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金曜日、午後1時(レヴィン編)
8 マジックショー
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食堂を出て人の多い方向に進む。
少し広くなった道の真ん中にいつのまにか円形のステージが出来ていて、人々がそれを取り囲むように集まりはじめていた。
『何が始まるのですか?』
「マジックショーだよ」
近くにいたお爺さんはそう答えた。
マジックショーって異世界にもあるのか。帽子から鳩出したりするのかな?
異世界マジックショーはかなり人気があるみたいだ。見物人はあっという間に増えて、満員電車並みになった。
出遅れたせいであまりいい場所がとれず、背が高い男達が前にいるせいでよく見えない。それでも背伸びをしてステージを見ていると、派手な服の司会者が登場した。
「みなさん押さないで~!これからおまちかねディックとアンドラのマジックショーが始まるよ~!」
歓声が飛ぶ。
よく分からないが、ここはコンサートのノリで、俺も
『ディックー!アンドラー!』
と叫んでみた。
ステージがピンクと水色の煙に包まれる。
派手な効果音とともに、煙の中から二人の男女が登場した。忍者みたいだ。
ステージ衣装に身を包んだ二人は、優雅な動きで両手を掲げると、手のひらの少し上空に四つの炎を作りだした。
どよめきが起こる。
二人はお互いに炎を投げ合い、炎は数を増やしたり色を変えたり、まるで生き物のようにステージ上を動き回った。
マジックショーって……本物の魔法だったのか。
炎は途中で水に変わった。魚のような形の水はキラキラ輝きながら砕けてはまた再生する。
すげえ……。ディックもアンドラも最高だ。完全に目が釘付けだ。
群衆もすっかり二人の魔法の虜になってる。何か起こるたびに拍手喝采だ。
『ディックー!アンドラー!』
俺も夢中になって声援を送っていた。
「……?」
後ろにいる誰かの手が、俺の腰のあたりで怪しい動きをしてる事に気づいたのはその直後だった。
まさか、スリ!?
しまった。マジックショーに夢中になって完全に無防備だった。
荷物をガードしようと体の向きを変えようとしたけど、人混みに押されてままならない。
「……!」
動けないまま、後ろの奴の手が俺のズボンのお尻あたりをなで回す。スリ……じゃないぞ。これ。ぎゅっとお尻を掴まれて確信した。
痴漢だ!
モミモミ。
なでなで。
後ろの手が自由すぎる。
お尻をなで回していた手は、一瞬の隙をついて前に回り込んできた。
「あっ……」
なんだこの緩急をつけた絶妙な力加減。形を確かめるように撫でられてる。
ヒイィ。せっかくのマジックショーが、全然頭に入ってこない。
文句を言ってやろうと動き回る手を捕まえた。
『止めてください』
体をひねって後ろを向く。しらばっくれたら兵士につき出してやる。
後ろに立っていたのは、フードを目深に被った男だった。
あれ……こいつ、どこかで見たような。
理解した瞬間、総毛立つ。
フードを被った男が低い声で囁いた。
「俺を置いて出るなんて、ひどいじゃねーか」
男の口が、探したぜ、という言葉を紡ぎ出すのを信じられない思いで見つめる。
砦を出たのは、こいつから逃げる為だった。
盗賊のアニキが俺の後ろに立っていた。
少し広くなった道の真ん中にいつのまにか円形のステージが出来ていて、人々がそれを取り囲むように集まりはじめていた。
『何が始まるのですか?』
「マジックショーだよ」
近くにいたお爺さんはそう答えた。
マジックショーって異世界にもあるのか。帽子から鳩出したりするのかな?
異世界マジックショーはかなり人気があるみたいだ。見物人はあっという間に増えて、満員電車並みになった。
出遅れたせいであまりいい場所がとれず、背が高い男達が前にいるせいでよく見えない。それでも背伸びをしてステージを見ていると、派手な服の司会者が登場した。
「みなさん押さないで~!これからおまちかねディックとアンドラのマジックショーが始まるよ~!」
歓声が飛ぶ。
よく分からないが、ここはコンサートのノリで、俺も
『ディックー!アンドラー!』
と叫んでみた。
ステージがピンクと水色の煙に包まれる。
派手な効果音とともに、煙の中から二人の男女が登場した。忍者みたいだ。
ステージ衣装に身を包んだ二人は、優雅な動きで両手を掲げると、手のひらの少し上空に四つの炎を作りだした。
どよめきが起こる。
二人はお互いに炎を投げ合い、炎は数を増やしたり色を変えたり、まるで生き物のようにステージ上を動き回った。
マジックショーって……本物の魔法だったのか。
炎は途中で水に変わった。魚のような形の水はキラキラ輝きながら砕けてはまた再生する。
すげえ……。ディックもアンドラも最高だ。完全に目が釘付けだ。
群衆もすっかり二人の魔法の虜になってる。何か起こるたびに拍手喝采だ。
『ディックー!アンドラー!』
俺も夢中になって声援を送っていた。
「……?」
後ろにいる誰かの手が、俺の腰のあたりで怪しい動きをしてる事に気づいたのはその直後だった。
まさか、スリ!?
しまった。マジックショーに夢中になって完全に無防備だった。
荷物をガードしようと体の向きを変えようとしたけど、人混みに押されてままならない。
「……!」
動けないまま、後ろの奴の手が俺のズボンのお尻あたりをなで回す。スリ……じゃないぞ。これ。ぎゅっとお尻を掴まれて確信した。
痴漢だ!
モミモミ。
なでなで。
後ろの手が自由すぎる。
お尻をなで回していた手は、一瞬の隙をついて前に回り込んできた。
「あっ……」
なんだこの緩急をつけた絶妙な力加減。形を確かめるように撫でられてる。
ヒイィ。せっかくのマジックショーが、全然頭に入ってこない。
文句を言ってやろうと動き回る手を捕まえた。
『止めてください』
体をひねって後ろを向く。しらばっくれたら兵士につき出してやる。
後ろに立っていたのは、フードを目深に被った男だった。
あれ……こいつ、どこかで見たような。
理解した瞬間、総毛立つ。
フードを被った男が低い声で囁いた。
「俺を置いて出るなんて、ひどいじゃねーか」
男の口が、探したぜ、という言葉を紡ぎ出すのを信じられない思いで見つめる。
砦を出たのは、こいつから逃げる為だった。
盗賊のアニキが俺の後ろに立っていた。
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