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赤砂の街
10 みんなで会議
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「では各部隊から一名ずつ村へ派遣いたします」
「近隣の村の避難は赤砂の街の兵士で十分だろう。飛行部隊は距離の離れた村に向かってくれ」
「王子、森に住む半獣達はどうされますか?」
「半獣か……人間と敵対している種族も多い。彼等は勘がいいから、おそらく花粉の飛散に気付いているだろう。生息地には近づくな」
ルーシェン達が会議しているところを真剣に見たのは初めてかもしれない。会社で重役達がする会議ってこんな感じなんだろうか。ドラマや漫画でいろいろなパターンを見たことがあるけど、そのどれにも似ているようで似ていない。
机の上には異世界の詳しい地図がたくさんあって、地形メインのものと、街や集落や人口が書き込まれているもの、あと半獣の種類や生息地、魔物の生息マップなんかもあった。
半獣にもたくさんの種類がいるみたいだ。ラウル達に出会った丘はもっとずっと南の方だったからラウル達は大丈夫かな。
俺みたいな素人が口を挟むのも違う気がするので、みんなの話を聞きながら地図を眺める。
地図を見れば、ルーシェンが守るラキ王国の南西部、赤砂の街周辺の隣国との国境付近には大小合わせて二十近く村や集落がある。小さい村には凶暴化した魔物への自衛手段がないので、砦や大きな街へ住民を避難させるみたいだ。
その時間を稼ぐために、国境付近で隣国からやってくる魔物達を食い止めなければならない。戦闘の拠点は赤砂の街ではなく、国境付近にある砦や俺たちが乗ってきた浮島になるらしかった。
***
「ミサキ様のおかげで会議が速やかに終わりました」
『ルーシェン、いつもそんなに怖いんですか?』
「それはもう。新人の隊員なんて震えてしまって会話もままなりません」
「アーク、シュウヘイに妙な事を教えるな」
「本当の話ですけど」
会議は短時間で終了し、飛行部隊の隊員たちは部屋から出てそれぞれの任務を実行しに向かう。次の会議は今日の夜だ。できれば参加させてもらおう。
アークさんは浮島に、ロベルトさんは赤砂の街の兵士に指示を出すため仕事に戻った。残ったのは俺とルーシェンだけ。ポリムはフィオネさんにくっついてどこかへ行ってしまったし、譲二さんは俺がルーシェンといる時はいつも距離を取っているから、今は会議室の外で待機してるはずだ。
『ルーシェン、私は何をしたらいいですか? 何か命令してください』
ルーシェンは会議室に残って、この世界で手紙代わりに一般的に使われている巻物に署名している。この王子の名前入りの巻物がいろいろ効力を発揮するらしい。巻物は文字はもちろん呪文や小さい魔法陣も書き込める優れものだ。ちょっとかさばるけど。
「そうだな。ハルバートと雲の谷の使者の話を聞かせてくれ」
『……如月は、最悪の場合は日本に戻れって言ってました』
俺がそう言うと、ルーシェンの手が止まる。こっちを見たルーシェンの表情はとても複雑だった。
『雲の谷の使者の方は、今度訪ねて来いと言われて正門の鍵をもらいました。万能薬に代わる薬があるから試したらどうかって』
「母上が……なるほど」
『私は日本には帰りません。ルーシェンの側にいます。薬があるなら雲の谷には行きたいですけど、ラキ王国の危機なのに王太子妃が遠くに逃げ出すわけにはいきません』
そう言うとルーシェンはくすりと笑った。
「シュウヘイならそう言うと思った」
『え?』
「魔法村でもそうだったからな」
『そうでしたっけ?』
「俺がどれだけ危険だと言っても、シュウヘイは聞かなかった。脱出するなら二人一緒だと。おじいさんになっても」
『あ、あれは……』
そう言えば、怒りに任せてそんな事を言ったような気がする。でも、ルーシェンを一人にしたくなかったんだ。あまり役には立たなかったけど。
ルーシェンは俺に向き直ると、腕を伸ばして抱き寄せた。
「シュウヘイ、戦いが本格化したら雲の谷に避難してくれ。俺のために。心臓を治して、安全な場所にいて欲しい」
「近隣の村の避難は赤砂の街の兵士で十分だろう。飛行部隊は距離の離れた村に向かってくれ」
「王子、森に住む半獣達はどうされますか?」
「半獣か……人間と敵対している種族も多い。彼等は勘がいいから、おそらく花粉の飛散に気付いているだろう。生息地には近づくな」
ルーシェン達が会議しているところを真剣に見たのは初めてかもしれない。会社で重役達がする会議ってこんな感じなんだろうか。ドラマや漫画でいろいろなパターンを見たことがあるけど、そのどれにも似ているようで似ていない。
机の上には異世界の詳しい地図がたくさんあって、地形メインのものと、街や集落や人口が書き込まれているもの、あと半獣の種類や生息地、魔物の生息マップなんかもあった。
半獣にもたくさんの種類がいるみたいだ。ラウル達に出会った丘はもっとずっと南の方だったからラウル達は大丈夫かな。
俺みたいな素人が口を挟むのも違う気がするので、みんなの話を聞きながら地図を眺める。
地図を見れば、ルーシェンが守るラキ王国の南西部、赤砂の街周辺の隣国との国境付近には大小合わせて二十近く村や集落がある。小さい村には凶暴化した魔物への自衛手段がないので、砦や大きな街へ住民を避難させるみたいだ。
その時間を稼ぐために、国境付近で隣国からやってくる魔物達を食い止めなければならない。戦闘の拠点は赤砂の街ではなく、国境付近にある砦や俺たちが乗ってきた浮島になるらしかった。
***
「ミサキ様のおかげで会議が速やかに終わりました」
『ルーシェン、いつもそんなに怖いんですか?』
「それはもう。新人の隊員なんて震えてしまって会話もままなりません」
「アーク、シュウヘイに妙な事を教えるな」
「本当の話ですけど」
会議は短時間で終了し、飛行部隊の隊員たちは部屋から出てそれぞれの任務を実行しに向かう。次の会議は今日の夜だ。できれば参加させてもらおう。
アークさんは浮島に、ロベルトさんは赤砂の街の兵士に指示を出すため仕事に戻った。残ったのは俺とルーシェンだけ。ポリムはフィオネさんにくっついてどこかへ行ってしまったし、譲二さんは俺がルーシェンといる時はいつも距離を取っているから、今は会議室の外で待機してるはずだ。
『ルーシェン、私は何をしたらいいですか? 何か命令してください』
ルーシェンは会議室に残って、この世界で手紙代わりに一般的に使われている巻物に署名している。この王子の名前入りの巻物がいろいろ効力を発揮するらしい。巻物は文字はもちろん呪文や小さい魔法陣も書き込める優れものだ。ちょっとかさばるけど。
「そうだな。ハルバートと雲の谷の使者の話を聞かせてくれ」
『……如月は、最悪の場合は日本に戻れって言ってました』
俺がそう言うと、ルーシェンの手が止まる。こっちを見たルーシェンの表情はとても複雑だった。
『雲の谷の使者の方は、今度訪ねて来いと言われて正門の鍵をもらいました。万能薬に代わる薬があるから試したらどうかって』
「母上が……なるほど」
『私は日本には帰りません。ルーシェンの側にいます。薬があるなら雲の谷には行きたいですけど、ラキ王国の危機なのに王太子妃が遠くに逃げ出すわけにはいきません』
そう言うとルーシェンはくすりと笑った。
「シュウヘイならそう言うと思った」
『え?』
「魔法村でもそうだったからな」
『そうでしたっけ?』
「俺がどれだけ危険だと言っても、シュウヘイは聞かなかった。脱出するなら二人一緒だと。おじいさんになっても」
『あ、あれは……』
そう言えば、怒りに任せてそんな事を言ったような気がする。でも、ルーシェンを一人にしたくなかったんだ。あまり役には立たなかったけど。
ルーシェンは俺に向き直ると、腕を伸ばして抱き寄せた。
「シュウヘイ、戦いが本格化したら雲の谷に避難してくれ。俺のために。心臓を治して、安全な場所にいて欲しい」
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