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雲の谷へ
17 あれが雲の谷?
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痛み止めが効いた後、さらに追加の苦い薬を飲んだ。
「とにかく、朝までゆっくりおやすみください」
ポリムの心配そうな顔を見ながら横になる。急に眠くなってきたので目を閉じた。
さっきまで見ていた夢に、ルーシェンが出てきたな。夢でもいいから会いたかったのに、エルヴィンと一緒の切ない夢だった。できればもっと嬉しい夢が見たい。
「ようやくお休みになられたようだ」
「よく眠れるお薬を少しだけ入れましたの」
「ミサキ様にかけられた魔法はそれほど酷いのか?」
みんなのひそひそ話している声が聞こえて来る。
「最近はひどく胸が痛むようです。王子様がとても心配していらっしゃいましたわ」
「私の責任だ。ミサキ様を乗せていたのに強い魔法を使用した」
「でも影喰いが出たのです。仕方ありません」
「ミサキ様が何かいると言われた時に一度撤退すべきだった」
これはロベルトさんの声だ。そんなことない、と言いたかったのに眠ってしまった。それ以上の話は覚えてない。
朝までぐっすり、とはいかなかった。大きな音で目を覚ます。覚醒した瞬間、グオオオという動物の咆哮で飛び上がるくらい驚いた。
飛竜が吠えてる。布団から起き上がって周りを見ると、すでに全員が戦闘体制をとっていた。俺はこんな状況で寝ていたのか。
「ミサキ様、起こしてしまったのですね、申し訳ありません。翼のある魔物に囲まれています」
夜明け前の暗い視界でも、ロベルトさんのつくった防御結界に傷つきながら、二足歩行の魔物が攻撃して来るのが見えた。姿はリザードマンに似ていて、手には斧や槍のような武器を持っていた。ざっと見ただけで二十体近くいる。怖い。
「キリがない。飛竜でこの場を離れ、速度を上げて引き離すしかない。攻撃魔法で時間を稼ぐ。ジョージ、ミサキ様を連れて先に飛べ! 他の者は援護しろ!」
ロベルト隊長の指示がとぶ。
「ミサキ様、こちらへ!」
慌ててリュックを背負っていると、走って来た譲二さんに抱え上げられて飛竜に乗せられた。落ち着いて手綱を持つ暇もなく飛竜が飛び立つ。
目を閉じて飛竜と譲二さんにしがみつく。後方で魔法攻撃の爆発音みたいなものが響いた。みんな大丈夫なんだろうか。心配だ。
「ジョージ様、援護します!」
目を開けると隣にテレサさんとポリムの乗った飛竜が飛んでいた。その周りに翼の生えた魔物が数体飛んでついて来てる。テレサさんが槍を振り回して魔物を追い払ってる。すごい技術だ。
「テレサ! ミサキ様に魔法が当たらないようにして」
「分かってるわ!」
なんか俺、いろんな人に迷惑かけてる。みんなごめん。
「ミサキ様、このまま雲の谷まで飛びます。速度を上げるので少しだけご辛抱を」
「はい!」
飛竜は速度を上げた。今までの飛行経験でも一番の速さだ。飛竜の周囲に防御魔法があるはずだけど、それでも強い風と寒さを感じる。譲二さんが俺に覆い被さるように姿勢を低くして風と寒さから守ってくれた。
***
朝日が登り、山肌をピンク色に染める。みんなが後方からついて来てるのかよく分からない。譲二さんはずっと無言だ。こんな時なのに、景色が綺麗だと思わずにいられなかった。飛竜の影が地面にうつってる。チラホラと雪が積もっているのが見えた。雲の谷は赤砂の街や砦より北の方にあるから少し寒いんだろうな。
しばらく飛行すると、ピンクに染まった山肌の一部に何か絵が描いてあるのが見えた。遠くからだと小さく見えるけど、近寄ればかなり大きな絵のはずだ。何の絵だろう。鳥と竜を足したような絵だ。
「ミサキ様、あれが雲の谷です」
えっ、あれが雲の谷? ただの絵に見えるんだけど。街はどこにあるんだ?
「とにかく、朝までゆっくりおやすみください」
ポリムの心配そうな顔を見ながら横になる。急に眠くなってきたので目を閉じた。
さっきまで見ていた夢に、ルーシェンが出てきたな。夢でもいいから会いたかったのに、エルヴィンと一緒の切ない夢だった。できればもっと嬉しい夢が見たい。
「ようやくお休みになられたようだ」
「よく眠れるお薬を少しだけ入れましたの」
「ミサキ様にかけられた魔法はそれほど酷いのか?」
みんなのひそひそ話している声が聞こえて来る。
「最近はひどく胸が痛むようです。王子様がとても心配していらっしゃいましたわ」
「私の責任だ。ミサキ様を乗せていたのに強い魔法を使用した」
「でも影喰いが出たのです。仕方ありません」
「ミサキ様が何かいると言われた時に一度撤退すべきだった」
これはロベルトさんの声だ。そんなことない、と言いたかったのに眠ってしまった。それ以上の話は覚えてない。
朝までぐっすり、とはいかなかった。大きな音で目を覚ます。覚醒した瞬間、グオオオという動物の咆哮で飛び上がるくらい驚いた。
飛竜が吠えてる。布団から起き上がって周りを見ると、すでに全員が戦闘体制をとっていた。俺はこんな状況で寝ていたのか。
「ミサキ様、起こしてしまったのですね、申し訳ありません。翼のある魔物に囲まれています」
夜明け前の暗い視界でも、ロベルトさんのつくった防御結界に傷つきながら、二足歩行の魔物が攻撃して来るのが見えた。姿はリザードマンに似ていて、手には斧や槍のような武器を持っていた。ざっと見ただけで二十体近くいる。怖い。
「キリがない。飛竜でこの場を離れ、速度を上げて引き離すしかない。攻撃魔法で時間を稼ぐ。ジョージ、ミサキ様を連れて先に飛べ! 他の者は援護しろ!」
ロベルト隊長の指示がとぶ。
「ミサキ様、こちらへ!」
慌ててリュックを背負っていると、走って来た譲二さんに抱え上げられて飛竜に乗せられた。落ち着いて手綱を持つ暇もなく飛竜が飛び立つ。
目を閉じて飛竜と譲二さんにしがみつく。後方で魔法攻撃の爆発音みたいなものが響いた。みんな大丈夫なんだろうか。心配だ。
「ジョージ様、援護します!」
目を開けると隣にテレサさんとポリムの乗った飛竜が飛んでいた。その周りに翼の生えた魔物が数体飛んでついて来てる。テレサさんが槍を振り回して魔物を追い払ってる。すごい技術だ。
「テレサ! ミサキ様に魔法が当たらないようにして」
「分かってるわ!」
なんか俺、いろんな人に迷惑かけてる。みんなごめん。
「ミサキ様、このまま雲の谷まで飛びます。速度を上げるので少しだけご辛抱を」
「はい!」
飛竜は速度を上げた。今までの飛行経験でも一番の速さだ。飛竜の周囲に防御魔法があるはずだけど、それでも強い風と寒さを感じる。譲二さんが俺に覆い被さるように姿勢を低くして風と寒さから守ってくれた。
***
朝日が登り、山肌をピンク色に染める。みんなが後方からついて来てるのかよく分からない。譲二さんはずっと無言だ。こんな時なのに、景色が綺麗だと思わずにいられなかった。飛竜の影が地面にうつってる。チラホラと雪が積もっているのが見えた。雲の谷は赤砂の街や砦より北の方にあるから少し寒いんだろうな。
しばらく飛行すると、ピンクに染まった山肌の一部に何か絵が描いてあるのが見えた。遠くからだと小さく見えるけど、近寄ればかなり大きな絵のはずだ。何の絵だろう。鳥と竜を足したような絵だ。
「ミサキ様、あれが雲の谷です」
えっ、あれが雲の谷? ただの絵に見えるんだけど。街はどこにあるんだ?
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