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帰還
11 狙ってやったな
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息が苦しくなって短い呼吸を繰り返す。ダメだ、腕にも足にも力が入らない。目を閉じてベッドの端にしがみついていると、誰かに手首を掴まれた。絶対にルーシェンじゃない。確信があった。
「……まったく、王子はいったいこれのどこがいいのか」
笑いを含んだ声は、水の中で聞く音のように不明瞭だけど、間違いなくエルヴィンの声だ。顔は見えないけど。
足音もしなかったのにどうやって部屋に入って来たんだ。なんとか抵抗しようと思ったのに、あっさり床に放り投げられた。手が首に伸びてきて、首を絞められるのかと思ったけど違うみたいだ。首のあたりがひんやりする。意識が保てなくなって、そこでストンと目の前が真っ暗になった。
***
「ん……?」
暖かい。
どうやらベッドの中にいるみたいだ。でも少し身体を動かすとスースーするから、シャツを着ていないのかも。布団を引っ張って少しでも暖かさを求めてモゾモゾする。
隣に誰かいる。ルーシェンだと思って無意識にしがみつく。暖かい。でもなんだか、ルーシェンより筋肉質で背中が大きいような。
相手の身体がびくりと動いて手を伸ばした先から急にいなくなった。
「ん……? ルーシェン?」
ベッドから誰か落ちるようなすごい音がした。ぼんやり目が覚めて、目を擦りながら起き上がる。
あれ? この部屋、見覚えがない。狭いし、ドアの位置も違う。目を擦りながら周りを見回すと、ベッドの下に土下座して震える誰かの姿が見えた。
急に冷水を浴びせられたみたいに意識がはっきり覚醒した。
ここはどこだ? 見覚えのないベッドの上に俺はいて、スースーすると思ったら服を着てない。下は履いてるけど、上半身は思いっきり裸だ。土下座しているのは……ロベルトさん。
「ミ……ミサキ様、なぜ私の部屋に」
床に頭を打ち付ける勢いで頭を下げているロベルトさんを見て、俺も血の気がひいた。
『わ、分かりません。ルーシェンの部屋にいたのに、気づいたらここに……』
「は、はやく上着を」
『は、はい』
焦って上着を探す。ない。いや待て、落ち着け、何もしていないぞ、俺は。ズボンは履いてるしお尻だって痛くない。何でロベルトさんの部屋のベッドに裸でいたのか分からないけど、でも、この状況が良くないことははっきり分かる。
『あっ、あった』
ベッドの端に俺の上着がくしゃくしゃに丸まって置いてあった。
「ミサキ様、私は決してお身体に触れてはおりません。それだけはこの命にかけて誓えます」
『大丈夫です。信じてますから。誰かに嵌められたんだと思います。あっ、嵌められたって、そういう意味じゃなく……』
焦りながら服に腕を通していると、誰かが扉を叩く音が聞こえた。
思わずロベルトさんと顔を見合わせる。こんな時は礼儀作法なんてないも同然なんだな。
「ロベルト、アークだ。入っていいか? 王子が目覚められたのだが、ミサキ様が部屋に……」
言いながら部屋に入ってきたアークさんは、俺とロベルトさんを見て硬直した。
「ロベルト……」
誰も何も言わないまま、すごく長い時間が過ぎたような気がする。でも実際にはすぐあとに、エルヴィンの勝ち誇ったような声が聞こえてきた。
「どうしました? お二人とも、病み上がりの王子をあまりお待たせしては……おや、これはこれは」
エルヴィンのやつ、狙ってやったな。絶対にそうだ。
「……まったく、王子はいったいこれのどこがいいのか」
笑いを含んだ声は、水の中で聞く音のように不明瞭だけど、間違いなくエルヴィンの声だ。顔は見えないけど。
足音もしなかったのにどうやって部屋に入って来たんだ。なんとか抵抗しようと思ったのに、あっさり床に放り投げられた。手が首に伸びてきて、首を絞められるのかと思ったけど違うみたいだ。首のあたりがひんやりする。意識が保てなくなって、そこでストンと目の前が真っ暗になった。
***
「ん……?」
暖かい。
どうやらベッドの中にいるみたいだ。でも少し身体を動かすとスースーするから、シャツを着ていないのかも。布団を引っ張って少しでも暖かさを求めてモゾモゾする。
隣に誰かいる。ルーシェンだと思って無意識にしがみつく。暖かい。でもなんだか、ルーシェンより筋肉質で背中が大きいような。
相手の身体がびくりと動いて手を伸ばした先から急にいなくなった。
「ん……? ルーシェン?」
ベッドから誰か落ちるようなすごい音がした。ぼんやり目が覚めて、目を擦りながら起き上がる。
あれ? この部屋、見覚えがない。狭いし、ドアの位置も違う。目を擦りながら周りを見回すと、ベッドの下に土下座して震える誰かの姿が見えた。
急に冷水を浴びせられたみたいに意識がはっきり覚醒した。
ここはどこだ? 見覚えのないベッドの上に俺はいて、スースーすると思ったら服を着てない。下は履いてるけど、上半身は思いっきり裸だ。土下座しているのは……ロベルトさん。
「ミ……ミサキ様、なぜ私の部屋に」
床に頭を打ち付ける勢いで頭を下げているロベルトさんを見て、俺も血の気がひいた。
『わ、分かりません。ルーシェンの部屋にいたのに、気づいたらここに……』
「は、はやく上着を」
『は、はい』
焦って上着を探す。ない。いや待て、落ち着け、何もしていないぞ、俺は。ズボンは履いてるしお尻だって痛くない。何でロベルトさんの部屋のベッドに裸でいたのか分からないけど、でも、この状況が良くないことははっきり分かる。
『あっ、あった』
ベッドの端に俺の上着がくしゃくしゃに丸まって置いてあった。
「ミサキ様、私は決してお身体に触れてはおりません。それだけはこの命にかけて誓えます」
『大丈夫です。信じてますから。誰かに嵌められたんだと思います。あっ、嵌められたって、そういう意味じゃなく……』
焦りながら服に腕を通していると、誰かが扉を叩く音が聞こえた。
思わずロベルトさんと顔を見合わせる。こんな時は礼儀作法なんてないも同然なんだな。
「ロベルト、アークだ。入っていいか? 王子が目覚められたのだが、ミサキ様が部屋に……」
言いながら部屋に入ってきたアークさんは、俺とロベルトさんを見て硬直した。
「ロベルト……」
誰も何も言わないまま、すごく長い時間が過ぎたような気がする。でも実際にはすぐあとに、エルヴィンの勝ち誇ったような声が聞こえてきた。
「どうしました? お二人とも、病み上がりの王子をあまりお待たせしては……おや、これはこれは」
エルヴィンのやつ、狙ってやったな。絶対にそうだ。
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