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結婚式
7 転移魔法陣
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エルヴィンは俺にカードを投げた。どこかの部屋の鍵だ。
「20階のその部屋に転移魔法陣を用意しています。護衛は自分でなんとかしてくださいね」
『用意周到すぎて引くレベルだ。もしかして花粉もそうなのか?』
「花粉の飛散は数年以内と予定されてましたから、数年以内に王子が砦に来ることは想定していました。そのために時間をかけて砦中に魔法を施したんですよ。まさか婚約旅行の途中とは思いませんでしたが。それも、あなたのような無能な異世界人と婚約するとは」
『腹黒のお前よりマシだろ』
「なんとでも言ってください。あなたがいなくなっても、私が王子との間に可愛い子供を産んで差し上げますから、無能な異世界人と付き合った恥ずかしい歴史も、私と子供を見ているうちにすぐに忘れますよ」
一瞬殺意が湧いて、左手の甲の魔法を発動させることを考えた。でも、エルヴィンがポケットから魔法石を取り出したので踏みとどまる。あれは、浮島に使われていた強い力の魔法石だ。エストの翼を落とすと言っていたし、どんな魔法がかかっているかわからない。浮島の魔法石は複数あったし、相手は如月並みの魔法使いだ。黙ってカードを受け取るのが最善だと思えた。
カードをとって王都の空を見上げる。世界が色褪せてから、空にシロの姿が見えない。回復の聖獣も。
王妃様、俺にエルヴィンは裁けないみたいです。不甲斐ない俺を許してください。今はシロだけが頼りだ。どうかこいつに罰を与えてほしい。
***
『ジョシュに会いに行きたいんですけどいいですか?』
「先にプライベートエリアに戻ってからジョシュさんを呼びましょう」
『短時間でいいので会いたいです。それにあの人がいるから、すぐにプライベートエリアに戻りたくないんです』
そう言うと、ポリムは折れてくれた。
「分かりました。ではジョシュの職場に連絡を入れますね。少し待っていていただけますか?」
『はい』
エルヴィンと新しい侍女たちがフィオネさんと一緒にプライベートエリアに向かったあと、俺はわがままをいって20階のフロアに残った。
護衛の譲二さんにはトイレに行くと告げて、個室にこもる。
最後にルーシェンに会いたかった。さっきまで会って話をしていたのに、最後に何を話したかはっきり覚えていない。ルーシェンは多分、エストのことを話して、先に寝ていてくれとか、顔色が悪いけど大丈夫かとか、そんな会話をしたような気がする。ろくにまともな返事もできなかった。
俺はポケットからパスケースを取り出した。中にあるのは如月にもらった緊急避難用の転移魔法陣が書かれた紙だ。あんな男の罠かもしれない転移魔法陣なんて使う気はなかった。とりあえず俺が消えれば、エストが殺されることはないはずだ。
譲二さん、ポリム、ごめん。
俺は紙を開き、転移魔法陣を発動させた。
「20階のその部屋に転移魔法陣を用意しています。護衛は自分でなんとかしてくださいね」
『用意周到すぎて引くレベルだ。もしかして花粉もそうなのか?』
「花粉の飛散は数年以内と予定されてましたから、数年以内に王子が砦に来ることは想定していました。そのために時間をかけて砦中に魔法を施したんですよ。まさか婚約旅行の途中とは思いませんでしたが。それも、あなたのような無能な異世界人と婚約するとは」
『腹黒のお前よりマシだろ』
「なんとでも言ってください。あなたがいなくなっても、私が王子との間に可愛い子供を産んで差し上げますから、無能な異世界人と付き合った恥ずかしい歴史も、私と子供を見ているうちにすぐに忘れますよ」
一瞬殺意が湧いて、左手の甲の魔法を発動させることを考えた。でも、エルヴィンがポケットから魔法石を取り出したので踏みとどまる。あれは、浮島に使われていた強い力の魔法石だ。エストの翼を落とすと言っていたし、どんな魔法がかかっているかわからない。浮島の魔法石は複数あったし、相手は如月並みの魔法使いだ。黙ってカードを受け取るのが最善だと思えた。
カードをとって王都の空を見上げる。世界が色褪せてから、空にシロの姿が見えない。回復の聖獣も。
王妃様、俺にエルヴィンは裁けないみたいです。不甲斐ない俺を許してください。今はシロだけが頼りだ。どうかこいつに罰を与えてほしい。
***
『ジョシュに会いに行きたいんですけどいいですか?』
「先にプライベートエリアに戻ってからジョシュさんを呼びましょう」
『短時間でいいので会いたいです。それにあの人がいるから、すぐにプライベートエリアに戻りたくないんです』
そう言うと、ポリムは折れてくれた。
「分かりました。ではジョシュの職場に連絡を入れますね。少し待っていていただけますか?」
『はい』
エルヴィンと新しい侍女たちがフィオネさんと一緒にプライベートエリアに向かったあと、俺はわがままをいって20階のフロアに残った。
護衛の譲二さんにはトイレに行くと告げて、個室にこもる。
最後にルーシェンに会いたかった。さっきまで会って話をしていたのに、最後に何を話したかはっきり覚えていない。ルーシェンは多分、エストのことを話して、先に寝ていてくれとか、顔色が悪いけど大丈夫かとか、そんな会話をしたような気がする。ろくにまともな返事もできなかった。
俺はポケットからパスケースを取り出した。中にあるのは如月にもらった緊急避難用の転移魔法陣が書かれた紙だ。あんな男の罠かもしれない転移魔法陣なんて使う気はなかった。とりあえず俺が消えれば、エストが殺されることはないはずだ。
譲二さん、ポリム、ごめん。
俺は紙を開き、転移魔法陣を発動させた。
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