好きになったのは異世界の王子様でした(ルーシェン編)

カム

文字の大きさ
128 / 209

10 砦到着

しおりを挟む
『す、すみませんでした……』

 意識が戻ったのでとりあえず謝罪してみた。一度出していたせいで、口の中に出すことだけは避けられたと思う。何かは出たと思うけど。
 すごく気持ちよかったし、そのまま眠りに落ちたかったけど、王子様に舐めさせてしまったという罪悪感で眠れそうにない。だって俺は口でするの苦手だから。それにここで謝らないと立て続けにイかされる可能性もあるからな。そのまま朝までやるとなると、俺の体力も厳しいし、明日の仕事に影響が出るからルーシェンにも悪い。

 そんな俺をルーシェンはニヤニヤしながら見ていた。ベッドに寝そべって余裕の表情だ。

「どうして謝っている」
『だってその……王子様なのに舐めたりして大丈夫ですか?』

 王子様のプライド的なものは。

「お仕置きとして舐めろと言っていたのはシュウヘイだろう?」
『そういえばそんな事言いました』
「それにシュウヘイが可愛いから楽しかった」

 な、なんだそれ。成人男子のどこが可愛いんだ。

「ほら、もう謝るのはやめて寝ろ。シュウヘイの国には身分制度はないのに、こういう時だけは律儀だな」

 抱き寄せられて背中をぽんぽんと撫でられる。

『ルーシェンはみんなに慕われてる王子様なので、私があんまり対等な立場でいるのも部下に悪いんじゃないかと思って』

「寝室には部下はいない。それにシュウヘイとは対等だ。だからシュウヘイも好きにしていいぞ」

『……じゃあまたお願いします。すごく気持ちよかったので』

 そう言うとルーシェンに笑われた。俺も今度はルーシェンのためにいろいろ気持ちいいことしてあげよう。いつも、何かしてもらってばかりだから。

***

 あっという間に朝になった。墜落するように眠りに落ちて、起きたらもう朝って感じだ。
 夜中に起きてたから眠った気が全然しない。ベッドでぼんやりしている俺の横で、着替え終わったルーシェンが爽やかな笑顔で振り向く。いつも思うけど、ルーシェンは短時間しか眠らなくても常にキリッとしてる。何故だ。ショートスリーパーってやつかな。

「シュウヘイ、もうすぐ砦に到着だ。雨も上がったらしいから今のうちに着替えておいてくれ。食事は砦に着いてからだ」

『は、はい!』

 ポリムが寝室に入ってきて、顔を拭いたり髪を整えたり今日着る衣装の準備をしてくれる。

「ミサキ様、よく眠れました?」

 ポリムに聞かれて昨日の夜のあれこれが頭をよぎり、何もいえずに赤くなると、ポリムは何故かうんうんと頷いた。

「雨が降ったおかげで思ったより楽に砦に着けましたわね。魔物も大型のものは火竜だけでしたし」

『そうですね』

 魔物と言われて思い出した。あの大きな円形の魔物のことは、時間を見つけてルーシェンには話しておこう。砦に避難してくる人たちもいるみたいだし、危険な魔物っぽいからな。

 着替え終わると、久々に浮島の地上部分に顔を出した。
 昨日壊された建物が少しだけ復元されていたし、テントが建てられていて大勢の従者が出入りしていた。何をしているのか聞くと、火竜の亡骸を解体しているらしい。薬や魔法の道具になるそうだ。いろんな匂いがして強烈だけど、中には調理班もいてびっくりした。火竜も食材になるのか? どんな味がするんだろう。

 空は雲が多いけど晴れていて、見上げてもどこにもシロの姿は見えなかった。雨を降らすのに疲れて休憩してるんだろうか。
 そして浮島の眼下に見えたのは、これまでのような荒地や砂漠ではなく、高い山とその間に作られた大型ダムのように見える砦だった。





 

しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ
BL
雪のなか僕を、ひろってくれたのは、やさしい男の子でした。 ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります! ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!

転移先で辺境伯の跡継ぎとなる予定の第四王子様に愛される

Hazuki
BL
五歳で父親が無くなり、七歳の時新しい父親が出来た。 中1の雨の日熱を出した。 義父は大工なので雨の日はほぼ休み、パートに行く母の代わりに俺の看病をしてくれた。 それだけなら良かったのだが、義父は俺を犯した、何日も。 晴れた日にやっと解放された俺は散歩に出掛けた。 連日の性交で身体は疲れていたようで道を渡っているときにふらつき、車に轢かれて、、、。 目覚めたら豪華な部屋!? 異世界転移して森に倒れていた俺を助けてくれた次期辺境伯の第四王子に愛される、そんな話、にする予定。 ⚠️最初から義父に犯されます。 嫌な方はお戻りくださいませ。 久しぶりに書きました。 続きはぼちぼち書いていきます。 不定期更新で、すみません。

【16+4話完結】虚な森の主と、世界から逃げた僕〜転生したら甘すぎる独占欲に囚われました〜

キノア9g
BL
「貴族の僕が異世界で出会ったのは、愛が重すぎる“森の主”でした。」 平凡なサラリーマンだった蓮は、気づけばひ弱で美しい貴族の青年として異世界に転生していた。しかし、待ち受けていたのは窮屈な貴族社会と、政略結婚という重すぎる現実。 そんな日常から逃げ出すように迷い込んだ「禁忌の森」で、蓮が出会ったのは──全てが虚ろで無感情な“森の主”ゼルフィードだった。 彼の周囲は生命を吸い尽くし、あらゆるものを枯らすという。だけど、蓮だけはなぜかゼルフィードの影響を受けない、唯一の存在。 「お前だけが、俺の世界に色をくれた」 蓮の存在が、ゼルフィードにとってかけがえのない「特異点」だと気づいた瞬間、無感情だった主の瞳に、激しいまでの独占欲と溺愛が宿る。 甘く、そしてどこまでも深い溺愛に包まれる、異世界ファンタジー

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

最弱オレが、最強魔法騎士様のパートナーになった件

竜也りく
BL
「最悪だ……」 その日イールはめちゃくちゃ落ち込んでいた。 イールが通う魔術学校の卒業試験は制限時間72時間の中でどれだけ強い魔物を討伐できるかで審査される上、二人ひと組のチーム選だからだ。 入学してからこのかた常にダントツ最下位を取り続けてきたイールと組むなんて誰だってイヤだろうと思うと気が重いのに、パートナーを見てさらにため息を深くした。 イールのパートナーは、入学以来ダントツで首席な上に、代々騎士の家系に生まれたせいか剣の腕にも定評がある。その上人を寄せ付けない雰囲気ではあるものの顔もいいという、非の打ちどころのない完璧さを誇る男だった。 しかも彼はとんでもないSランクの魔物を仕留めるだなんて言いだして……。

生まれ変わったら知ってるモブだった

マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。 貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。 毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。 この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。 その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。 その瞬間に思い出したんだ。 僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。

処理中です...