One week 番外編

カム

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別荘を買おう1

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『好きになったのは異世界の王子様でした』
の後のエピソードです。

***

 白い馬車が石畳の道をガタガタと進む。さっきまで土の道だったけれど、街が見えてきたあたりから石畳の道に変わった。
 遠くに白い城壁がいくつも連なった美しい都市が見える。背景には険しい山脈。ここは雪と美しい街並みで有名な白の都だ。
 
 俺は馬車の窓から美しい街の外観と背後の高い山脈を眺めた。あの山を飛竜で越えるのは難しそうだな。

「ミサキ様、そろそろ白の都です。お疲れではありませんか?」

 馬もどきに乗って馬車と並走している譲二さんが話しかけてきた。
 馬もどきに乗っている譲二さんを見るのは新鮮だ。いつも飛竜だから。それに今日は飛行部隊の青いマントではなく普通の兵士の格好をしてる。

 御者台にはポリムも座っているけど、やっぱり普段のドレスより地味だ。他に飛行部隊の護衛がもう一人、譲二さんの反対側の少し後方からついて来ている。そういう俺も、頭に冠もないしアクセサリーも最小限。どこかの貴族のお坊ちゃんみたいなスタイルだ。

 一緒について来たポリムは、こんなに窮屈で乗り心地の悪いものにミサキ様を乗せるなんてと不満を言っていたけど俺は全然平気だ。
 馬車には俺一人しか乗っていないし、横になれるソファもふかふかのクッションもある。ガタガタ揺れるのも電車みたいで懐かしい。

 どうして少人数と馬車で白の都を目指しているかというと、それは今回の白の都訪問がお忍びデート旅行だからだ。俺とルーシェンの訪問を知っているのは領主とその家来たちだけ。白い飛竜や浮島飛行船で乗りつけたら、都市のみんなが大騒ぎしてお忍びにならない。
 白の都は婚約旅行で訪れる予定だったけど、花粉騒ぎやエルヴィン事件で思ったより忙しくなってしまったので、正式な都市訪問は諦めて、今回のお忍び旅行に変更になったらしい。でも多分、お忍びにしたのはルーシェンの優しさだと思う。前回の婚約旅行で俺がストレスを抱えすぎたから。
 
 ちなみにルーシェンは仕事に追われていて、別の村をまわってから白の都に来るから俺とは別行動。現地集合なのもデートみたいで楽しい。

「俺は全然大丈夫。でも着いたらみんなで休憩しよう。白の都の有名なお茶とお菓子が食べたい」

「そうですわね。有名なお店を調べておりますからご安心を」

 ポリムがそう言って自信たっぷりに頷いた。有名なお店って、やっぱりガイドブックとかあるんだろうか。

 白い城壁の中央にある大きな門では通過する全員を護衛兵が調べていた。譲二さんが護衛兵に通行許可証を見せると、兵士の態度が急変した。

「お、お待ちしておりました……! ようこそ白の都へ!」

 護衛兵たちが全員その場に膝をつきかけたので、譲二さんが慌てて制止する。そんなことされたら身バレするじゃないか。
 

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