内で王族に会ったときのポーズだ。多分だけど、俺に会ったからそうしてるんだよな。
 試しに視線を感じた方に目をやると、視線の主はさっと視線を逸らした。そうそう、王族と目を合わせてはいけないんだよな。
 ちょっとさみしいな。プライベートゾーンの侍女や護衛達はそんな事なかったのに。部下の地位によって違うのかな。

「シュウヘイ」
『遅くなりました』

 ルーシェンがこっちに歩いてきた。
 朝の服装と違って、いつもよりキラキラした服を着てる。色は青と白だけど、装飾多めだ。笑顔も合わせて眩しい。ルーシェンだけ目を合わせてくれる。
 俺の側に来ると、肩を抱かれて頭を撫でられた。これ、大勢の前だと恥ずかしいな。新婚旅行ってもっと少人数で行くと思ってたんだけど、こんな感じで皆の前でイチャイチャして大丈夫かな。
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