好きになったのは異世界の王子様でした(ルーシェン編)

カム

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王妃様に弟子入り(婚約旅行編)

9 え?船?

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『あの、こんなに大人数でいくんですか?』
「ああ。これでも厳選した。あまり大勢で押しかけると各都市が困るからな」

 厳選したのか。これでもかなり多いと思うんだけど。五、六十人はいて覚えるのが大変そうだな。地位や職業なんかも合わせたら一週間くらいかかるかも。

「ミサキ様、皆様にご挨拶を」

 ルーシェンについてきていたフィオネさんに促される。

「そうだな。シュウヘイ、何か一言皆に言ってくれ」
「分かりました」

 何も考えてないけど、とりあえず何か話そう。みんなビシッと整列してるし。

『皆さんおはようございます!ルーシェンの婚約者の岬修平と言います。一緒に旅をしてくれてありがとうございます。安全第一で楽しく行きましょう!』

 あれ、なんだか一瞬変な空気が流れたような。工場長みたいな挨拶になったけど、まあいいか。

 隣でルーシェンがくすりと笑って、それを目にした部下たちが、マナーも忘れて王子をチラ見してる。

 俺の微妙な挨拶の後、並んでいた兵士たちの先頭にいた各部隊の隊長が礼を取って自己紹介を始めた。
 詳しい役職はよく分からないけど、飛行部隊のロベルトさんが旅行の総責任者みたいで、その次がアークさん。それにその場にはいなかったけど、如月も魔法関係の隊長として後で合流するらしい。
 侍女頭としてフィオネさんがいるのも嬉しかった。異世界にも沢山の仕事と役職があるんだなぁ。ヒラの見習い兵だった俺が、いきなり出世して皆に頭を下げられるなんて不思議な気分だ。

 挨拶が終わるとルーシェンが
「これから船に案内するから、各部隊の隊長は付いてきてくれ」と言った。

『え?船?船旅なんですか?飛竜じゃなくて?』

「護衛の事やシュウヘイの体調を考えて、船のほうが良いと判断した。もちろん飛竜も一緒だが」

 ルーシェンに腕を取られて一緒に歩き出すと、後ろから各部隊の隊長と、俺とルーシェンの専属の護衛兵と従者がぞろぞろ付いてくる。向かっているのは空中に浮いた橋で、その先には浮島が存在している。

『え?もしかして船って』
「この浮島部分を切り離して、飛行船として利用する事にした」

と、とんでもない事をルーシェンがさらっと言った。

***

 これは、豪華客船で世界一周クルーズといったレベルだな。乗ったことはないけど。

 空に浮かぶ島は、浮島の中では小さいサイズとはいえ、建物だけでなく庭や水辺もある。飛竜が何頭もくつろいでいても大丈夫な広さだ。

 橋を渡ってすぐの場所には石門があり、魔法石の飾られた広場、会議室のある大きな建物と続く。船の概念が覆されそうだ。
 飛行船の責任者らしいアークさんに、船内を簡単に案内してもらった。俺専用の部屋が何部屋もあって驚く。五、六十人乗るのに、一人でこれだけスペース使っていいのか?

「シュウヘイ、足りないものがあったら何でも言ってくれ。用意する」
『いや……もう十分すぎるくらいですけど』

 しいてあげるなら、カップラーメンくらいかな。

『最初はどこに行くんですか?』
「最初に訪問するのは赤砂の街だ。その次は国境にある黄葉樹の都、その次に雲の谷を予定している。その後、白の都を経由して、時間があれば桃花村にも寄り道しようと思う」

『はいっ!』

 桃花村に行きたいって言ったこと、覚えていてくれたのか。
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