好きになったのは異世界の王子様でした(ルーシェン編)

カム

文字の大きさ
202 / 209
結婚式

18 金色のオーラ

しおりを挟む
 離宮には俺とルーシェンの二人だけだったけど、儀式の手順通り祭壇の前で正式な結婚の報告をする。ルーシェンは歴代の王様と王宮の守り神に報告するためだから正式な手順を踏むと言っていたけど、それは正解だと思う。この離宮にはシロの気配が濃厚だし、シロ以外のお化けと言ってしまうには波長の高い何かの気配もする。つまりここは、真っ黒お化けとゾンビの代わりに先祖の霊と聖獣のいる魔法村みたいなものなんだ。

『そんなに怖くないからマシなのかな』
「どうした?」
『なんでもないです』

 挨拶の次はそれぞれ別の部屋に禊ぎに向かう。禊ぎといえば嫌な思い出しかないけど、まあ正式な手順だから仕方ない。それにここに準備された水は回復の泉みたいにキラキラしていて身体に良さそうだ。

 服を脱いで水に近いぬるま湯に浸かる。身体を洗って髪も洗って完璧だ。禊ぎの間の奥にはトイレもあるし、ついでに準備もしておこう。それから儀式用の白い服に着替えてルーシェンと待ち合わせだ。そういえば俺たちデートとかほとんどしたことないよな。近くの村で待ち合わせとかしてみたいな。

「シュウヘイ」
『お待たせしました』
「いや、そんなに待ってない。どうした?」
『何がですか?』
「にやにやしてる」

 お風呂上がりのルーシェンがかっこよくて、ドキドキしているとか言えない。儀式用の白い服も、いつもと違って新鮮だ。

『それはルーシェンもです。デートのこと考えてました』
「落ち着いたらデートしよう。婚約旅行の続きもしないとな」
『そうですね』

 禊ぎの間の隣の部屋には大きなベッドが置かれていた。二つ分の枕がきちんと並べて置かれてる。

『離宮には寝室もあるんですね』
「なかったから作った。少し狭いが、三日しか滞在しないから眠れればいいだろう」

 さすが王子。やりたい放題だな。

 ベッドの脇にルーシェンが魔法の粉と、小さい杖を置く。よく魔法陣とか描くときに使われる大きな杖じゃなくて手のひらサイズの杖だ。杖というよりもうペンと言ったほうがいいかもしれない。それから瓶に入った飲み物もある。

 ベッドに座ったルーシェンが俺の両手をとりじっと顔を見つめてくる。なんだろうこの緊張感。初めてじゃないのに、初夜を迎える花嫁みたいな気分なんだが。

『このあとはどうするんですか?』
「あとは身体に文字を書くだけだ。祝いの酒もあるが、どうする?」
『飲みます』

 お酒を金色の器に注いでルーシェンと半分ずつ飲み干した。かなり強いお酒だ。でもふわっといい気分になれる。

『美味しいですね~』
「もうやめておこう。飲ませすぎるとシュウヘイは寝るからな」
『もう少し』

 お願いするとルーシェンは少しお酒を口に含み、抱き寄せられ唇を塞がれた。少しずつお酒が流し込まれ、身体が熱くなる。ゆっくり飲み干したあとも夢中になって舌を絡ませていると、俺が着ていた儀式用の服の紐をルーシェンがゆっくりと解いた。

 服が肩から滑り落ち、上半身が無防備になる。そのままベッドに押し倒された。

「どこに書こうか」

 低い声で囁かれるとなんだか無性に恥ずかしくなって、どこでもいいと言ったことを後悔する。ルーシェンの指が頬に触れ、それから耳朶に。首筋を通って肩を撫でると、そのまま心臓のあたりに行き着いた。感覚が研ぎ澄まされていて、どこを触られてもピクンと反応してしまう。

「やっぱり胸かな」
『痛くないようにお願いします……』
「大丈夫だ。痛くしない」

 ルーシェンが笑いながらベッド脇の魔法の粉を、さっきお酒を飲むのに使った金の器に混ぜる。タッチペンみたいな短い杖の先端を魔法の粉に浸した。

 金色の光がペンの先から漏れて、思わずその光景に見とれた。だけどそんな余裕はルーシェンが杖の先を俺の胸に当てた途端に消えてなくなった。

『は……う、ああっ……』

 痛みはもちろん全然ない。だけど痛みとは違う気持ちよさが胸を起点にして全身を駆け抜けた。この魔法の金の光、間違いなく俺の体内まで届いてる。ルーシェンは止めることなくするすると胸のあたりに文字を書いていく。気持ちいい。よすぎてイキそうだ。

「シュウヘイ?」
「だ、駄目……気持ちよすぎ……」

 ようやく杖の動きが止まった。キスされて身体を起こされると、胸に青い異世界文字が書かれていた。名前というより文章だな。俺をルーシェンの妃として王族の一員に迎えるという文章が書かれてる。文字は青だけど金色の光が見える。呆然と手のひらを眺めると、自分の周りに淡い金の光が見えた。ルーシェンや王様、王妃様と同じ王族が持つオーラの色だ。

 ルーシェンが自分の着ていた服をあっさり脱ぎ捨てて俺に杖を渡す。

「どこでも好きなところに名前を書いてくれ」










しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ
BL
雪のなか僕を、ひろってくれたのは、やさしい男の子でした。 ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります! ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!

黒とオメガの騎士の子育て〜この子確かに俺とお前にそっくりだけど、産んだ覚えないんですけど!?〜

せるせ
BL
王都の騎士団に所属するオメガのセルジュは、ある日なぜか北の若き辺境伯クロードの城で目が覚めた。 しかも隣で泣いているのは、クロードと同じ目を持つ自分にそっくりな赤ん坊で……? 「お前が産んだ、俺の子供だ」 いや、そんなこと言われても、産んだ記憶もあんなことやこんなことをした記憶も無いんですけど!? クロードとは元々険悪な仲だったはずなのに、一体どうしてこんなことに? 一途な黒髪アルファの年下辺境伯×金髪オメガの年上騎士 ※一応オメガバース設定をお借りしています

転移先で辺境伯の跡継ぎとなる予定の第四王子様に愛される

Hazuki
BL
五歳で父親が無くなり、七歳の時新しい父親が出来た。 中1の雨の日熱を出した。 義父は大工なので雨の日はほぼ休み、パートに行く母の代わりに俺の看病をしてくれた。 それだけなら良かったのだが、義父は俺を犯した、何日も。 晴れた日にやっと解放された俺は散歩に出掛けた。 連日の性交で身体は疲れていたようで道を渡っているときにふらつき、車に轢かれて、、、。 目覚めたら豪華な部屋!? 異世界転移して森に倒れていた俺を助けてくれた次期辺境伯の第四王子に愛される、そんな話、にする予定。 ⚠️最初から義父に犯されます。 嫌な方はお戻りくださいませ。 久しぶりに書きました。 続きはぼちぼち書いていきます。 不定期更新で、すみません。

【16+4話完結】虚な森の主と、世界から逃げた僕〜転生したら甘すぎる独占欲に囚われました〜

キノア9g
BL
「貴族の僕が異世界で出会ったのは、愛が重すぎる“森の主”でした。」 平凡なサラリーマンだった蓮は、気づけばひ弱で美しい貴族の青年として異世界に転生していた。しかし、待ち受けていたのは窮屈な貴族社会と、政略結婚という重すぎる現実。 そんな日常から逃げ出すように迷い込んだ「禁忌の森」で、蓮が出会ったのは──全てが虚ろで無感情な“森の主”ゼルフィードだった。 彼の周囲は生命を吸い尽くし、あらゆるものを枯らすという。だけど、蓮だけはなぜかゼルフィードの影響を受けない、唯一の存在。 「お前だけが、俺の世界に色をくれた」 蓮の存在が、ゼルフィードにとってかけがえのない「特異点」だと気づいた瞬間、無感情だった主の瞳に、激しいまでの独占欲と溺愛が宿る。 甘く、そしてどこまでも深い溺愛に包まれる、異世界ファンタジー

【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?

キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。 知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。 今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど—— 「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」 幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。 しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。 これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。 全8話。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

処理中です...