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雲の谷へ
7 いいアイデアだと思うんだけどな
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ルーシェンが使っていた会議室に、少人数で集まるのは不思議な気分だった。それも俺が議長みたいな……。こういうの、議長とかいうのか分からないけど。
そして、あれだけ会議に参加したかったのに、いざその立場になってみるとあの時の甘ったれた気分の俺を殴ってやりたい。いや、やっぱり殴るのはないな。あの時の俺も頑張ってた。
作業を中断して、怖い顔をしたロベルト隊長と、それから料理長、侍従長、飛竜のトレーナーの女の人が集まってくれた。如月が正式な挨拶をするみんなを席に座らせる。
『忙しいのに集まってもらってすみません。みなさんどんな状況ですか?』
俺が聞くと、料理長がわあっと嘆いて顔を伏せた。
「申し訳ございません、ミサキ様。食糧を保存していた貯蔵庫が壊れ、食材のほとんどが森の中に落下してしまいました。かき集めましたが、ミサキ様にお出しできる様な状態ではなく、まともな食料はあと一日分程しかありません。お許しください。どんな罰でも受けますが、降格だけは……」
すごく嘆いてる。降格はともかく、食料があと一日分か。狩りでもするしかないのか。
嘆く料理長の横にいた飛竜のトレーナーさんが口を開いた。彼女は俺に飛竜の事をいろいろ教えてくれたお姉さんだ。太郎と次郎の面倒も見てくれてる。
「ミサキ様、飛竜ですが……浮島の落下でパニックになり、何頭かが飼育舎の壁を破って外に逃げ出しました。ミサキ様のタローとジローは無事です。逃げ出した飛竜も連れ戻しましたが、怪我と花粉の影響で興奮しており、治療するには回復魔法と多くの薬が必要です」
薬か。それに飼育舎も直さなければ被害が拡大するって事だよな。
「ミサキ様、その……薬なのですが、高価な薬が倉庫からなくなっております」
高齢の侍従長が言い出しにくそうに口を開いた。
「おそらく、ホレスが魔法石と一緒に盗んだのだと思われます」
ロベルトさんがドンとテーブルを叩いて、椅子から飛び上がりそうなほどびっくりした。
「あのホレスとかいう男、次に会ったらその首を叩き切ってやる!」
口から火を吹きそうな勢いだ。自業自得だけど、ちょっとだけホレスに同情しそうになる。
「ロベルト隊長、落ち着いてください。とりあえず王都と砦にいらっしゃる王子、それから隣国にいる部長にホレスの事を報告しますので、後は別の者が捜索してくれるでしょう」
如月がそう言ったけど、ロベルトさんは握りしめた手をぶるぶると振るわせた。本当は追いかけて捕まえたいんだろうな。
「私は転移魔法陣が使えますので、王都に戻り、浮島に使えそうな魔法石を調達して戻ることも出来ますが、食料や薬のことを考えると少し手間取りそうですね」
「飛竜の事を考えるなら、数日以内に戻ってもらいたいわ」
「食料がないので数日と言わず一日以内に」
「浮島を何日で直せるのだろうか。雲の谷から砦に物資の補給も頼まれていたはずだが」
「魔物がどれだけ向かってくるか分からないが、この森に長居するのは危険だ。少ない人数ではミサキ様を守りきれない」
会議が白熱してる。討論するみんなを眺めながら何かいいアイデアが出ないか必死に考えて、ついに俺は閃いた。
『いい事を思いつきました』
全員がびっくりして俺の方を向く。でも、わりといい案だと思う。みんなが賛成してくれるかは別だけど。
「ミサキ様、何でしょうか」
『如月が転移魔法陣で、飛竜を含めたみんなを王都に送ります。それなら薬の心配も、食料の心配もいりません』
「しかしミサキ様は魔法厳禁ですよ」
『そうですね。だから私はここに残り、徒歩で雲の谷を目指します。砦に送る物資や壊れた浮島の修理の事は、雲の谷の人に私が頼んでみます。王太子妃の頼みなら、少しは聞いてくれるんじゃないでしょうか?』
あれ? 雑魚寝の提案と同じくらいみんなが絶句してるぞ。いいアイデアだと思うんだけどな。
そして、あれだけ会議に参加したかったのに、いざその立場になってみるとあの時の甘ったれた気分の俺を殴ってやりたい。いや、やっぱり殴るのはないな。あの時の俺も頑張ってた。
作業を中断して、怖い顔をしたロベルト隊長と、それから料理長、侍従長、飛竜のトレーナーの女の人が集まってくれた。如月が正式な挨拶をするみんなを席に座らせる。
『忙しいのに集まってもらってすみません。みなさんどんな状況ですか?』
俺が聞くと、料理長がわあっと嘆いて顔を伏せた。
「申し訳ございません、ミサキ様。食糧を保存していた貯蔵庫が壊れ、食材のほとんどが森の中に落下してしまいました。かき集めましたが、ミサキ様にお出しできる様な状態ではなく、まともな食料はあと一日分程しかありません。お許しください。どんな罰でも受けますが、降格だけは……」
すごく嘆いてる。降格はともかく、食料があと一日分か。狩りでもするしかないのか。
嘆く料理長の横にいた飛竜のトレーナーさんが口を開いた。彼女は俺に飛竜の事をいろいろ教えてくれたお姉さんだ。太郎と次郎の面倒も見てくれてる。
「ミサキ様、飛竜ですが……浮島の落下でパニックになり、何頭かが飼育舎の壁を破って外に逃げ出しました。ミサキ様のタローとジローは無事です。逃げ出した飛竜も連れ戻しましたが、怪我と花粉の影響で興奮しており、治療するには回復魔法と多くの薬が必要です」
薬か。それに飼育舎も直さなければ被害が拡大するって事だよな。
「ミサキ様、その……薬なのですが、高価な薬が倉庫からなくなっております」
高齢の侍従長が言い出しにくそうに口を開いた。
「おそらく、ホレスが魔法石と一緒に盗んだのだと思われます」
ロベルトさんがドンとテーブルを叩いて、椅子から飛び上がりそうなほどびっくりした。
「あのホレスとかいう男、次に会ったらその首を叩き切ってやる!」
口から火を吹きそうな勢いだ。自業自得だけど、ちょっとだけホレスに同情しそうになる。
「ロベルト隊長、落ち着いてください。とりあえず王都と砦にいらっしゃる王子、それから隣国にいる部長にホレスの事を報告しますので、後は別の者が捜索してくれるでしょう」
如月がそう言ったけど、ロベルトさんは握りしめた手をぶるぶると振るわせた。本当は追いかけて捕まえたいんだろうな。
「私は転移魔法陣が使えますので、王都に戻り、浮島に使えそうな魔法石を調達して戻ることも出来ますが、食料や薬のことを考えると少し手間取りそうですね」
「飛竜の事を考えるなら、数日以内に戻ってもらいたいわ」
「食料がないので数日と言わず一日以内に」
「浮島を何日で直せるのだろうか。雲の谷から砦に物資の補給も頼まれていたはずだが」
「魔物がどれだけ向かってくるか分からないが、この森に長居するのは危険だ。少ない人数ではミサキ様を守りきれない」
会議が白熱してる。討論するみんなを眺めながら何かいいアイデアが出ないか必死に考えて、ついに俺は閃いた。
『いい事を思いつきました』
全員がびっくりして俺の方を向く。でも、わりといい案だと思う。みんなが賛成してくれるかは別だけど。
「ミサキ様、何でしょうか」
『如月が転移魔法陣で、飛竜を含めたみんなを王都に送ります。それなら薬の心配も、食料の心配もいりません』
「しかしミサキ様は魔法厳禁ですよ」
『そうですね。だから私はここに残り、徒歩で雲の谷を目指します。砦に送る物資や壊れた浮島の修理の事は、雲の谷の人に私が頼んでみます。王太子妃の頼みなら、少しは聞いてくれるんじゃないでしょうか?』
あれ? 雑魚寝の提案と同じくらいみんなが絶句してるぞ。いいアイデアだと思うんだけどな。
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